ADHDの特性を持つ人が困り感や苦悩をより深刻に感じるのは、社会に出て仕事をするようになってからだとよく言われます。
学生時代は集団生活の中とはいえ、「周りの人より少し変わっているだけ」「他人より不器用なだけ」と、大きく支障を感じなかった人いるかもしれませんが、社会に出てからはそうはいかず、深い悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
下記のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- いつもコミュニケーションで躓いているため何とかしたい。
- ADHDだからこそ活かせるメリットや能力って何だろう?
- とにかく不器用すぎてストレスを常に感じる。
- 生き甲斐や転機、自分が変わるきっかけが欲しい。
大丈夫です!
確かにルールや物事などに適応するのは時間かかるかもしれませんが、それを大きく上回るメリット(武器)が多くあるのです。
実際に、私の妹はこれらの壁にぶつかり深く悩みましたが、彼女は自分がADHDであることを受け入れ、その特性をハンデではなく武器(メリット)に変えてしまったのです。
現在、彼女は「健常者にはない能力」を活用して社会で活躍しています。
今回の記事は、7個の「ADHDだからこそ身に付けられた武器(メリット)」をご紹介いたします。
ADHDで悩み、苦しんでいる人だからこそ身に付けることが可能なメリットばかりです。
この記事を読むことで、自分の隠れた素質を見つられるだけでなく、身に付けた方法を知ることも可能です。
元々、私の妹は
- 学生時代は人とコミュニケーションが取れず集団生活に馴染めなくて孤立
- 不器用すぎるが故に勉強、運動、細かい作業等全て苦手
- 社会に出てからも仕事や人間関係に適応できず何度も転職
これらの膨大な挫折をしてきました。
そんな妹が、現在は見違える程キラキラと輝くような毎日を送れるようになったのです。
その成功体験談を是非、生き甲斐を見出すヒントにしていただければ嬉しいです。
本当はコミュニケーション上手!?
ADHDの特性は大きく分けて3つ、「衝動性」「不注意」「多動性」です。
恐らく、あなたもこれらの特性が原因で、他人と上手くコミュニケーションが取れないのではないでしょうか。
ADHDの特性を持つ妹は、学生時代に全く集団生活に馴染めず孤立していることがしばしばありました。
彼女は、家族や本当に仲の良い数少ない友人など、身近な人にしか心を開けなかったようです。
その要因として、ADHDの特性である「衝動性」や「不注意」から「空気が読めず会話に割り込む」「突発的に思いついたことをすぐ言う」といった障壁が仇になり、人が離れていったように感じます。
彼女は、身近な存在である私や、妹が心を開いた相手とは問題なく会話ができ、むしろ「おしゃべり好き」「ユーモア溢れる女の子」と言ってもらえることもあるくらいのギャップがありました。
そんな妹は社会に出てからも、職場の人と上手くコミュニケーションが取れず何度も転職を繰り返しました。
そんな過去のコンプレックスから、「何とか克服したい」という思いが強くなったようです。
妹は覚悟を決め、苦手だと思って今まで避けていた接客業でコミュニケーション能力を磨くことを始めました。
そこでは……
- 様々な職種と年齢のお客様と容易に会話が出来るようになった。
- 強いコンプレックスから話術を鍛え、より自分を高めていきたいという向上心を持つようになった。
- 自己啓発書や様々な著書から知識を吸収することを始めた。
これらの地道な経験や意識から、飛躍的に才能が開花したのです。
- 感受性が豊かになり人の気持ちを敏感に察することが出来るようになった。
- コミュニケーション能力が向上した。
- 場の空気を読み、細やかな心遣いが出来るようになった。
- 語彙力が増え頭の回転が早くなった。
- 会話のリズムや間が上手になった。
上記のように、訓練をした結果、苦手だったことが得意になり、ADHDの特性からくる「空気が読めない」「会話に割り込む」といった弱点を理解し、矯正して克服していったのです。
現在は相手の立場に立てるようになり、相談事や悩みを聴くのが人一倍上手になり、彼女の強みとなっているようです。
今までコミュニケーションが取れず人間関係が原因で何度も挫折してきた妹でしたが、そのコンプレックスをバネに、改善どころか強力な武器に作り上げてしまったのです。
その努力と結果を見た周りの人と私は驚きを隠せませんでした。
発想力がズバ抜けている
「発想力がズバ抜けている」という傾向は、幼少の頃から既に感じていたことでした。
学校の先生や親を驚かせたエピソードがふたつありました。
ひとつめは作文です。
国語の授業で「物語の続きのエピソードを書く」といった課題がありました。
みんなが頭を悩ませる中、妹はクラスでただひとり、スラスラと物語の続きをユニークなエピソードで仕上げたのです。
妹いわく、「アイデアなら永遠に降ってくる」と言うから驚きです。
他にも、好きなアニメやゲームの作品のシナリオの続きを自分で考えて執筆していたこともあり、それは私が「本当によく思い付くなぁ」と感じる程、オリジナリティに溢れていました。
ふたつめは、小学校3年生の時に、あるきっかけから妹がカードゲームの自主制作を始めたことです。
当時小学生の間でカードゲームが大流行し、私も含め皆釘付けになっていましたが、お小遣いをもらなくてカードを買えない子がひとりいました。
それを見かねた妹は「お金が無くても皆が平等に楽しむ方法はないか」と考え、なんとチラシの裏面を使ってカードゲームを作り始めたのです。
手描きで一生懸命書かれたユニークなキャラクターと、その名前や説明文……、もちろんお金はかかりません。
妹は元々絵を描くのが好きだったため得意のアイデアをフル活用し、様々なキャラクターを描き上げたのです。
カードが買えなかった子はとても喜んでくれ、その子と私と妹の3人でのカード遊びはとても盛り上がりました。
それから1ヶ月経った時のことです。
私の友人がたまたま妹の手作りカードを見て「スゲー! 何これ?」と目をキラキラさせ興味深そうに聞いてきたのです。
「ああ、これは妹が手作りしたカードだよ」と伝えたら、友人はなんと「オレもやりたいなあ。作ってもらってよ!」と言い出したのです。
それをきっかけに口コミが広がり、「妹の手作りカードゲーム」が流行したのです。
そして、ついにそれは学校のクラス中に広がり、「本物のカードゲーム」から「妹の手作りカードゲーム」へとブームがきたのです。
妹のモチベーションはさらに上がり、次々とたくさんのキャラクターを生み出しました。
カードも「文房具屋のキレイな型紙」「上達していくデザイン」「ルールの追加」などといった具合に、クオリティも上がっていきました。
そして、この活動はなんと3年も続いたのです!
きっかけはちょっとした発想からでしたが、それを実行する力と、尽きることのないアイデア、そしてほぼ1人で製作し、継続したことに私は「妹にはこういう才能があるのではないか」と感じていました。
追求心が高く専門分野に強い
妹はその特性から、興味のある分野や好きなことはとことん追求し、専門家レベルまで知識を身に付けます。
そういった強みはたくさん持っているようですが、特に驚いたエピソード2つをご紹介します。
■テレビゲームはプロレベル
幼少の頃からテレビゲームが身近にあったことから、暇さえあれば常にのめり込んでいる様子でした。
最初は妹より私のほうが器用で上達は早かったのですが、彼女のとことん追及する特性から、気付いたら「誰も敵う者はいない」というレベルまで達していたのです。
テクニックはおろか、キャラクターの名前や順番、攻略法も全て記憶し、瞬時にクリアしてしまうのです。
その卓越した能力が噂となり、クラスの複数の友人が自宅まで来て、妹が指導する……なんていうエピソードも何度かありました。(笑)
■ファッションセンスはプロ並み
この分野でも、右に出る者はいないのではないかと感じています。
周りからは「個性的で本当にオシャレだね」と褒められている妹。
そんな彼女も、最初からお洒落だったわけではなく、膨大な自己投資をして追求し続けている結果だと思います。
- 多種多様の服や小物を試した。
- 素材、生地、サイズ感、服の歴史……といった知識を自主的に書籍で勉強した。
- 常に雑誌やインターネットに目を通し、トレンドにアンテナを張っている。
- お洒落な人たちが集まる環境に出向く。
- 友人など、第三者からの客観的な診断やアドバイスを受け試行錯誤した。
現在では自分に似合うもの・似合わないものがはっきりわかるようになり、魅せ方はプロ顔負けです。
無駄な買い物も無くなったと言っています。
現在は自分自身で服のデザインを考え、スタイリストとしてアドバイスする側に立ち、知識や知恵を発信するレベルまで上がっています。
向上心や夢がとても大きい
妹は学生時代からよく「クラスで一番の成績が獲りたい」「有名になりたい」といった願望を口にしていました。
周りの人からしたらそれはハードルが高く、理想主義に感じるようなものばかりでしたが、そばで彼女の様子を見ていた自分は驚かされることの連続だったのです。
妹は小中学校まで学校の成績はほぼビリでしたが、「クラスで一番の成績が獲りたい」と宣言してから凄まじい集中力を発揮しだしたようで、高校3年間は常に成績トップ。
なんと、卒業時に「学業優秀賞」を授与してしまったのです。
また「有名になりたい」という願望も、接客業での成功体験や、数々の幼少からのエピソードで、私は彼女に可能性を感じていました。
そして宣言通り、芸能オーディションを受け事務所に合格し、テレビドラマにまで出演することが出来てしまったのです。
妹は特別な才能を持っているわけではありませんし、むしろ人よりとても不器用です。
しかし、自分自身のハンデや強みをしっかり理解した上で、物事に挑戦し続けるチャレンジ精神は誰よりも強いです。
妹は「人より不器用でそれがコンプレックス」とよく言いますが、だからこそ、その悔しさや劣等感をバネに向上心を燃やし、挑戦し続けるのだと、私は彼女の姿を見ていて感じています。
行動力がありエネルギッシュ
妹は学生時代、集団生活に馴染めず、学校ではコミュニケーションが取れず孤立していました。
部活動だけでなく、文化祭や修学旅行などの行事なども全く楽しめず、彼女が心を開くのは身内だけ。
休日もほぼ外出することなく、ゲームや絵描きに明け暮れ、引きこもるのが彼女のスタイルでした。
そんな妹でしたが、高校卒業と同時に少しずつ変化が起き始めます。
妹は「都会へ出て好きなことをやりたい」と県外のデザイン専門学校に進学を希望していましたが、実家の経済状況から猛反対され就職を余儀なくされてしまったのです。
いつもはおっとりしていた妹が、その時ばかりは両親と大きな喧嘩をしましたが、結局は県外のホテルに調理師として就職することで話はまとまりました。
しかし、就職するもやはり「人より極端に手先が不器用であること」「人間関係が上手く築けない」「自己管理ができない」といったことが難しいADHDの壁にぶち当たり、2年近くで辞めてしまったのです。
地元に戻ってアルバイトを転々としたり、引きこもってしまったりと思い通りにいかない日々を送っていた妹の希望の光は「たくさんの人を感動させる芸能界での仕事がしたい」という夢でした。
当然、両親と私は反対しましたが、妹の強い願望を止めることは出来ず、なんと彼女は僅かな貯金を手にひとりで上京してしまったのです。
上京が彼女の起爆剤となり、自分の適性や生き甲斐を求め、様々なアルバイトやたくさんのことにチャレンジしたと言っていました。
また、念願の芸能活動を通してモデルやドラマ出演も叶えてしまいました。
妹は、自分が少しでも気になったことは躊躇せず、すぐにチャレンジし、労を惜しまずエネルギッシュに、偏見や反対も押し切ってストレートに挑戦し続けるのです。
きっとこれも、ADHDの特性によるものだと私は感じています。
過去の閉鎖的で消極的な性格の反動からでしょうか、どんどんアクティブに刺激や経験を積み始めたのです。
地元を離れて5年が経ちますが、以前とは比べ物にならないほど魅力的で充実した毎日を送っているようです。
大切なことは「自分に素直になり、生き生きと輝ける場所に身を置くこと」だと、妹は自信に満ち溢れた表情で話してくれました。
長期記憶力が優れている
妹には、興味のあるエピソードや時間をかけて習得した知識は事細かに記憶している、という強みがあります。
例えば、下記のようなこと。
- 小学校1年生の時の担任の先生やクラスメイト全員のフルネームや誕生日
- 行ったことある場所の道などの地理
- 好きなドラマやアニメのセリフを鮮明に記憶
この特性を上手く利用できないかと、妹は社会人になってから膨大な数の本を読み始めました。
語彙力を身に付け、繰り返し自分のものとして確実に染み込ませていき、コミュニケーション能力を磨き上げたのです。
今となっては「芸人さん並みに会話が上手」「頭の回転が早い!」と思わせるほど劇的に成長していました。
妹いわく「頭がどんどん鍛えられて、弱点の短期記憶もかなり改善できた!」……、脳はまだまだ解明されていないことが多く、まさに「可能性は無限大」なのだと私はそのとき実感したのです。
向上心やポジティブな思考は、本当にたくさんの恩恵を与えるのだと、彼女の姿を見ていて感じます。
強靭な忍耐力やメンタルが身に付く
発達障害者はその独特な感性や特性、行動から周りと馴染めず、集団生活の中で浮いてしまう場合があり、様々なストレスを常に感じています。
自分を伸び伸びと活かす環境が無くて、幼少から非常に苦労している人がほとんどだと思いますし、私の妹も実際にそうでした。
彼女が本来の自分を活かせる環境に身を置けたのは23歳の時であり、それまで多くのストレスを感じ、たくさんの挫折を経験したと言っていました。
しかし、それらの経験を経てきた彼女は、並大抵ではない強靭な忍耐力とメンタルを手に入れたのです。
今では様々なことにチャレンジすることに躊躇もしませんし、失敗やリスクを全く恐れません。
「何とかなる!」「またきっと乗り越えられる」「今までの苦労に比べれば何ともない」といった不屈の精神は、彼女の強い武器です。
妹は「この障害を持っていなかったらこんなに強くならなかった!」と話してくれました。
まとめ
今回は、ADHDだったからこそ身に付けることができた、メリット(武器)を私の妹の体験談を交えてお伝えいたしました。
ADHDの特性が学校や社会の中で障壁となり、その特性をどう活かしたらよいかわからないと悩んでいる人も多いかと思います。
「健常者ができることができない」といったハンデを感じ、自信を無くすこともあるでしょう。
まずは「夢や目標はないか」「自分には何ができるのか」を考え、周りの意見に流されず自分の意志で夢に向かって少しでも動き出してみてください。
自分の能力を存分に発揮できる環境に身を置くことで、ハンデやデメリットと感じる特性がやがてメリット(武器)や強みなのだと実感できる時がくるでしょう。
このADHDという個性は、言い換えれば「健常者ができないことを実現できてしまう」様々な素質を兼ね備えているのです。
妹をここまで変えたのは「健常者よりとても不器用」だというコンプレックスでしたが、それがバネとなりました。
「悔しさ」が彼女を大きく変えたのです。
今回紹介したメリットのほとんどは後天的に身に付けたものばかりです。
これらを是非ヒントにしてください。
妹みたいに人生に生き甲斐を見出し、キラキラと輝ける人が増えることを願っております。
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