絵カードで自閉症のお子さんのコミュニケーション力を育てよう

自閉症

自閉症の子に対して「絵カード」を使うことで、行動を切り替えたり自分の気持ちを伝えたりするトレーニングが可能となります。

今回は、自閉症の子が絵カードを使うメリットや、なぜ自閉症の子に絵カードが有効なのかについて紹介します。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

絵カードが自閉症の子におすすめの理由

癇癪自閉症の人は知らない場所にいったり、予定が変わったりしたときなどの変化に対応することが苦手であり、また、想像力に弱さを抱えていて、目に見えないものを理解することがあまり得意ではありません。

そのため、変化に対応できずに、”癇癪かんしゃく”を起こしたり、”パニック”になってしまったりすることがあります。

気持ちや行動の切り替えが苦手なことや、想像力がうまく働かないことは、自閉症という障害が原因で起こっていることですので、本人の性格や努力不足のせいではありません。

自閉症のお子さんのコミュニケーション能力を育てるには、自閉症の特性をよく理解する必要があります。

その一方で、自閉症の人には目で見たものを素早く理解できる特性があります。

自閉症の人に何かを伝えるときは、言葉で話しかけるよりも実物を指さしたり、カードや写真を見せたりしながら説明すると良いですよ。

💡視覚支援ツールの有効性

自閉症の人が得意とする視覚的情報(絵カードや写真など)を使って、コミュニケーションを教えることを「視覚支援」といいます。

視覚支援視覚支援で最もよく使われているものが「絵カード」です。

視覚支援ツールを使うことで・・・

  • 本人たちの理解が進んで言われたことを上手に受け止められるようになる
  • 気持ちを伝えて周囲から誤解されることを回避できるようになる

自閉症の人にとって、視覚支援ツールは非常に有効な方法なのです。

絵カードのメリット

📌不安を和らげる効果

自閉症者はいつもと違うことや予想していなかったことに出くわすと、困惑したり恐怖を感じたりします。

困惑や恐怖は、”見通しが立たない”ことに由来しています。

あらかじめ初めて経験する事柄の手順やスケジュールを絵カードで示すことで見通しが立ち、自閉症者は安心できる為、落ち着いて行動できるようになります。

自閉症児は気持ちを切り替えることが苦手ですが、「提示されたカードを見る」という行動をきっかけにして、すんなりと次の動作に移ることができるようになりますよ。

📌ものの「見える化」

自閉症者は集中して物事に取り組むことが得意ですが、平行していくつかのタスクをすすめることが苦手であるため、絵カードでタスクを示しておく(絵を見ること)ことで、やるべきことを思い出すことができるのです。

また、カードで確認できるようにしておくと、”やらなければいけないことを記憶していなければいけない”というプレッシャーがなくなるため、気持ちが楽になり、落ち着いて作業に取り組むことができるようになります。

📌コミュニケーションの支援

発達障害情報ナビ絵カードはこちらの意志を伝えるのに有効ですが、自閉症のお子さんの自発的なコミュニケーションを助けることにも大きく役立ちます。

自閉症児自身が絵カードを指さして簡単な言葉を付け加えることで、相手に誤解されることなく自分の意見を伝えることができるのです。

人と上手に会話することができるタイプの自閉症児の場合でも、実は自分から話すことに苦手意識を感じている子は多く、自発的なコミュニケーションをとれずに、指示を待つことから抜け出せないケースが多く見られます。

そんなタイプの自閉症児にも、絵カードを使わせることはとても効果があります。

絵カードとはどんなもの?

絵カードの種類

  • 指示カード:「はみがき」や「うがい」など、お子さんにやってほしい行動を示すカード
  • 手順カード:トイレや入浴など生活のシーンの一連の動作をコマ送りで示して、お子さんが次に何をすればいいかを説明するカード
  • スケジュールカード:今後の予定をカードにして順番に貼りだすためのもので、スケジュールを視覚化して理解しやすくするカード

絵カード自閉症児向けの絵カードは、療育教材を扱う通信販売で市販されています。

自閉症児向けのカードではなく、市販の公文の絵カードなどを流用して使う人もいます。

「市販の自閉症向けのカードは高価」「市販のカードでは必要な内容のカードがみつからない」などの理由から、家庭で絵カードを手作りする人もたくさんいます。

絵カードのイラストをフリーでダウンロードできるサイトがたくさんあるので、家庭ごとのニーズにあったカードを簡単に手づくりすることができます。

絵カードを作成するソフトもあります。

ご家庭でカードを作るときは、お子さんが混乱しないように【ひとつのカードでひとつの事柄を指し示す】という原則を守るようにするとよいですよ。

絵カードの工夫

📌水にぬれない工夫

絵カードは生活の色々なシーンで使用するため、次のように工夫するとよいです。

  • ラミネート加工
  • ファイルにはさみこんで使用する

やるべきことを示したカードを見やすいように壁に貼りだすために、ウォールポケットにいれて並べることもオススメです。

📌イラストか写真か

イラストのカードを使ってみて、お子さんの反応がいまひとつ良くない場合は、写真のカードを利用してみることもひとつの手です。

イラストと実際に使っている道具の色や形が違うことに気を取られてしまい、カードでの指示を理解できないお子さんも多くいます。

実際に使っている道具を自分で写真に撮ってカードに加工することで、すんなり理解でき、コミュニケーションがとれるケースもよくあります。

写真のカードを自作する場合は、背景に余分なものが写り込まないようにトリミング加工する注意が必要です。

📌年齢にふさわしいデザイン選び

絵カード_年齢にふさわしいデザイン選び絵カードは自閉症の幼児や児童だけでなく、成人した人にとっても効果的なツールです。

しかし、市販されている絵カードは主に子ども向けの内容のものばかりであり、カードのデザインやイラストのタッチが子どもっぽいものが多く、成人が人前で使うことをためらわれるケースがよくあります。

成人している自閉症者や思春期のお子さんの場合、本人の心情に配慮して写真やピクトグラムなど、絵カードを使う人の心の負担にならないような絵カードを準備するようにします。

絵カードの使い方

発達障害情報ナビ_絵カードの使い方絵カードを使うときは、カード1枚にひとつの意味だけを持たせることを徹底します。

カードを見て行動に移すことができたら、すかさずお子さんを褒めるようにしましょう。

絵カードを使うコツですが、カードはお子さんが落ち着ついているときに、落ち着ける場所でつかうことが大切です。

1日のスケジュールを絵カードを使いながら説明するときは、外出先ではなく、出かける前に自宅で絵カードを見せながら説明するようにしましょう。

また、絵カードを使うときは必ずカードを見せるだけではなく、言葉がけを一緒に行います。

人間のコミュニケーションは向かい合って言葉を交わすことが基本ですから、【絵カードはコミュニケーションを補助するツールである】ということを忘れないようにしましょう。

目的

親子絵カードを使う目的は、自閉症児のコミュニケーションを育てることにあります。

お子さんがカードを使って自分の意志を伝えることに慣れてきたら、少しずつカードを使う頻度を少なくしていきます。

最終的には、絵カードを使わずに会話ができることを目標にします。

注意点・困ったときは

メリットの多い絵カードですが、使っているときに注意することや困ったことが出てくることもあるでしょう。

かかりつけの医師や療育の先生など、家庭で絵カードを使っているときに出てくる疑問点や困ったことを相談できる人を見つけておくと心強いですよ。

子どもがカードに反応しない場合

褒める「絵カードの評判を聞いて子どもと試してみたけれど、カードに全く反応しない」ということもあります。

絵カードは実践直後に効果が出ることは稀であり、また、最初に「カードの内容と行動に関係がある」ということをお子さんが学ぶ必要があります。

そのため、子どもがカードから行動を連想し、実際に行動に移すまでにはある程度のステップが欠かせません。

子ども達はカードの通りに行動して褒められるという経験を何度か繰り返すことで、カードと行動の関係を学んでいきます。

思った通りの反応が得られなくてもすぐに諦めず、【カードを見せる → カードの指示通りに行動できたら褒める】という一連の流れを辛抱強く何度も行いましょう。

子どもが絵カードの通りに行動しない場合

子どもが絵カードの通りに行動しない場合お子さんがカードを見せると行動をするけれど、カードと行動がうまくリンクしないときがあります。

その時は、カードを見せるタイミングやカードの内容を点検します。

1枚のカードがひとつの意味をあらわすという基本が守られているかチェックしてみましょう。

特に手作りのカードの場合は、知らないうちに指示している事柄と別の要素がイラストや写真の中に入ってしまうことがよくあります。

また、市販のカードを使っている場合は、実際に使っているものと色と形が異なってお子さんが混乱してしまっているケースもあります。

別のカードを用意するなどして、様子を見てみましょう。

子どもがカードを嫌がる場合

嫌がる最初のうちはカードの通りに動いていたのに、次第にカードを見せると嫌がるようになってしまうケースもあります。

この場合は、カードを親の指示に従わせるためだけに使っていないかどうか振り返ってみます。

絵カードは子どもの困りごとを和らげるためのツールであり、一方的に指示を出して親の思い通りに行動させるための道具ではありません。

絵カードを使うときは、お子さんの自発的なコミュニケーションを促すためにつかっていることを忘れないようにしましょう。

お子さんが絵カードの指示通りに行動できたときは、しっかりと褒めるという原則を忘れないこともとても大切です。

まとめ

発達障害情報ナビ自閉症児にとって便利なツールである「絵カード」の役割や使い方、注意点についてご紹介をしてきました。

世の中には、自閉症児が絵カードに依存し過ぎる危険性があるとしてコミュニケーションの道具に絵カードを使うことに懐疑的な意見もありますが、絵カードを使うことで自閉症児の”パニック”や”ストレス”を和らげながら自分の意志を伝える方法を身に着けていくことは、将来、補助ツールなしで周りの人とコミュニケーションをとるための有効な訓練となります。

自閉症の特性を理解し、独特の考え方を尊重しつつ、お子さんが環境に適応できるよう周りの大人が援助をするひとつの方法として、絵カードをぜひ活用してみてくださいね。

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