最近社会で注目されるようになってきた「発達障害」ですが、発達障害は「注意欠陥障害」や「多動性・衝動性」など様々な種類に分けられています。
急速に研究が進んできている分野ではありますが、未だにはっきりとしない部分も多く見受けられます。
発達障害児を育てる保護者であれば、ひとつでも多くの情報がほしいと思うはず。
そこで今回はADHDの具体的な特徴と当事者が抱える苦悩について、ADHDである筆者自身のこと、そして私と両親が乗り越えてきたこと元に記事にしました。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
幼少期から見つけることができるポイント
慣れない育児に右往左往する親御さんたち。
慌ただしい生活の中で、子どもに発達障害の可能性があるのかどうかをチェックするというのは至難の業かもしれません。
幼少期から見つけることができる、比較的わかりやすい項目をご紹介いたします。
▼赤ちゃんの頃から手がかかる
「赤ちゃんはよく泣く」ということは周知の事実ですよね。
しかし中には、
- 異常なぐらい泣き止まない
- 特別大きな音がしたわけでもないのに、音に敏感で小さな音にも反応してしまう
というお子さんもいらっしゃいます。
そのようなお子さん全員に発達障害があるわけではありませんが、音や光に敏感なお子さんだと感じた場合は様子を見ていく必要があるでしょう。
▼幼少期はボーっとしていることが多い
幼稚園ぐらいになると、子どもは様々なことに興味を持ち出しますね。
電車などの乗り物や花・絵など興味の対象は無限大。
しかし、発達障害児の場合、次のような特徴があります。
- 特に何にも興味を示さない
- いつも静かにしている
- 「周囲は〇〇に興味があるのに、私の子どもはいつもボーっとしていて周囲についていくことができない」と不安になる保護者も多い
ADHDである私も、幼少期はよく周りから「あの子は宇宙人だから、何考えているのかわからない!」と言われていました。
しかし本人には、何かしらの考えがあることも少なくありません。
その考えを子どもから無理に引っ張り出そうとすると、機嫌を損ねてしまう可能性もあります。
そんな時は時間がかかるかもしれませんが、できるだけ様子を見つつお子さんから何か言ってくるまで待つとよいですよ。
▼興味を持つ対象がわかりにくい
特に注意欠陥障害のお子さんはかなりの飽き性である場合が多く、興味を持つ対象がわかりにくいと言われています。
今これをしていると思っていたら、気づいたら興味の対象が別のものに変わっている、というケースもあります。
そういった場合、実はどれに対してもほとんど興味を持っていない場合が多いのです。
私自身の例なのですが、年月が流れて気づいたこと、それは【親が与えてくれたものの中には自分が興味を持てるものはなかった】ということです。
親は本を与え、人形や遊具などありとあらゆるものを与えてくれました。
しかし、私が本当に熱中していたのは音楽だったのです。
歌が好きで、テレビより音楽が好きでした。
もちろん今も好きです。
親が与えてくれなかった音楽が、私の心の支えになっていたのです。
私のように、与えてくれたものが興味の対象にならないケースもあるのです。
お子さんに何かを与えるときは、「何か興味が沸くものを見つけてくれたらそれでいいわ」という気持ちでいる様にすると気が楽ですよ。
▼靴を左右間違えて履いていることがある
発達障害のお子さんを持つ保護者の方からの声に、「靴を左右反対に履いている」というものがあります。
私もそうでしたし、近所に住むお姉さんもそうだったのです。
私の親は、小学校5年生にもなっても靴を左右反対に履いている私のことが恥ずかしく思い、強制的に左右反対に履く癖をなおしました。
しかし、近所のお姉さんの家は違いました。
おばあさんが彼女の面倒を見ていたのですが、おばあさん曰く「放っておいたらいつの間にかなおるから、そっとしておくのが一番」と言っていたのです。
おそらくお姉さんが大人になるまで、ずっと見守るスタイルの教育方針を貫いたのでしょう。
そのお姉さんは超有名大学に進学するぐらいの才女になっていました。
💡「他の子と一緒である必要はない」と思って
発達障害児に対して、どうしても親御さんは「どうにかしてこの子を立派にしなくては!」と必死になってしまいます。
しかしお子さんに必死になればなるほど、彼らを追い詰めてしまうことを理解しなければなりません。
大変ではありますが、できれば「できるようになるまで遠くで見守るスタイル」を実践してみてくださいね。
ある日、突然お子さんの能力が開花するかもしれませんよ。
学生になると同時に本人が抱える苦悩
小学校や中学校・高校に入学すると今までなかった競争生活が始まりますよね。
成績が表に出るようになり、偏差値などで行く学校が分かれるなどこれからの進路に大きな影響を与える出来事も少なくありません。
そんな中でも発達障害を持っているお子さんに降りかかる負担は小さくありません。
どのような影響がお子さんに襲い掛かるのか、その対処法にはどのようなことがあるのかをご紹介します。
▼集中力がもたない
まず勉強をする上で、注意したいことのひとつが【集中力が持たない】ということ。
発達障害全般に言えることですが、ある一定期間の集中は問題なくても6時間授業すべてを集中するだけの力があるかどうかと言われると、正直YESとは言うことができません。
📌例
- 授業中の居眠り
- 授業を聞いている様で他の掲示板や外を見ている
集中力を持続させるためにも、夜は決まった時間に寝るようにすることを幼いころから習慣づけておいてください。
幼い頃から行っている習慣は、いくつになっても身体が覚えているものです。
しっかりと睡眠を取って頭の中にインプットされている情報を整理すれば、次の日もしっかりと集中力を持続させることができるでしょう。
▼授業をきちんと聞くことが苦痛になる
「自分にとって興味のある分野とそうでない分野の差が激しい」ということは、発達障害児にはよくあることです。
無理に詰め込み過ぎるような勉強方法を取ったとしても、本人の頭の中に入るということがありません。
何とかして興味を持ってもらわないと、発達障害を持つお子さんはその分野を理解することができないのです。
興味を持たせるための方法は何でもOK。
📌例
- その分野に関する漫画・小説・映画などを駆使して興味を持たせる
- 塾や予備校に行かせ、お子さんが興味を持つような授業をする先生を選ぶ
暗記シートで覚えるという方法は一番頭の中に入らないので、方法のひとつには入れないほうがよいかもしれません。
▼苦手科目を勉強したがらない
特に気を付けてもらいたいのが、苦手科目。
どんなに一生懸命苦手科目だけを集中的に勉強させたところで、興味がなければ全くできないのです。
しかし、苦手科目の中で何かひとつでも好きなものができたら、その科目の大半に興味を沸かせることができるケースもあります。
また、何かのきっかけがあれば成績が飛び跳ねるぐらいできるようになるのも、発達障害の特徴かもしれません。
例として、私の経験談を書きます。
私は国語の成績が壊滅的に悪く、偏差値で言うならば35前後でした。
中学の先生には国語の基礎をしっかりと叩き込んでもらっていたのですが、自分の発想と先生の説明がかみ合わなかったのです。
高校に入り国語の担当となった先生から学んで1年後の模試で、偏差値35前後しか取ることができなかった成績が偏差値56まで上がったのです。
私自身だけでなく、親も教師もびっくりしていました。
どうやら、高校で出会った先生の説明(授業の仕方)と私の発想するものの相性はとても良かったようです。
その後も偏差値は55前後をキープしていました。
▼得意科目だけ成績が上がる
得意科目に関しては、やはり好きなためかそんなに勉強をしなくても良い成績を取ることができますが、それにもかなりの個性があります。
例えば、お子さんがずっと歴史や地理の成績が悪かったとしましょう。
家族はお子さんに対して「社会科が苦手なんだな」と感じます。
しかし学年があがって科目が増えたときに、なぜか公民や政治・経済だけは高得点が取れるなど、親が首を捻ってしまうようなことが起こります。
親からすると「公民や政治・経済がこれだけの点数を取るのだから、歴史もできるだろう」と思い、お子さんに「やればできるのだろう!」と言ってしまうのです。
しかし本人はそうは思っていないのです。
なぜなら、公民や政治・経済には興味があるけれど、歴史や地理には全く興味がない(同じ教科でも、〇〇の科目には興味があるが、△△の科目には興味がない)から。
興味がないのだから、頑張ったところで出来るようにはならないと本人は思っているのです。
少しでも興味を持つためには、それらの教科がお子さんにとって魅力的でないといけないのです。
▼周囲との差に劣等感を抱くこともある
発達障害児は幼い頃から怒られて過ごすことがとても多いです。
親からすると子どもを立派にするために愛情をもって叱っていることなのですが、残念ながらその愛情はお子さんに通じていないことが大半なのです。
怒られて育った発達障害のお子さんは次第に、周囲との差に違和感を持つようにもなります。
場合によっては、劣等感を抱えてしまうケースもあるでしょう。
お子さんが劣等感を抱かないようにするには、小さな頃からお子さんの良いところを見つけて認めてあげるようにしてください。
あまりにも褒めすぎるとそれで良いものだと感じてしまいますので、例えば5つ褒めたら、1つ叱るぐらいの割合が良いでしょう。
褒める・叱る時のバランスを取りながらお子さんと接してみてください。
社会人になると出てきてしまう苦悩
最近では大人になってから発達障害がわかったというケースも少なくありません。
私もそうでした。
社会人になって様々なケースで弊害が出てきてしまったとき、はじめて意を決して精神科に通院される人が後を絶たないのです。
どのようなケースで発覚される場合が多いのか、具体的に挙げていきます。
▼仕事上のミスが増える
仕事をしていて、特に気が滅入るのはやはり仕事上のミスでしょう。
発達障害者は何度も同じミスをしてしまい、そのたびに上司や先輩から注意を受けるケースが多いです。
もちろん、自分は大きく反省しています。
しかし反省しながらも、また同じようなミスをしてしまうのです。
もちろん何度も同じミスをしていると、上司や先輩の堪忍袋の緒も切れてしまいますよね。
そのうち、「あの子は仕事ができない」というレッテルを貼られ、仕事をもらえなくなり、ひどい場合はうつ病になってしまうのです。
そうならないためにも、周囲から「見ていて危なっかしい」と言われた時、違和感を覚えた時は、ためらわず精神科に行ってみてくださいね。
▼お金の管理が難しい
発達障害者が陥る問題のひとつに、金銭の管理ができないというものがあります。
これに関しては、小さな頃からお小遣い帳をつけるように教えておけば、問題なく生活していくことができるでしょう。
しかし、お小遣い帳の管理ができない場合、気づいたら借金だらけになってしまう可能性もないとは言い切ることができません。
そうならないためにも、小さな頃からお金を管理する習慣をつけさせておくとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
上記に述べた通り、私は社会に出てから発達障害がわかったケースです。
うつ病の治療のために病院へ通うようになり、発達障害の発見に行きつくまで約7年かかりました。
7年間苦労が絶えませんでしたし、親と落胆することも少なくありませんでした。
「あの時に気づいていれば、こんな苦労しなかったのに」と言われたこともあります。
今は私が発達障害であることを理解してくれる男性と出会い、結婚し、平穏な毎日を送っています。
「発達障害だから」と何かを諦める必要はないのです。
少し工夫をするだけで、発達障害を持っていてもチャレンジできることはたくさんあると私は思っています。
お子さんが素晴らしい人生を豊かに歩めるように、見守るという姿勢を忘れないでいてあげてください。
親御さんがお子さんを信じていれば、必ずいつかお子さんが親御さんを超えていく日が来るでしょう。
コメント