発達障害のある子の保育の手だて

発達障害のある子の保育の手だて
【著者】佐藤暁・小西淳子
【amazon評価】★★★★★★★★

この本は、発達障害またはその疑いのある子どもの子育てをしている人にぜひ読んでいただきたい本です。

本のタイトルに「保育の手立て」と書かれているので、先生用かな?と思われるかもしれませんが、「保育園・幼稚園・家庭の実践から」という副題がついています。

つまり、ご家庭でも十分活用していただける手立てが載っている、ということです。

私がこの本をオススメする理由は3つあります。

1つ目は具体的な場面について手立てや実践例が書かれているということ。

目次を見ていただいたら、それが一目で分かると思います。

発達障害の子どもの特性ごとに、個別で行うことのできる手立てや集団内における手立てが書かれています。

特にご家庭では「個別的な」かかわりの手立てが役に立つのではないでしょうか。

「集団」といえば園や学校というイメージがあるので、もしかしたら「関係ないわ」と思われるかもしれませんが、子どもは家庭と集団の場では違った姿を見せるのです。

そして、集団では家庭とはまた違ったことを学んでいきます。

先生や友達とのかかわりを通して、これから社会に出ていくために必要な多くのことを学んでいくのです。

ですから、集団での困り感や手立てを親御さんも学んでおくことで、人とのかかわりの部分でつまずきを感じやすい子どもへの家庭でのフォローもしやすくなるのではないかと私は思っています。

2つ目にオススメするポイントは、実際に行っている手立てを写真やイラストなどで分かりやすく表示されている点です。

子どもへの支援や援助、手立てというのは子どもの数だけある、と私は感じています。

実際に幼稚園教諭をしていると、「この子にはどの手立てが合うのかな?」とあの手この手を使って試行錯誤をします。

例えば、一日の活動の見通しがつくように、目で見てわかるスケジュールボードを作成するとします。
この時にまず悩むことは、「絵」にするか「写真」にするかそれとも、「文字」で示すかということ。

ほんの少しのことなのですが、子どもによって「写真で実際の場所を見せることで納得がいく」や「文字に興味を持っているので、文字からの情報の方がボードを楽しみして見る」などと少しずつ違うのです。

もちろん集団生活の場で一人一人に合わせた教材を作ることは難しいので、場面ごとで押さえていくのですが、ご家庭では「その子に合った」手立てを探りやすいのではないかと思います。

この本にはいろいろな方面からのアプローチが載っていますので、それを試してみて、「うちの子には今これがピッタリあっているな」と思う物があれば園や学校の先生とも共有してみてはいかがでしょうか?

少なくとも、試行錯誤をいろいろと繰り返していた私にとっては、親御さんからのそういった情報はとてもありがたく、また、園でも同じような手立てのもと、指導を行うことができるので、よりスムーズに信頼関係を築くこともできました。

最後に3つ目のポイントは「エピソード」が多い、ということ。

この本は実際に保育の現場に出向き、先生と子どものやりとりを観察し、作り上げられた本ですので、エピソードにとてもリアリティがあります。

その多くが、「こんな子どもがいます→こんな手立てをしてみました→こんな姿が見られるようになりました」というものですから、「自分も試してみよう!」と思えるのです。

また、「こんな風に子どもの姿に変化が出るかな」と期待感をもって取り組むことができます。

もちろんうまくいかなかったり、子どもに合わなかったりする場合もあるでしょう。

でも、落ち込む暇のないほどエピソードが多く書かれているので、「いろいろと試してみたい!」と考えている人にはピッタリです。

この本の良くないところを一つ挙げるとしたら、専門的な言葉が多いことです。

家庭でも実践ができる内容にはなっていますが、本来は園や学校で子どもを見ている先生向けに作られた本ですので、どうしても専門用語が出てきますし、事例によっては「これはどの場面のことをいっているのかな?」と親御さんにとっては分かりにくいところがあるかもしれません。

しかし、私がそれでもこの本をオススメしたいのは、上記3つのポイントが素晴らしいからです。

「うちの子に合う方法はないだろうか」と探している場合は、この本からお子さんに合った手立てを探してみてはいかがでしょうか。

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