発達障害児とアニマルセラピー~動物と触れ合う効果とは~

アニマルセラピー 発達障害 メンタル

動物と触れ合うことで、主にメンタル面での健康を回復させることができる「アニマルセラピー」は、発達障害児にもとても良い効果があると言われています。

アスペルガー症候群とADHDの混合型として生まれてきた私は、今まで30年間ペットに支えられて、ここまで生きてこれたと言っても過言ではありません。

そんな私のこれまでのペット飼育歴や、当時ペットが私にとってどんな存在であったかをご紹介します。

さらに、自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群)やADHDなどの発達障害の特性を持つ子どもにとって、

  • ペットがどんな存在なのか
  • どんなペットを迎えれば良いか
  • どんな飼育方法が良いのか

もご紹介します。

お子さんのために、私の体験が少しでも役立てば幸いです。

ペットは発達障害者の「孤独感」と「自己嫌悪」を和らげてくれる

アニマルセラピー 発達障害 メンタル発達障害児は対人コミュニケーションの中で上手くいかないことがあると、途方もなくつらい気持ちになるということがたびたびあります。

自分自身が他の人とは違うという「孤独感」と、コミュニケーションがうまくできない自分への「嫌悪感」を持って生きているのです。

「理解してもらえない」と思い込んで更に落ち込んでしまうという悪循環から、小児うつや神経症などの二次障害に発展し得る可能性もあり、周囲の人たちの対応も重要となります。

しかし、健常者と発達障害者は考え方の仕組みそのものが違っていますし、100%の理解を追い求めても、それはやはり大変に難しいものです。

そしてそれは、発達障害の当事者が日々の中で一番痛感しているはずであり、だからこそ想いを言葉にできずに「孤独感」や「自己嫌悪」を感じてしまうのです。

もちろん周囲の人々が真剣に話を聞いたり、理解しようとしたりすることは日頃からしておきたい大切なケアのひとつですし、それは当事者にとっても大変心強く思うことです。

ただ、感情論を抜きにして本当にどうしようもなく、周囲に打ち明けることのできない「孤独感」や「自己嫌悪」というのは存在します。

一見そんなふうには見えなくても、ふとした時に感じるものなのです。

アニマルセラピー 発達障害 メンタル子どもの頃、私もそのような「孤独感」「自己嫌悪」に悩むことが多くありました。

そんな時に、私の心を和らげ、救ってくれたのはペットの存在でした。

ペットは言葉が通じなかろうが、ましてや発達障害があろうが、そういったことは関係なく、無条件で飼い主を信頼してくれます。

人が持つ固定観念や無意識の差別なんてものには一切揺らぐことなく、絶対的な心強い味方になってくれるのです。

もちろんペットのトイレ問題やご飯について、また、掃除などお世話に手がかかることは事実ですし、ペットの飼育をしたことがない人にとっては、最初は大変な思いをするかもしれません。

しかし、言い換えてみれば、新しい家族を迎えるという点で大変な思いをするのは育児も同じですし、ペットの場合、世話の大変な時期はそこまで長くはないので(もちろん個体差はありますが)、ペットを飼うことで得られるメリットのほうが多いと、当事者である私は自信を持って言えます。

発達障害以外のペット療法の実例

アニマルセラピー 発達障害 メンタル「アニマルセラピー」は、動物と触れ合うことで主にメンタル面での健康を回復させる効果があると言われています。

  • 高齢者医療、難病等の長期治療が必要な患者の気分転換
  • うつ病患者の生活習慣を作る
  • 不登校・ひきこもり等の問題に対しての改善目的

などとしても、アニマルセラピーが行われる機会が増えてきました。

他にも、ペットがもたらす情緒への好作用から、夫婦の不仲や思春期の子どもとの不和などの家庭内問題にも、コミュニケーション潤滑効果があるとされています。

そして、今回おすすめしているように、発達障害児に自信をつけさせる効果、お世話をすることによる自立心の芽生えのサポートとしてもペットたちが活躍しています。

その一方で、ペット療法の応用は運用の歴史が浅いこともあり、研究はまだまだ発展途上でもあります。

今後は研究が進んでいき、アニマルセラピーによってもたらされる効果や様々なメリットが、より科学的な観点から発見されていくことでしょう。

ペットに支えられて生きてきた私のペット飼育歴

発達障害情報ナビアスペルガー症候群とADHDの混合型として生まれて30年、私はペットに支えられてここまで来たと言っても過言ではないほど、ペットとの相性は良いと感じています。

そんな私のこれまでのペット飼育歴と、当時ペットが私にとってどんな存在であったかをご紹介します。

🐶 ジョン子(ミックス犬・♀)

私が5歳の時に、市の動物保護センターから引き取りました。

ジョン子は初めてのペットであり、私の成長はジョン子と共にあったように感じています。

シベリアンハスキーと柴犬のミックスで、とても大きく賢い犬でした。

小学高学年頃、どんどん学校に馴染めなくなっていって悩んでいた時、私はジョン子のお腹に突っ伏してよく泣いていましたが、ジョン子はいつも冷静で落ち着いていて、私が取り乱しても絶対に興奮することなく、ただ黙って慰めてくれていたのです。

高校生になっても私はつらいことがあるとジョン子に頼るほど、とても信頼していましたし、ジョン子もまた私を信頼してくれました。

子犬の時はとてもやんちゃな犬でしたが、私よりもずっと早く大人になって、いつもそっと見守ってくれる、頼れるお姉さんのような存在でした。

私が一人暮らしをするため実家を出てから二年後に、享年17歳で亡くなりました。

🐢 カメ太(クサガメ・♂)

ジョン子と同じく、私が5歳の時に家へやって来ました。

カメ太はいつも岩の上でボーッとしていて、何を考えているのかわかりません。

ジョン子とは対照的にとてもマイペースで、のんびり屋さんです。

積極的に私に懐いたりすることもありませんでしたが、カメ太を見ているとなんだかとても自由にのびのび生きていて、すごく羨ましく思ったこともありました。

大人になった私が将来や自分のことを考えふける時、よくカメ太を思い出します。

カメ太のようにマイペースに、自分のできることをのんびりやろうという結論に達すると、すっと肩の荷が下りたように気持ちが楽になります。

そういう意味では、カメ太は無口で消極的ではありましたが、実は大人になってから気づくような大切なことをたくさん、自らが体現して教えてくれていたのだなと思います。

カメ太は健在で、現在25歳になりました。

今も実家の母と元気に暮らしています。

🐹 トム(ジャンガリアンハムスター・♂)

私が10歳の時に初めて自分のペットとして迎えたのが、ハムスターのトムです。

発達障害と診断され、小学校高学年になった頃にだんだん自分が周りとは違うことを自覚して悩んでいた私に、両親が「ハムスターを飼ってみたら?」と勧めてくれたことがきっかけでトムと出会いました。

初めて責任感というものを教えてもらったこと、思春期に入ろうかという時期にトムを飼えたことは、当時の私の中ではとても大きなことでした。

また、とても楽しい時間を与えてくれました。

自分のランドセルを使ってトム専用のアスレチックを作って一緒に遊んだり、移動式のボール遊具に入ったトムと追いかけっこをしたりもしました。

言葉を話すことができないか弱い小さな動物が、こんなにも自分を信頼してくれているのだと思うと、日常生活の中での自信にも繋がっていったことを覚えています。

小動物ということもあり、三年ほどの命ではありましたが、人生の中で最も記憶に残る時期にトムを飼いはじめ、思い切り遊び、思い切り愛でて、最期のその時を迎えて思い切り悲しんだことも、存在感のある思い出として今でも私の中に息づいています。

🐶 バフィー(ミニチュアダックスフント・♀)

一人暮らしを始めてから二年後にジョン子がこの世を去り、その後まもなくして実家にやって来た犬がバフィーです。

バフィーは子犬を産むためだけにブリーダーの元で3歳まで暮らしていましたが、体がボロボロになって子犬を産めなくなったため、ブリーダーに捨てられてしまったという経緯のある子で、ブリーダーからバフィーを預かった動物病院から、母が引き取りました。

そういった生い立ちもあってか、実家にやってきた当初は常に何かに怯えているような、すごくナイーブな犬でした。

これまで散歩にも連れて行ってもらったことがないどころか常にケージの中で暮らしていたため、外を怖がり、3歳になるというのに肉球は赤ちゃんのようにピンク色で柔らかいままでした(おそらく肉球の皮膚が強くなっていなかったために、外の地面が痛くて怖がったのかなと思います)。

その時、私は20代前半で実家から離れて暮らしていましたが、バフィーは今まで飼ったペットとは違って深刻な人間不信でもあったため、足繁く実家に通い詰め、信頼をしてもらえるよう努めました。

もちろん、母も手をかけて大切にしていたので、それだけでもバフィーにとっては十分だったかもしれません。

しかし、私自身が一人暮らしの住まいではペットを飼うことができなかったこと、今日までの人生で一番つらい思いをしていた時期でもあったので、共に暮らしているわけではありませんでしたが、それまでのペット達と同じように近い存在でしたし、私自身もとても助けられました。

バフィーは健在で、今も実家で母と暮らしています。

今年で11歳、すっかり人間が大好きになった甘えん坊ワンコ。

元気に長生きしてほしいです。

🐶 ぺん&ろん(ミックス犬・♀&♂)

2015年、私はやっとの事でデザイナーの夢を叶え、就職し、忙しい毎日を送っていました。

生活にも多少の余裕ができてきたため思い切って予ねてから熱望していたペット可の物件へ引越し、それから間もなくして出会ったのが現在飼っている2匹の兄弟犬「ぺん・ろん」です。

当初は2匹育てることは考えておらず、ぺんだけを育てていました。

しかし、ぺんと出会ったペットショップの系列の別店舗をたまたま見に行った時、少し成長して大きくなった「ぺん」にそっくりな犬が半年以上誰からも飼われることなく、「最終値下げ」という札をつけられていたのです。

もしやと思い、お店の人に調べてもらった結果、やはり兄弟であることがわかり、後日改めてこの犬を引き取りに行きました。

この子が「ろん」です。

2匹は見た目はそっくりですが、性格が正反対で、にぎやかで見ていて飽きることがありません。

そして、2匹ともとても優しい犬です。

ぺんは、普段はやんちゃでいたずらもたくさんしますが、私が落ち込んでいるときは元気付けようと、ボール遊びに誘ってくれたり、顔をぺろぺろ舐め回して、まるで「元気出して」と言っているかのような表情で慰めてくれます。

元気のかたまりで太陽みたいに明るい、天真爛漫で素敵な子です。

ろんは、普段からとてもおとなしい犬で、吠えることもほとんどありません。

遊ぶことよりも私の膝で眠ることが大好きな、気弱で甘えん坊な男の子です。

でも、私が落ちこんだり悲しんだりすると、途端に立場が一変し、いつまでもそっと黙って寄り添ってくれるような、頼れる男の子になります。

ぺんとろんを飼ってから今日までの二年の間には、私の結婚もありましたし、会社勤めをやめるという選択もしました。

一軒家へ引っ越しもしました。

ある意味、転機続きの激動の中で、時に動揺することもありましたが、二匹はいつも明るく、環境が変わっても柔軟に順応してくれて、何より強く優しくいてくれました。

大人になり自立した、かつての「発達障害の子ども」は、二匹に助けられながらも今ここに、毎日楽しく生活しています。

毎日元気をもらっている分、わたしたち人間よりもずっと短い人生を精一杯生きる犬たちに、幸せに暮らしてもらうために、私は今日も生きなければいけません。

ペットが教えてくれた「信頼・幸せ・いのち」

アニマルセラピー 発達障害 メンタル言うまでもありませんが、ペットを飼うことは【命の責任を持つ】ということです。

いたずらもするでしょうし、トイレもうまくできないかもしれません。

初めてペットを迎える場合は、あまりに世話が大変で正直に言えば、もしかすると飼わなければ良かったとすら思う瞬間があるかもしれません。

しかし、そういった責任を持つことや手間をかけること以上に、どんなペットでも必ず見返りをくれます。

 💡 それは一言で言うと、【無条件の愛】です。

私はこれまで、ペットからもらった愛に幾度も助けられ、また言葉だけでは理解し得ない様々なことを教えてもらいました。

冒頭で述べたように、発達障害児は日々「孤独感」や「自己嫌悪」と戦いながら毎日を送っています。

本心ではたくさんの友達が欲しいのですが、「信頼できる友達関係を作る」という一連のプロセスが健常児に比べて不自然で難しいことのように感じてしまうのです。

ペットがくれる無条件の愛は、発達障害児に自信を持たせ、背中を押してくれる存在となるでしょう。

もしペットを飼われた際には……

  • 積極的にお子さんにペットのお世話を任せてみましょう!
  • 完璧にできなくてかまいません。その時は、周囲の人たちがサポートすれば良いのです。

ペットのお世話をすることで、ペットと子ども関係は深まります。

ペットとケンカすることもあるかもしれませんが、それも含めて「信頼関係」ですので、そっと見守ってあげてくださいね。

最後に

アニマルセラピー 発達障害 メンタル「家族、親友、仲間、味方」……発達障害児のそれら全てになり得る「新しい家族」を迎えてみませんか?

子どもが成長して大人になった時にたとえそのペットが亡くなったとしても、その後もずっとペットが教えてくれた慈愛や思い出、いのちの体験は、生涯を通して発達障害児の心の支えとなり続けるのです。

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