【amazon評価】★★★★★
この書籍は、発達障害児を家庭でサポートしていくための”マニュアル本”です。
巻頭にはかわいいイラストのマンガが5つ載せられていて、発達障害児たちの状態がわかりやすく説明されています。
全体は5章に分けられており、第1章を読むと発達障害の基礎知識が大まかにつかめます。
第2章ではアスペルガー症候群、第3章ではADHD、第4章では自閉症児たちを育てるときの実践対策がまとめられています。
第5章では、大人の発達障害にはどう対処していけるかがを説明されています。
巻末には、用語索引がついていて、すぐに見たいページにたどりつける工夫がされています。
一番の魅力は、全体を通して見開きで一つのコンテンツについて扱っていることだと感じました。
右ページには詳しい解説、左ページにはそのテーマについてのイラストや図解が載せられています。
例えば、「忘れ物をしないように工夫する」というテーマの場合、右ページには忘れ物をしてしまうのはなぜか、どういう対策ができるかが説明されています。
そして、左ページにはリマインダーの工夫がイラストで紹介しているといった感じです。
「こんな工夫をしてあげればいいんだ」「こんなアイデアもあるのね」と興味深く読み進めることができました。
子どもの特性や困りごとに合わせて、生活の中で工夫できるヒントをたくさんもらえます。
幼児期、学童期、思春期と子どもが成長していくにつれて、表れてくる特性やつまずきポイントも変わっていくものです。
そうした変化に親がいちはやく気づいて、子どもが成功体験を積み重ねたり、社会性を身に着けたりできるよう、丁寧に解説されている点も注目できます。
子どもの持つチカラを信じて育てていくという著者の思いを感じます。
少し気になったのは、「アスペルガー症候群」と「ADHD」とをはっきり分けて扱っている部分です。
以前は、アスペルガー障害などの広汎性発達障害とADHDは合併しないといわれていたようですが、近年では、この2つが合併することもあるとされています。
もちろん本書でもその点については指摘されています。
でも、実際には「アスペルガー症候群」と「ADHD」とを分けて解説しているので、合併して特性による困りごとが出てしまっている子どもの場合はどうなるのか、どう対処してあげればよいのかといった点が少しわかりにくいのではないかと思います。
また、LDの子どもについては、基礎知識の部分で特徴が載せられているだけです。
タイトルにもありますが、本書はアスペルガー、ADHDの特性に特化していると考えたほうがよいでしょう。
読むときには、発達障害のカテゴリー分けにこだわらず、子どもの特性や個性に合わせて家族でどんなサポートしていけるか、その子どもなりの「マニュアル」を作るためのヒント集と考えるのもよいのではないかと思いました。
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