ADHDの特性を持つ子どもたちは基本的な体力・持久力が低く、体幹筋力が弱い傾向にあります。
協調運動障害があるために縄跳びや鉄棒、球技などの協調性を要求される運動が苦手な子どもも多くいます。
「学校で先生によく注意される」
「忘れ物が多い」
「友達の輪の中に入りづらく、学校での居場所がない」
不注意・多動性・衝動性がみられ、上記のような経験をしているかもしれません。
このような生活のしづらさが起こるのは、脳の前頭連合野の機能障害がみられるためと言われています。
ADHDの特性を持つ子どもには、【脳の活性を促す運動】がおすすめです。
運動は脳の機能向上を図るだけでなく、基本的な体力・持久力や心肺機能の向上、精神的な安定、体幹筋力やバランス能力、運動コントロールの向上など期待できる効果もたくさんあります。
全身を使うウォーキングなどの有酸素運動、トランポリン、サッカー、水泳などが特におすすめです。
これらの運動を継続的に行うことで脳の活性化が図られ、ADHDの特性にも良い影響がみられるかもしれません。
なぜADHDに運動が良いのか
日常生活動作やスポーツ、楽器演奏などは全て身体を動かすことで行われます。
例えば、「服を着る・食事・トイレ・入浴・スポーツ・楽器の演奏」などの動作は、「物に合わせて動く」「操作する」などの身体を動かす以外にも「どのように行うのか」「いつまでに行うのか」と計画的に行動して、臨機応変に対応することなど認知機能も必要です。
ADHDで機能障害がみられるとされている脳の前頭連合野は、運動を司る運動野、運動前野とともに前頭葉内に存在しており、「状況を把握し、適切な判断を下して行動を起こす」機能を担っています。
運動とは、周りの状況を把握して、適切な判断を下して身体を動かすことによって行われます。
また、相手や仲間の動きを読むこと、どうすれば上手くいくのかを考えるなど、常に状況判断をしながら次の動きを生み出します。
すなわち、運動とは脳を非常によく使い、脳の活性化を促すものなのです!
運動を行うことで爽快感や達成感が得られるため、精神的な安定をもたらす効果もあります。
情動のコントロールが苦手なこともADHDのひとつの特徴ですが、運動をすることによって気持ちの落ち着きが得られますし、目標を達成することで自信がつく効果もあります。
💡何歳になっても運動は効果的
脳の前頭連合野は、人が問題に直面した時に解決する能力があり、年をとっても成長する領域であると言われています。
運動は生活動作や活動を行うための基本的な体力や持久力を育むこともでき、心肺機能を高めることもできます。
また、運動を行うことで得られる爽快感や、達成感などの精神的な側面も、年齢問わず得ることができるのです。
発達期の子どもはもちろん、ある程度年齢を重ねた人でも運動をすることで「身体と脳と心の機能」が促されるのです。
ADHDにおすすめの運動
ADHDにおすすめの運動は、どのようなものがあるのでしょうか?
ADHDの療育でもリハビリやトランポリン、サッカーなどの運動が取り入れられています。
では、おすすめの運動を【6つ】ご紹介していきます!
有酸素運動
息が弾むぐらいの有酸素運動を継続することにより、認知機能が改善するという研究報告があります。
運動をすることで脳への血流が増すこと、神経細胞と神経細胞のつなぎ目であるシナプスの成長を促すことなどが言われており、脳が活性化することにより、脳機能の向上が期待できます。
息が弾むくらいの有酸素運動にはウォーキング、ジョギング、水中運動などがありますが、毎日継続できる運動とすれば【歩くことがおすすめ】です。
毎日お子さんと30分程度のウォーキングを行うと親御さんの運動不足解消にもなりますし、おすすめです。
トランポリン
発達障害児の療育として作業療法、理学療法の中でも用いられることのあるトランポリンは、前述の有酸素運動のひとつでもあります。
ADHDの特性を持つ子の中には、協調運動障害を持っている子や体幹が弱い子も多くいます。
身体の軸がしっかりとれないことが、生活上での様々な動作がスムーズに行いにくいことに結びついているケースもあります。
トランポリンは、ジャンプして空中での姿勢を保つことが必要であり、体幹筋力・バランスが必要とされるスポーツです。
体幹筋力が鍛えられ、バランス能力が増すことにより、身体を動かすことや、動作を行いやすくなることが期待できます。
また、トランポリンは真っ直ぐ高く飛びます。
「こう飛びたい!」というイメージと、実際に飛んだ時の身体の姿勢や動作の修正を繰り返し行いながら、自分でより良く飛べるように調整をはかるために脳が働きます。
トランポリンは体幹筋力・バランス能力・運動コントロールの向上が期待でき、脳機能の向上を促すこともできるスポーツです。
子どもはジャンプする動作が大好きですので、楽しみながら取り組むことが出来るのも良いですね!
サッカー
海外ではサッカー療育はメジャーであり、日本でも発達障害児のためのサッカー療育を行う放課後デイサービス等の事業所が増えてきています。
では、なぜ療育にサッカーなのでしょうか?
サッカーは「走る」「両方の足を使って蹴る」「蹴る時の全身のバランス」など全身を使うスポーツです。
そして、チームのメンバーや相手チームとの相互関係の中でプレーするため、常に自分はどのように動けば良いのか、どのようなボールを誰に出せば良いのかなど考えながら動かなくてはなりません。
チームのメンバーとのコミュニケーションも必要です。
全身をフルに動かし、認知機能も鍛えられ、コミュニケーション力を高める要素がたくさん詰まったスポーツです。
子どもはボール遊びが大好きですよね。
- ボールを蹴りながら楽しんで運動ができる
- 参加しているうちに走って考えてボールを追っている
- 仲間との集団活動の経験もできる
このように、サッカーはADHDを含む発達障害児のための療育として適したスポーツなのです。
水泳
水泳は一人で行うことが出来るため、他人と上手くコミュニケーションをとることが難しいという特性を持っている場合にも続けやすいスポーツです。
ADHDをはじめとする発達障害児には体力や持久力がないという特性がありますが、走ることが苦手でも、水泳であれば、浮力のある水の中ですから比較的少ない力で身体を動かすことが出来るためおすすめです。
- 陸上での運動が苦手
- 体力や持久力がない
- 集団活動が苦手
上記に該当したとしても、水泳は取り組みやすい運動のひとつです。
水泳も有酸素運動であり、泳ぐことで全身の筋肉を使いますし、水圧も相まって心肺機能が高まり、体力・持久力・筋力の向上にもつながります。
また、水に入ることには癒しの効果もあります。
体操
体操は、全身を使いながら自分の身体をコントロールして動かすという経験が得られます。
前転や後転、跳び箱、平均台、鉄棒などの活動を通してバランス能力や、体幹筋力も鍛えられます。
これらの活動は四肢の協調性が必要であるため、協調運動障害のある子は苦手とする場合の多い活動ではありますが、「できるように練習する」というよりは、【身体を動かす中で、より良い姿勢や動作の感覚を身につける】というスタンスで取りかかると良いでしょう。
「できない」から「できる」ように!というスタンスでは、子どもにもプレッシャーがかかってしまい、「できない」失敗体験が強く心に残ります。
💡 ≪できなくても良い、色々な姿勢や動作を行う経験が大切≫
楽しみながら取り組むことが、発達を促すには重要です。
ボルタリング
最近、競技としても注目を浴びているボルタリング。
一見、手の力が重要かと思われますが、それ以上に体幹の安定性が必要なスポーツです。
「次はどこに手をかけよう?」「どこに足をかけようか?」など、自分の身体をどのような位置にもっていくのかを常に考えながら、次の姿勢のイメージと合うように身体を調整して動かしていくことが必要です。
認知機能をフルに使うとともに、全身を使って体幹筋力を鍛えることもできるスポーツですので、ADHDの特性のある子におすすめです。
まとめ
💡 運動は脳に良い影響を与えます。
脳の機能障害があるとされるADHDの子どもたちには、脳の活性を図り、機能向上を促す運動が最適ですので、何かひとつ有酸素運動を続けることは非常におすすめです。
脳機能の向上を図る以外にも、基本的な体力や持久力、体幹筋力やバランス能力を促すためにも運動は有用です。
プラスして、家庭内でも習い事でも良いので、身体を動かすことと認知機能をフルに使う経験を重ねることが重要です。
トランポリンを使って空中でのコントロールを身につけることや体操で四肢の協調性を促すこと、また、家族と外に出掛けて山登りを楽しみながら、自然の刺激をたくさん受けるという経験をするのも良いですね。
運動すること、身体を動かすことで自分に起こる変化を察知し、気づき、自分でより良い方向に修正していく過程を経験し、積み重ねていくことが大切なのです。
ぜひお子さんへ様々な運動や活動の経験の場を与えてあげてくださいね。
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