発達障害を伝えることが子どもに合った幼稚園・保育園探しの近道に!

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発達障害児を保育園や幼稚園に預ける場合、発達障害であることや内容を園に打ち明けるかどうか迷う親御さんは多いことでしょう。

「入園できなかったら困る」「先生方や周囲の反応が怖い」「いじめられたら困る」など、不安になる要素はたくさんありますよね。

ただ、発達障害を隠して入園すると、入園後に子どもが困った状況に置かれ、二次障害をきたしてしまう危険性があります。

※二次障害とは、子どもが抱えている困難さを周囲が理解して対応しきれていないために、本来抱えている困難さとは別の二次的な情緒や行動の問題が出てしまうことを指します。

発達障害児を取り巻く保育園・幼稚園事情を、筆者の経験談を交えてご紹介します。

子どもに発達障害があることは事前に園に伝えておく

子どもに発達障害があることは事前に園に伝えておく我が子が発達障害児であることを誰かに話すのは勇気がいりますし、伝え方も悩みますよね。

また、現在の保活(保育園活動=少しでも早いうちから情報を集め、保育園入園までの手続きをスムーズに進めるための活動)は、家庭の死活問題ともいえるほど厳しい状況にあります。

そんな中で、多くの保護者が「発達障害を打ち明けると、この上なく不利になってしまう!」と思い、躊躇していることでしょう。

確かに、発達障害について話すことで「手が掛かる面倒な子ども」と捉えられ、入園が不利になることがあります。

しかし、もしも子どもが発達障害であることを伝えることなく入園した場合、保育士のサポートが間に合わずトラブルが発生してしまう可能性があるため、入園前(電話で保育園の見学の問い合わせをする時や、見学の際)に必ず「この子はサポートが必要な子どもです」と伝えてください。

保育士のサポートが十分でない場合、子どもが園の生活について行けなかったり、他の園児と揉め事が起きたり、子どもの行動に対して他の園児の保護者から苦情がくるといったことが起こる可能性もあります。

例えば、アレルギーを持つ子どもの場合、事前にアレルギーについて園に伝え、万が一の時でも園が適切に対応できるよう、体制を整えてもらいますよね。

そういったことと同じだと考えてみてください。

発達障害の度合いによっては保育士の手厚いサポートが欠かせませんし、他の子どもとトラブルになる機会も多く、フォローをしてもらわなければ子ども同士の関係にも悪い影響が出かねません。

子どもも園も、みんながスムーズに保育園生活を送ることができるような環境を整えるために、必ず子どもの発達障害について、入園前に保育園に伝えておきましょう。

内容は具体的に

ADHD子どもに発達障害があることを園に伝える際は、できるだけ具体的に話すことをお勧めします。

抽象的な言い方だと、適切なサポートを受けられないことがあります。

例えば「言葉の発達が遅い」という場合を考えてみましょう。

この場合、次のようなケースが考えられます。

  • 相手が話す言葉は理解できるが、自分の意思を話すことが難しい
  • 赤ちゃん言葉で話してもらうと理解できる
  • 「わかった」と答えるが、本当は理解できていないことがある
  • 相手が話すことは理解できるし、自分の意思を伝えようと喋るけれど、うまく発音できない
  • 一対一で話をすると理解し、行動できるが、全体指示を聞くことが難しい

「言葉の遅れ」と言っても色々なタイプがあり、それぞれサポート方法が異なります。

このため、子どもの発達障害に合った対応策を考えられるよう、内容は必ず具体的に伝えるようにしましょう。

💡例として:私の娘の場合

私の娘は言葉の発達に遅れがあり、全体指示がきけず、人の気持ちなど目に見えていないものを想像することが苦手です。

このことを説明するとき、私は次のような例を挙げて相手に伝えます。

  • 娘は「公園にある遊具で、自分が好きな物を絵に描きましょう」は理解できませんが、文を区切って具体的に尋ねてくれれば理解できます。
  • 先生「公園にある遊具はなにが好き?」
  • 娘「ブランコ!」
  • 先生「じゃあ、ブランコを描いて、色を塗ろう」
  • こんな風に、短い文で具体的に話をしてください。

このように具体的に伝えておけば、保育士さんたちが全てのことについて対応することができなくても、娘が困っているときに対応策を練りやすいと考えるためです。

診断名を伝えるよりも具体的な特性を話しておくほうが、よりよいサポートを受ける可能性が高くなりますよ。

家庭で実践している対応方法も伝えておこう

発達障害情報ナビ_家庭で実践している対応方法も伝えておこう子どもの発達障害について、保護者が一番近くで見てきている分、自然と対処能力が付いているのではないでしょうか。

この対処能力は一朝一夕に付いたものではないですよね。

ぜひ、家で行っている対応策や試行錯誤の過程を、失敗談も含めて保育士さんや幼稚園の先生たちに伝えておいてください。

いつも同じ対応策で必ずうまくいくとは限りませんが、先生たちが上手に対応するための手助けになります。

また、保育士さんや先生たちが問題にぶつかった時に親が普段とっている対応策でサポートしてくれると、子ども自身が安心して落ち着きを取り戻すこともあります。

子どもがよりスムーズに園での生活を送れるよう、また、園と信頼関係を築くためにも、家庭での対応方法についても伝えておくことをお勧めします。

私の娘の体験談

認可外保育園での退園の経験

発達障害私の娘は、通っていた認可外保育園から退園を迫られた経験があります。

娘は1歳半から認可外保育園に通っていましたが、この時はまだ発達障害があることに気付いていませんでした。

しかし、2歳を過ぎてから、下記のような自閉症児に見られる特性が気になるようになりました。

  • 二語文を話さない
  • 言葉での指示が伝わらない
  • クレーン現象(物が欲しい時などに、親など他人の手を使って自分がしたいことを代わりにしてもらおうとする行動のこと)

そんなある日、保育園の園長に呼び出され、退園を迫られたのです。

「あなたの子どもは発達障害児です。当園では対応できません。保育士から苦情が出ており、園の運営に支障が出ています。自治体が運営している保育園なら障害児でも受け入れてくれますから、そちらへ行ってはどうですか?保護者が専属の保育士を雇って子どもと一緒に当園させるなら通い続けてもらって構いませんが」と言われ、大きな衝撃を受けると同時に、自分の娘は社会から排除される存在なのだと悲しく思いました。

「面倒を見られない」と断言する保育園に子どもを預け続けることは不可能ですから、ちょうど下の子を妊娠中だった私は産前休暇を早めることを上司にお願いし、直ぐに退園手続きを行いました。

後日、解ったことですが、その保育園では全体指示をきけない娘には何もケアせず、保育士が手首を掴んで引っ張り回すという状況だったそうです。

この保育園は365日いつでも親が希望する時に預けることができ、1日12時間以上の保育も依頼できるという認可外保育園だったため常に数十人を超える入園希望者が居ましたが、保護者が預けやすい保育園というのは、裏を返せば、保育士にとっては非常につらい職場なのだということに、私はこのとき気がついたのです。

保育士の定着率が悪く、職場に先輩となるベテラン保育士のいない状況では、言葉を理解できない発達障害児を保育する余裕なんてなかったのでしょう。

この保育園を退園した後、受け入れてくれた別の保育園では年配の園長が「この子は大人からひどい扱いを受けて心が傷ついている子ですね。当園では園に慣れることも重要ですが、心のケアから始めましょう」と仰っていました。

親として、前の保育園に預けたことを心の底から後悔しました。

私の娘は小学生になった今でも、退園を迫ってきた保育園の担任保育士に似た容姿の女性が苦手です。

親が慎重に保育園の保育能力を見極めなければ、子どもの心に大きな傷を残してしまいます。

こうした傷は二次障害に繋がっていくので、本当に気を付けてあげないといけませんね。

認可保育園に入園を拒否された経験

認可保育園に入園を拒否された経験認可外保育園を退園したため、新しい保育園探しがスタートしました。

「認可保育園なら加配の保育士(障害児につく補助の保育士)がつくため、障害児も預かってくれる」と思ったため、認可保育園から探しました。

私の住んでいる自治体では、書類を自治体に提出する前に入園を希望する保育園へ見学に行くルールでした。

最初、発達に遅れがあることを保育園に伝えずに見学に行きました。

園長が娘の手を引いて話をしてくれたり、他の子どもたちと一緒に園の活動に参加したりし、園で一時間以上過ごし、園長も私も「お友達とも仲良くできそうですね」と話してホッとした後「見た目では解りませんが実は……」と、発達に遅れがあることを話しました。

すると「当園では対応できません。自治体に出す書類の希望園欄に当園を書かないでください」と言われてしまったのです。

本人を連れて行き、保育園の活動に参加する姿を園長自身が見た後であっても、発達に遅れや障害があると解ると拒否されることがあるんだ、認可保育園でも同じなのだ、と感じました。

これ以降、必ず電話口でまず「発達に遅れがある子ですが、そちらでは預かってもらえますか?」と確認してから見学に行くようにしました。

認可保育園では、加配の先生がつくため障害のある子どもも預かってくれますが、全ての園が対応しているわけではなく、園長の考え方や保育士の勤務状況によっては「うちでは預かれない」と言われることがあります。

結局、娘は認可保育園に入園できませんでした。

「結局、障害児は行き場がないじゃないか!」と自治体に掛け合うと、「障害児にはちゃんと受け皿として、発達支援センター内の療育施設がある」と言われました。

しかし、私が住む自治体では「療育施設は月~金の午前中、母と子が一緒に通うこと(下の子同伴不可)」という条件だったので、娘を通わせることは不可能でした。

自治体のHPを見て「障害児に対するサポートが整っている」と思っても、実際に利用することを検討すると不可能だということがあります。

対策が十分なように見える自治体でも、実態が利用者にそぐわないこともあります。

そのため、共働きのご家庭では特に、詳細に至るまで情報収集が必要です。

受け入れてくれた保育園の特徴

発達障害情報ナビ_受け入れてくれた保育園の特徴認可保育園が受け入れてくれないということで、私は認可外保育園を探しました。

私が住んでいる自治体はもちろん、隣の自治体の認可外保育園も含めて保活をしました。

すると偶然、「昨日、月末引っ越しで退園することが決まった子がいるので、一人であれば受け入れられます」という保育園に当たりました。

もの凄くラッキーであり、絶妙なタイミングでした。

電話で発達の遅れのことを伝えましたが「大丈夫ですよ。一緒に見学に来てください」と即答されました。

同じ小規模の認可外保育園ですが、娘のことを受け入れてくれた園と、退園を迫った園を比べてみると大きな違いがありました。

  • 【入園料】
  • 受け入れてくれた園:5万円
  • 退園を迫った園:1万円
  • 【寄付】
  • 受け入れてくれた園:年3度あり(ハンドソープやティッシュなど消耗品)
  • 退園を迫った園:なし
  • 【保育料】
  • 受け入れてくれた園:7万円以上
  • 退園を迫った園:3万円程度
  • 【保育士】
  • 受け入れてくれた園:10年以上の保育経験者が7割
  • 退園を迫った園:未婚の若い保育士のみ
  • 【補助の先生(無資格の先生)】
  • 受け入れてくれた園:併設の教会関係者が園を手伝っている(いつも同じ人達)
  • 退園を迫った園:複数のパートが交代で昼時や延長保育の時間にのみ入る
  • 【保育士の個人的な情報】
  • 受け入れてくれた園:保育士と保護者の距離が近い。日常的な会話からいろいろ漏れ聞こえてくる
  • 退園を迫った園:保育士と保護者の間に壁がある感じ。保育士のプライベートは全く聞こえてこない
  • 【入園予定者】
  • 受け入れてくれた園:新年度の入園児は、園児の弟や妹のみ(新規の園児募集がなく、待機児もなし)
  • 退園を迫った園:常に数十人の待機児がいる
  • 【保育時間】
  • 受け入れてくれた園:土日祝祭日、盆、年末年始は休み
  • 退園を迫った園:365日いつでも預けられる
  • 【連絡帳】
  • 受け入れてくれた園:なし(送迎の時に、一人ひとり保育士が話をする)
  • 退園を迫った園:あり(保育士のコメントなし)

娘を受け入れてくれた保育園は、入園料や保育料が全然違い、また、園児に関わる大人が常に同じ顔ぶれでした。

更に、保育士が休む日もしっかり確保されていて、漏れ聞こえてくる先生たちの私生活も充実したものでした。

障害児のような手の掛かる子を受け入れてくれる園は、保護者に対してかなり負担を要求してきている上、働き手である保育士の労働環境が整っているのだと実感しました。

また、既に預かっている園児の保育の質を高く保つことに重点を置いているようにも感じました。

この保育園のおかげで、我が家は共働きを続けることができ、また、娘も笑顔で登園できており、得意なことを見付けることもできました。

親にとって都合がいいことが多い保育園は、注意して実態を確認するべきだったと感じています。

幼稚園はほぼ絶望的なことが多い

発達障害情報ナビ_幼稚園はほぼ絶望的なことが多い私は保育園に子どもを預けたのですが、障害児を幼稚園に預けたママ友から聞いた話によると、幼稚園入園は保育園以上に厳しいものだそうです。

そもそも幼稚園は教育機関であって、福祉施設ではありません。

義務教育でもないので「園の方針や理念を理由に、入園する子どもを園が選べる」という特徴があります。

発達の遅れがある子は入園願書さえもらえないことが現実にあるようです。

発達に遅れがない子でも「オムツが外れていない」「椅子に座っていられない」という理由で入園できないことがあるため、発達に遅れや障害があると、入園は非常に難しくなりますね。

なお、公立の幼稚園では受け入れてくれることもありますが、そうした園には障害のある子どもが集中します。

入園できたものの、園での指導体制が整っておらず、園児が思うような教育を受けられないということも起こっているようです。

発達障害児であっても、障害のない子どもたちと同じように、就学前に集団生活経験を普通に積むことができる社会になると良いですね。

まとめ

発達障害情報ナビ発達の遅れや障害がある子の場合、障害をカミングアウトすると保育園や幼稚園の入園を断られることがあります。

だからといって園に障害を伝えずに入園すると、後でトラブルになることがあります。

発達障害児は保育園・幼稚園探しのハードルがとても高くなりますが、適切なサポートを受けるためには、対応環境が整っている園を探し出す必要があります。

ただ、例え入園できたとしても、親が負う負担が大きいことも珍しくありません。

発達に遅れや障害がある子どもであっても、ごく自然に集団生活経験を積めるような社会が実現するのは、いつになるのでしょう。

一億総活躍社会の中に、そうした場が作られることを切に願います。

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