ADHDは脳の機能障害が引き起こすものであり、その子の性格や家庭環境、教育のせいではありません。
健常児と同じように叱っていても、ADHDの特性を持つ子どもには理解できなかったり、頭では分かっていても行動できなかったりして困ってしまう、ということが度々起こります。
これは「自分を上手くコントロールできない」という脳の障害によるもので、決してその子のわがままではないのです。
ADHDの特性を持つ子と向き合う時、そのことを理解した上で対応するのとしないのでは大きな差があります。
ADHDであるかもしれないということを疑うことなく健常児と同じように接した場合、親子共に大変なストレスを抱え続けてしまうことになる可能性が高いのです。
「どうやって対応すればいいの?」という疑問に答えられるよう、今回は具体例を示しながら分かりやすくまとめました。
さらに後半では具体的な対策についてもまとめましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ただし、小学生程度のお子さんをイメージして書いていますので、全ての年代に当てはめて考えるのは難しいかもしれません(基本的な対応の参考にはなるとは思います)。
この記事が、ADHDの特性を持つお子さんやその疑いのあるお子さんを育てている保護者の皆さんのお役に立つことができましたら幸いです。
ADHDとは
ADHDは発達障害のひとつであり、家庭環境やしつけの仕方によって引き起こされるものではありません。
詳しい原因はまだ解明されていないものの、発達障害の原因は脳の機能障害だと考えられています。
ADHDには「衝動性」「多動性」「不注意」の3つの特徴があります。
「衝動性」は、思いついたことをすぐに行動にうつさないと我慢できないこと。
学校では教師やクラスメイトに「ルールを守れない子、わがままな子」というレッテルをはられることもよくあります。
「多動性」は、じっとしていることが苦手で、授業中やテスト中でも常に体を揺らしたり、音をたてたりしてしまうこと。
注意を受けても状況をあまり判断できていないことが多く、悪いという意識はほとんどありません。
そのため、その時は反省していてもすぐに忘れて同じことを繰り返す傾向もあります。
「不注意」は、片付けや物を管理することが苦手で、いつも失くし物をしている、または忘れ物が多いことなどが挙げられます。
ADHDの特性を持つ子どもは、同じ年齢の子どもに比べて、自分をコントロールする力が弱く、実年齢よりも幼く見られがちです。
目標に向かって努力をしたり、計画的な行動をとることも上手くできません。
「後の楽しみ」のために「今頑張る」ということは苦手で、常に意識が「今」に集中している点が大きな特徴です。
ADHDの特性を持つ子どもに健常児と同じような対応をしていてもあまり効果はなく、親子共にストレスを抱えてしまう恐れもあります。
ではどのような対応をしていくべきでしょうか。
次章から詳しくご紹介します。
ADHDの特性を持つ子どもへの適切な対応
基本的な対応
適切な対応をするためには、まずはADHDの特性をよく理解し、その特徴に合った接し方をしていくことが大切です。
その際には、子どもに関わる大人が一貫した態度を取り、ブレない対応をすることも重要となってきます。
また、子どもはほめられることが大好きです。
特に発達障害児は、これまで成功体験を積んだ経験が少ない場合がほとんど。
そのため、目標を決めて達成できたらしっかりほめることを繰り返しながら、やる気を持続させていくことが効果的な対応となります。
具体的な対応例は以下の5つ。
最低限の注意のみ行うこと
ADHDの特性を持つ子どもは、これまでに学校や家庭内でたくさんの大人から注意を受けてきています。
特に家庭では、朝から晩まで注意されてばかりというケースも珍しくないでしょう。
しかし、それでは子どもの自尊心を傷つけることになってしまいます。
悪いところばかりに目が行ってしまうのは仕方ありませんが、それはADHDの特性を持つその子が悪いのではなく、脳機能が引き起こしているものだと考えると、少し気も楽になるのではないでしょうか。
一度思い切って、悪い行動は無視してみましょう。
その代わり、よい行動をした場合にはたくさんほめてあげてください。
どんな小さなことでも、良いことをすれば口に出してほめると効果的です。
これを続けていくとお子さんには必ず変化があります。
これまで注意ばかり受け続けてきた子には、大きな変化がみられるかもしれません。
もしそれが難しければ、注意する回数を減らし、本当に必要な注意だけにしてみましょう。
これだけでも変化は見られるはずです。
何かできた時はすぐにほめてあげること
ADHDの特性を持つ子どもにとって常に「今」が興味の対象であり、先のことにはあまり関心を持てないため、目標のために継続して努力をするということが苦手です。
しかし、それではしつけができないことになってしまい、放っておくと将来的に苦労することにもなりかねませんね。
💡対処法:まずはスモールステップでできる簡単な目標を立ててみましょう。
「お手伝いをする」「物を出したら元に戻す」などすぐにできる簡単なことから始めると良いですよ。
そして、できたらすぐにほめてあげてください。
※毎日同じことを継続してできている場合にも、たっぷりほめてあげてくださいね。
「認めてもらえた」ということが、お子さんを興味のないことでもやってみようという気持ちにさせていきます。
「気付いたらそれが習慣になっていた!」ということになれば狙い通りです。
ぜひ試してみてください。
計画を立てること
ADHDの特性を持つ子は常に落ち着きがありません。
そのため、なかなか生活のリズムがつかめず、夜遅くまでダラダラ起きていたりお風呂に入っていなかったり、やるべきことを放ったらかしにしてゲームなどの興味のあることだけに集中してしまいがちです。
そのような場合には、親御さんがお子さんの生活のリズムをスケジュール化してあげると良いですよ。
一日のスケジュールを家族の誰もが見られるような大きな表にして、次にすることをわかりやすくすると効果的です。
自分が家に帰って寝るまでに何をしなければいけないのかが分かると、子どもは落ち着いてきます。
これを習慣化し、生活のリズムが安定してくると心も落ち着き大きなトラブルも起きにくくなるでしょう。
目に見える楽しみを用意すること
子どものやる気を引き起こすには「ほめる」ことが大切だと前述しましたが、ほめ言葉だけでやる気を持続させるのは難しい場合もよくありますね。
その場合には、目に見える楽しみを用意してあげましょう。
例えば、目標達成ごとにポイントが溜まる「ポイント制」にして、〇点たまったらごほうびをもらえるというような「ごほうび方式」にするのも効果的です。
ポイント表を子どもの目につきやすい場所にはっておくことも良いでしょう。
子どもは素直なので、表が貼ってあれば見ていないようでしっかりチェックしているものです。
「ポイントが貯まって嬉しい」という感情とセットで行うと効果的なので、一緒にほめることも忘れないようにしましょう。
自尊心を育てること
ADHDの特性を持つ子どもは何かと叱られる機会が多く、自尊心が育っていないケースが多いことも特徴のひとつです。
💡毎日の生活の中で「昨日までできなかったことができた!」など、成功体験を積めんであげられるようにして、「自分でもやれる!」という心を育ててあげましょう。
不適切な対応
ADHDの特性を持つ子どもに対して不適切である対応を知っておくことも、トラブル防止に役立ちます。
ADHDの特性を持つ子は多動性ゆえに、じっとしていることが苦手です。
それを注意されると瞬間的な反省はしていても、行動にはなかなか移せないのでさらに注意を受けます。
ADHDの特性を持つ子を育てる親御さんならば、過去に同じような経験をされたこともあるかもしれません。
しかし、そのようなことを繰り返しても、負のスパイラルが続くだけで何の解決にもならなかったのではないでしょうか?
このような事態を防ぐため、ADHDの特性を持つ子にとって最も不適切な対応についてご紹介します。
決して手はださないこと
一生懸命に子育てをしている親御さんこそ、子どもが思うような成長を見せてくれないとどうしてもイライラが溜まってくるものです。
「なぜ?」「どうして?」と考え出すとさらに深みにはまってしまいがち。
それが積み重なって溢れ出す頃になると、子どもに裏切られたような気持ちになったり、時にはうとましく感じてしまったりしてつい手を出してしまうこともあるかもしれません。
しかし、体罰では何も解決しません。
力で押さえつけただけでは子どもは傷付き、親への不満を募らせ、しいては大人に対する信頼感まで失ってしまいます。
また、体罰ばかりを繰り返していると、子どもはおびえ、自分に自信を持てないまま大人になってしまうかもしれません。
そうして育った子どもは、さらに他人を傷つけるようになる可能性も高くなってしまいます。
「命に関わるような重大な失敗をした」など、どうしても強く叱る必要がある場合は、一度だけに留めておくと良いでしょう。
それ以上は子どもには怒鳴られた記憶しか残りません。
強く叱った後は、なぜ叱ったのかを優しく丁寧に説明してください。
叱られた原因が分からない子どもは多いものです。
アフターフォローがあるのかないのかでは、叱られたことに対する子どもの受け止め方も大きく違ってきます。
ネガティブワードを口にしないこと
「言霊」という言葉があるように、言葉の力は体罰と同様に絶大です。
それが親御さんからの言葉である場合、計り知れない影響力を持っています。
例えば、叱っているうちにどんどん感情が高ぶり、つい暴言を吐いてしまう親御さんもいらっしゃいます。
日々の疲労が蓄積してくると、気持ちとは裏腹についそのような言葉を使ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、言われた子どもは自分の存在を全否定された気分になり、余計に反抗的になるか自信を失い無気力な子どもになってしまいます。
そのため、どんな状況の時にも親御さんはお子さんに常にポジティブな言葉で語りかけ、ネガティブワードは封印してしまいましょう。
どうしても暴言を言ってしまいそうな時は、親御さんにもリフレッシュする時間が必要です。
常に肩に力が入っているなら、ヨガやストレッチ、呼吸法で体を整えると良いですよ。
また、森林浴には非常に強い癒しのパワーがあります。
森林浴が難しい場合は、植物と触れ合う時間を持つと心が安らぎ、リラックス効果が高まります。
アロマの香りを楽しむこともおすすめです。
放置しないこと
子どもに何度同じことを注意しても一向に変化がみられなければ、いくら熱心な親でも落ち込み疲れ切ってしまいますよね。
子どもの姿をこれ以上見ていたくないと感じる時もあるかもしれません。
しかし、「この子には言ってもしょうがないから」と諦めてしまっては、その子の将来は暗く閉ざされてしまいます。
子どもは親の愛情を敏感に感じ取ります。
親御さんから何も言われなくなった子どもは、「見捨てられた」と感じ、ますますひどい状態になる可能性もあります。
どんな時にも親に求められるのは、「冷静な対応」です。
簡単にできることではありませんが、親御さんが常に冷静な対応をしていれば、子どももそのうち安定します。
何事も「些細なことは気にせず、辛抱強く、長期的なスパン」で考えていくことが冷静でいられる秘訣です。
発達障害があろうがなかろうが、共通することは「不適切な対応を辞め、子どもに愛情をしっかり伝えていくこと」です。
「いつも大切に思っているよ」という愛情が子どもに伝わっていれば、右往左往しながらも子どもは正しい方向へ成長していくはずです。
もし適切でない対応に思い当たることがあれば、ぜひ新たな対応を試してみてください。
そして、お子さんの変化をぜひ感じてくださいね。
年齢別ADHDの子どもへの対策
幼児期
この時期の子どもは、自分から興味のある対象にどんどん向かっていく時期です。
従ってADHD特有の「落ち着きのなさ」が大きな事故につながる可能性もあり、この年齢のお子さんには注意が必要です。
では、どのような対策が必要でしょうか。
ここでは具体的な対策についてご紹介します。
💡落ち着きのない子どもへの対策
落ち着きのない子どもは、交通ルールや公共マナーがよく守れないため、親御さんは外出する度にひやひやすることの連続ですよね。
それを放置しておくと、そのうち外出することが億劫になってしまいます。
そんな時は場面や状況に合わせた対策を立てておくと役立ちます。
ここではADHD特有の落ち着きのない子どもに有効な対策についてご紹介します。
<ルールカードやルールブックを使う>
ADHDの特性を持つ子どもの行動は予測がつかないのが特徴です。
交通ルールも無視して行動することがよくあるので、外へ出る時は必ず手をつないでおくことをおすすめします。
📌対策:お手製のルールカードやルールブックを作り、出かけた際に必要に応じて見せる。
ルールカードやルールブックは、イラストなどで分かりやすく作ると効果的です。
それを使って、その場に合わせたふるまいやマナーを事前に予習するのも良いですよ。
特に交通ルールなどはその都度何度も確認させ、徹底的に教えていくと安全な行動がとれるようになってきます。
このようなグッズを使えば、公共の場でも何度も同じことを言わなくても分かるようになるので大変便利です。
<出かける場所を選ぶ>
図書館や映画館、劇場などの公共施設は、終始まわりに気を使わなければならないので親子にとって大変ストレスがかかります。
出かける際には公園や自然と触れ合える場所などを選び、のびのびと遊ばせてあげると良いですよ。
また、スポーツなどの習い事を始めるのも効果的です。
体をめいっぱい動かせば活発な子どもに育っていきます。
さらに「できた」「ほめられた」という経験はどんな子どもにとって尊いものです。
スポーツなどを通して、持っている能力が活かせれば、怒られてばかりいた子は自分に自信を持てるようになるでしょう。
<一日のスケジュールを決めておく>
一日の流れをしっかり把握し、それに沿った行動をさせることも大変重要です。
スケジュールを考える際には「活動的な時間」と「静かに過ごす時間」のメリハリをつけて考えていくと良いでしょう。
その際、夕方以降は「静かに過ごす時間」をメインに考え、就寝に向けたリズムを作ってあげることも大切です。
生活のリズムが整えば、子どもも安心して一日を過ごせるようになり安定してきます。
スケジュールは親御さんが考えましょう。
それをお子さんと会話をしながらゆっくり定着させていくとスムーズにいくようになりますよ。
学童期
学校へ通い始める学童期になると、ADHDの特性が目立ってくるようになります。
中でも、「忘れ物が多い」などの自己管理能力の低さが目立つことがよくあります。
ここではそのような場合の具体的な対策についてご紹介します。
💡忘れ物が多い子どもへの対策
ADHDの特性を持つ子どもに「忘れ物が多い」のは、「ワーキングメモリ」が不足しているから。
ワーキングメモリが不足すると、必要な記憶を必要な場面で上手く取り出せずに、ケアレスミスを繰り返したり、記憶が定着しにくいといった問題を引き起こします。
そのため「忘れ物をなくす」対策としては、「リスト」を活用するのが効果的です。
必要なものは全てリスト化し、それを見ながら準備する習慣をつけると良いですよ。
例えば、学校の時間割で必要なものを全てリストアップし、確認しながらランドセルに入れる練習を毎日繰り返すとそのうち一人でもできるようになります。
ただし最初のうちは親御さんがリストを作成、または確認し、一緒に準備をしてあげてください。
これを毎日のルーティーンとなるまで根気強く続けましょう。
さらにワーキングメモリを強化していくためには、必要な情報を「思い出す」訓練も必要です。
訓練というとおおげさですが、親子で会話をしながら「今日は何か大事なことがあったよね?」というような問いかけをするだけで大丈夫です。
お子さんが重要なことを忘れている場合には、自分自身で思い出せるように促してあげてください。
そうすることで、必要な情報を自分で取り出せる力を鍛えることができます。
対策の立て方
子どもが抱える問題はそれぞれ違っているものですよね。
では、上記以外の問題が起こった場合どのように対策を考えていけばよいのでしょうか。
ここでは対策を考えるための手順についてまとめています。
<1.問題行動を書き出す>
まずは、お子さんの気になる問題行動を全て紙に書き出してみてください。
学習面、マナー面、対人関係など、気になるシーン別に箇条書きに書いていくと良いですよ。
ある程度書き出したら、その中で最も気になる行動をさらにピックアップし、一番改善したいものから優先順位をつけていきましょう。
<2.解決方法を書き出し、対策を立てる>
お子さんの問題行動を改善したい順に優先順位をつけたら、どうすればそれらを解決できるかを考えていきます。
大きな目標を一気に改善することは難しいため、小さな課題に細分化しておいてください。
「この子の年齢ではこのくらいはできて当たり前」と思うとなかなかうまくいきません。
お子さんの実年齢の3分の2程度の年齢を想定して対策を立てていくと良いですよ。
具体的な対策としては、例えば「家庭学習をしない」が改善しない問題行動だった場合、「夕食前までに兄と一緒にやって終わらせる」といった目標を立てておきます。
それが「1週間連続でできた時には、ごほうびをあげる」というような対策を立てると、お子さんも喜んで取り組めるでしょう。
他にもお子さんにどんな方法なら取り組めそうか聞いてみるのも良いですよ。
いくつか意見を書き出して、その中からお子さんが実際に選んだ方法であれば、継続させやすいこともあります。
このようにお子さんの状態に合わせた対策を立てることは、気になる問題行動がすっきり整理され、把握しやすくなるという親御さんにとっての利点もあります。
しかし、せっかく考えて立てた対策も、継続できなければ意味がありません。
お子さんと一緒に考えたことは、家の中の目につきやすい場所に貼っていつでも確認できるようにするというのも一案です。
ただし、ずっと貼りっぱなしにしておくと次第に効果も薄れていきますので、時々手を加えて、お子さんの目に留まりやすいよう工夫することも必要です。
現在、書籍やインターネット上でもたくさんの手立てや対策を探すことができます。
その中で効果的な方法はどれかと言われても、子どもそれぞれに合う合わないということがあるので、やってみなければ分からないことがほとんどです。
前述した対策の立て方は、子ども本人の問題をピックアップして親子で考え出していくものですので、どんな方法よりもやってみる価値はあるのではないでしょうか。
ぜひ試してみてください。
集中力を高める効果的な方法とは?
ADHDの特性を持つ子どもは多動傾向があるため、集中力を持続させることが苦手です。
これが最も苦手なことだという子もいるかもしれません。
ADHDの特性を持つ子はまず「始める」ことが苦手ですし、「集中して取り組む」ことも苦手です。
そのため、課題を「終わらせる」こともなかなかできません。
では、どのような対応をすればよいのでしょうか。
それぞれの段階別に詳しくご紹介します。
「始める」ために効果的な方法は?
ADHDの特性を持つ子が課題をなかなか「始められない」理由は、「今していることがやめられない」「自分から動くことができない」「課題が難しくてやる気にならない」などが挙げられます。
「今していることがやめられない」「自分から動くことができない」という場合には、課題を始める時間をスケジュール化して「ごほうび制」を取り入れると、子どもが自分から率先して動くようになりますよ。
決まった時間にきちんと課題を始められたら〇ポイント、〇ポイント溜まったら好きなことができる(またはもらえる)と決めるのです。
決まった時間の10分前くらいから声かけをして、準備をさせておくとスムーズに行えます。
声かけが難しければアラームなどの音で知らせても良いですね。
何もなくても時間になったら机に向かえるようになることが理想です。
なかなか始められない理由には「課題が難しくてやる気にならない」という場合も考えられます。
その場合は難易度を下げたり、一度に行う量を調整すると良いですよ。
宿題に関しては、先生に相談して取り組み方を検討していきましょう。
「集中して取り組む」ために効果的な方法は?
課題に「集中して取り組む」ことができない理由は「他のことが気になる」という場合がほとんどです。
ADHDの特性を持つ子どもは、身のまわりのささいな音やおもしろそうな物があると、どうしてもそちらへ興味が向いてしまいます。
集中しているときに「よくがんばっているね」などプラスの声かけをすると、子どものがんばる力が持続しやすくなりますよ。
逆に集中できていない時にマイナスの声かけをすると、一気にモチベーションが下がってしまうので注意が必要です。
また、周囲に気が散りそうなものは置かないようにしておくことも大切です。
「終わらせる」ために効果的な対応は?
課題を「終わらせる」ことがなかなかできない理由も、前述したような理由から引き起こされます。
そのため、課題を確実に「終わらせる」ためには、子どもが継続する楽しさや達成感を味わえることが大切です。
その方法の一つとしてポイント制を取り入れたり、課題が終わるとごほうびがもらえるなどの楽しみを与えるように工夫します。
ごほうびとともに「よくできたね」「がんばったね」などの声かけをし、ほめて達成感を持たせると相乗効果でさらにやる気が高まりますよ。
集中力を持続させることは、ADHDの特性を持つ子どもにとって最も大きな課題の一つです。
そのため、毎日の継続した取り組みが重要になってきます。
「がんばった後には、いいことが待っている」という感覚をお子さんにしっかり持たせることがポイントです。
きちんとできたらごほうびとともに、しっかりほめて「嬉しい」「楽しい」という気持ちと「達成感」を味あわせてあげてくださいね。
まとめ
ADHDの特性を持つ子どもは多くの場合、叱られることが多く、ほめられたり、達成感を味わうような機会が少ないまま育つ傾向があります。
そのため自分に自信が持てず、イライラをつのらせたり、反抗的な態度をとるケースも多くみられます。
このような場合、周囲がその子にとって適切な対応をとることができれば、状況は大きく変わる可能性があります。
ADHDの特性を持つお子さんが本来の力を十分に発揮し、いきいきとした生活を過ごせるようになるには、周囲の協力が不可欠です。
そして何より、親御さんの理解と愛情なしには成り立ちません。
今回ご紹介した適切な対応と対策はご家庭ですぐに始められるものばかりです。
基本的な部分にしぼりご紹介しましたためほんの一部しかご紹介できていませんが、少しでもお役立ていただければ幸いです。
コメント