【amazon評価】★★★★★★★
注意力や衝動性を自分でコントロールしにくいADHDの特性を持つ人は、物を無くしやすかったり、遅刻してしまうことが多かったりと、生活の中で困った状態に直面するシーンがたくさんあります。
それは彼らならではの脳の働き方が関係しているのですが、そのクセを理解して前向きに捉えることで、日常を気持ちよく過ごすための対処ができるというヒントが詰まっています。
受け皿が少ないと言われている成人ADHDの臨床を行っている、著者で精神科医の櫻井公子さんは、「自責より工夫を」という考えを大切にされています。
社会不適応などで傷ついたり批判されたりと、辛い経験を重ねて厚くなってしまった自己否定の鎧をゆるめて、あるがままの自分で楽しいと思える人生を模索していく手助けができればと主旨を述べていました。
ADHDの特性を説明した本は他にもたくさんありますが、臨床でたくさんの当事者に接してこられたからこそ得られたデータを、簡単かつ具体的な言葉でまとめられています。
「書類が嫌いでフリーズしてしまう脳」「なんでこんなに散らかっちゃうの?」「片付け方がわからない」など、「あるある!!」と声が出てしまうほどリアルなシチュエーションでの当事者の頭の中を表現されている部分は、詩のようにリラックスした自然な文章で、とても心地よく頭に入ってきます。
また、そのような問題に対しての「解決方法」や「工夫」の提示には優しさと説得力があり、当事者の困り感と照らし合わせながら読むことができます。
大切なことは言葉をかえて何度も書かれていて、文章もテンポが良く読みやすいです。
身構えずに気軽に読めるため、時間に追われる大人の当事者、子育ての参考にしたい忙しいお母さんにもオススメです。
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