【amazon評価】★★★★★★★
タイトル通り、女性のADHDに絞って解説されているのが特徴です。
全体にたくさんのかわいいイラストが使われていて、発達障害で困る女性への愛情いっぱいのステキな一冊です。
発達障害の臨床経験豊富な宮尾先生が監修されているので、安心感があります。
「発達障害は男性に多い」というイメージがありますが、実は発見されていないだけで、女性にも多いのではないかという着眼点で書かれています。
発達障害の特性の現れ方が男性と女性ではどんな風に違うのか、どのように診断していくのか、本人が幸せに生きていくために具体的にどうすればよいかなどが順に説明されています。
ADHDの女性というと、「片づけられない」のが特徴などと言われます。
でも、この本は「片づけられない」だけじゃない、日常生活の中で起こってくる小さな悩み事や困り事の原因にADHDが潜んでいる可能性を教えてくれています。
子どものころから、小さな失敗体験を積み重ねてしまい、自信をなくしたり、心身の不調に発展したりすることもあるようです。
小さなトラブルや失敗などの例がイラスト付きで説明されているので、とてもわかりやすいです。
ただ、少し気になった点は「薬物療法」に重きが置かれていることです。
ADHDの治療薬のほかに精神系の薬についても紹介されています。
薬を用いることで、まずは症状を抑えるという考え方も確かにあるようですが、人それぞれの特性や状態も異なってくるので、安易に薬に頼ることには注意が必要ではないかと感じました。
この本の魅力として2つの点が挙げられます。
1つは、ADHDに悩む女性が生活改善のためにできる小さなアイデアがたくさん紹介されていることです。
大人だけではなく、ADHDの特性を持つお子さんにも応用できるアイデアがいっぱい詰まっていると思いました。
子どもが「自分にはこんな特性がある」と認識するのはとても難しいことであり、また、我が子がどんなことに困っているのかに親が気づくことも案外難しいものです。
この本にはADHDの特性を持っていると、どんなことにつまずいてしまうのか、どんなサポートがあればうまくやっていけるのかが説明されているので、参考になります。
もう1つの魅力は、やはり女性ならではのデリケートな問題を扱っているという点です。
女性の場合、診断や治療の過程で、ショックを受けたり気持ちが大きく揺れ動いたりすることが男性に比べて多いようです。
そういった女性の繊細な心理や心の動きを詳しく説明しつつ、どのように自分らしさを大切にしていけるかを解説してくれています。
診断や治療を受けていく中で、落ち込むことがあっても当然だとわかっているだけで、前に向かっていく元気が出てくるのではないかと思います。
「もしかして発達障害かも?」と思う人だけでなく、いろんな人に読んでいただきたいお勧めの本です。
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