お子さんのADHDが発覚したとき、親御さんは絶対と言っていいほどご自身を責めてしまいます。
しかし、親御さんがどれだけご自身を責めたとしても、お子さんのADHDが無くなるわけではありませんよね。
また子どもの立場からも、親が自分を責め続ける姿を見るのは気持ちのよいものではありません。
それよりも家族みんなが仲良くし、自分の成長を見守ってくれている姿をお子さんは期待しているのです。
今回はお子さんがADHDと診断された親御さんたちに「してほしいこと」をまとめました。
是非参考にしてみてください。
子どもの目線に立って物事を見てみよう
ADHDの特性を持つお子さんを育てている親御さんの悩みと言えば、やはり「子どもが何を考えているのか分からない」ということではないでしょうか。
他人から見ると、ADHDの特性を持つお子さんはボーっとしているように見えてしまうようです。
またふとした瞬間に突拍子もないことを言うケースも多く、「うちの子は宇宙人だ」という親御さんも少なくないのです。
お子さんが何を考えているのか、一緒の目線に立って考えてみると良いですよ。
子どもの視線と同じ位置で物事を見てみる
是非親御さんにしてもらいたいこと、それはお子さんと同じ目線に立って物事を見てみるということです。
ADHDの特性を持つ子どもは、見る視点が他の子どもと異なっているケースが多いのです。
その理由として、興味の対象となるものが他の人と異なっているという点が挙げられます。
例:犬を飼っている場合
- 一般的な子ども:犬と一緒に楽しむ。
- ADHDの特性を持つ子ども:犬の身体の一部(しっぽ等)に興味を持つ…など、一般的な子どもとは違ったところに興味を持つ場合が多い。
周囲からしてみれば「どうして犬のしっぽばかり見ているの?」と首をかしげることかもしれません。
しかしそれは特に変わったことではなく、お子さんにとっての【興味の対象】がしっぽだった、というだけのことなのです。
お子さんが何に興味を持っているのか、それを知る一番の方法は、お子さんと同じ位置から同じ方向を見てみること。
そうすることで、少しでも子どもの考えていることに近づくことができます。
子どもの意見を第一に聞いてみる
大人が何か議論している時に、子どもが入ってくるとどうしても「あっちに行っていなさい」と言ってしまいますよね。
「大人の話に子どもは首を突っ込まないでほしい」というときもありますし、その一言がそれほど子どもを傷つけるとは思いもしませんよね。
しかしADHDの特性を持つ子どもの心には、大人が思っているよりも大きな傷がついてしまうのです。
心の傷を増やさないためにも、お子さんが何かを言いたいようにしている時は話を聞いてあげるようにしましょう。
言いたいことを言えば、それでスッキリしてしまう子どもも少なくありません。
また的確なアドバイスを子どもから得られる場合もありますので、「この子には関係ない」と頭から否定するのは避けるようにしましょう。
極力話を聞いて、本当に必要な場合はお子さんからのアドバイスを受け入れてあげてください。
逆に不必要と判断したときは、「わかった、ありがとう」と答えてあげるとお子さんも満足するでしょう。
子どもの言いたいことを遮らない
大人になるとついついやってしまうことの中に、子どもの話を遮ってしまうというものがあります。
子どもには子どもなりの主張があるのですが、どうしても「それは違う!」と思うと口を出したくなってしまうものですよね。
私は母親に「親は子どもの考えていることを全てお見通しだ」と言われて育ちましたが、あるとき【十人十色】ということわざがあるように、人はそれぞれ考え方が異なるということに気が付きました。
親だから子どもの考えていることなどお見通しということはありえないのです。
お子さんが必死で何かを主張するということは、お父さん・お母さんと異なる意見を持っているということにもなります。
子どもの主張を遮ってしまうと、子どもは…
- 「何を言っても聞いてくれないんだ」と考え、話をしなくなってしまう可能性がある。
- 思考回路が負の連鎖に巻き込まれることにも繋がりかねない。
上記のようにならないためにも、子どもにとって意見が言いやすい環境をつくるよう心がけてみてください。
興味の対象は人それぞれ
ADHDの特性を持つ子どもたちは、大人が予想もしないようなことに興味を持つケースがあります。
大人が不思議がるようなものに興味を持つ場合もあるのです。
そんな時に親御さんはすんなりとお子さんの興味の対象を受け入れることができるでしょうか。
……案外できないことも多いのです。
「そんなものに興味を持たずに、こっちのほうが良いのになあ」と考えてしまい、勧めてみるけれども子どもは興味を持っている感じがしない、なんてケースもあるかもしれませんね。
親としては寂しいかもしれませんが、子どもの興味は現在進行形で変わっていくものです。
お子さんが何に興味を持っているのか、その中でも特に「○○は好きだけれどもあれはダメ」など、大人から見た分析をしてみてください。
そうすることで、お子さんの性格や興味・趣味や思考回路を少しずつでも知ることができます。
分析をしないと、お子さんの考えていることを理解することはできないという可能性が広がってしまいます。
お子さんの気持ちになって考えてみましょう。
子どもの主張だからと軽視しない
ADHDの特性を持つ子どもが突然、大人には思い付かないようなことをするということがありますよね。
あまりにも的を射た回答に、周囲の大人がびっくりしてしまうということもあるようです。
でもあまりにも正論すぎて、親御さんからすると「そうだね」の一言が言えないというケースも存在します。
子どもだからと言って無視したくなる気持ちを抑えて、お子さんと向かい合ってみましょう。
意外な発想をすることがある
ADHDの特性を持つお子さんは、大人が考え付かないような突拍子もない発想をすることがあります。
親からすると「どうしてこんなことをするの?」ということもあります。
また、興味の対象がどれなのか大人には全く分からないというケースも少なくありません。
例:買い物へ行く(毎回同じお店)
- 大人たちは車を停めた場所が分からなくなったとしても、子どもだけが必ず覚えている。
- そんな時、大抵の大人は子どもの思考を不思議に感じる。
- しかし子どもからすると、自分の興味の対象は買い物ではなく駐車場所であり、「いつも大人が見ていないから自分だけは覚えておくぞ!」という使命感に燃えている。
ADHDの子は本当に色々なことをよく見ていますし、また、見えてしまうものなのです。
そんなお子さんに恐怖を感じる人もいるかもしれませんが、お子さんの素晴らしい才能を潰さないためには、お子さんのすべてを受け入れる必要があるのです。
子どもの主張を全否定しない
ADHDの特性を持っている人全般に言えることなのですが、彼らは繊細で傷つきやすい心を持っています。
「子どもの主張を受け入れることができない…」そう悩む親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、お子さんの主張をないがしろにはしないようにしてください。
お子さんが何かを言ってきて、それがもしも親御さんの考えとマッチしなかったとしても、お子さんの考えを全否定することはやめるようにしてください。
全否定されると、子どもは「私が何を言っても聞き入れてくれない」と心に深い傷を負ってしまいます。
それは後々、学校へ行きだすと登校拒否となって表れてしまう場合もあるのです。
お子さんの考えを受け入れながら、どのような道へ進むことが正しいかしっかりと導いてあげるようにしましょう。
根気よく会話をすることで、知らず知らずのうちに正しい解釈ができるようになるかもしれませんよ。
もしかしたら大人以上に柔軟な思考の持ち主かも?
ADHDの特性を持つ子どもは他の人と見る視点が違う、というケースが少なくありません。
大人たちの意見と反対の方向から意見するという場合もあります。
「生意気なことばかり言って」と思うかもしれませんが、もしもお子さんの方が見ている範囲が広かった場合はいかがでしょうか。
一般的に考えられないような答えを出したときは、ひとつの案として受け入れてあげてください。
お子さんの意見を丸々受け入れる必要はありません。
一部でも活用できた時は、子どもにとって大きな自信にもつながります。
また、ADHDの特性を持つ子どもは幼い頃から怒られて育つ傾向が強く、その間に自尊心が無くなるケースも実際にありますので、メリハリをつけた態度がお子さんの成長を左右すると言っても過言ではないかもしれません。
お子さんの柔軟な思考を潰さない方法を考えてみましょう。
おかしな部分がある場合はアドバイスすることも必要
大人がびっくりするような意見を提供してくれるADHDの特性を持つ子どもたちですが、すべてにおいて素晴らしい発想をしているわけではありません。
稀に「おいおい、それは違うだろう」と言いたくなるようなこともあるのです。
そんな時は正しい答えを教えてあげなければいけませんが、決して頭ごなしに怒ってはいけません。
なぜならADHDであろうがなかろうが、頭ごなしに怒られてすんなり受け入れることができる子どもはいないから(かなり利口なお子さんの場合は、聞いているふりをするだけで終わるかもしれません)です。
ADHDの特性を持つ子どもは、怒られたときにより深く心の傷を負い、落ち込んでしまいます。
根気よくアドバイスをするという方向にもっていく必要があるでしょう。
基本的に一度言ったからと言って、すんなり頭の中に入る子どもはいません。
アドバイスをしたい場面に遭遇したときは、「前にも言ったでしょう」とは言わず、一から教えるつもりで根気よくアドバイスをしてみてください。
見守り姿勢を崩さないようにしよう
ADHDの特性を持つ子どもは比較的成長がゆっくりであると言われています。
やはりコミュニケーション力や注意力散漫などが原因で、どうしても周囲より遅れをとってしまいがちなのです。
親御さんからすると、成長が遅いお子さんにハラハラしてしまうかもしれません。
しかし親御さんが根気よくお子さんを育てれば、その分いつかは大きく成長してくれるはずです。
どのようにお子さんをサポートすればよいのか、一緒に考えてみましょう。
ADHDがあるからこそ逞しく育てよう
子どもに病気や障害が見つかると、親としてはこれからの行く末を含め心配に思ってしまうものですよね。
だからこそ、お子さんには逞しく育ってほしいもの。
でもここでは注意が必要です。
厳しい躾をすれば子どもは逞しく成長すると思っている親御さんも多いのですが、厳しく怒られることで子どもは自信を無くしてしまい、成長するチャンスを無くしてしまう場合もあるということに気付いてほしいのです。
怒られる・厳しくするということは、お子さんの自尊心を傷つけるということにも繋がりかねないので、厳しくしすぎないよう注意をしてください。
一緒に困難を乗り越えるような姿勢は大歓迎です。
ハイキングへ行ったりキャッチボールをしたりということも良いでしょうし、お菓子作りなども良いでしょう。
コミュニケーションが取りやすい環境づくりをしてあげることが大切です。
また、ADHDの特性を持つ子どもは成長が他の子どもよりも遅い傾向があります。
できることとできないこと、好きなものと嫌いなものの区別がはっきりしている場合も多く、そんな姿を見ていると親としては不安を覚えるのではないでしょうか。
しかし、手をかけすぎるのはよくありません。
なぜよくないのか、それは、自分でしようという好奇心を取り上げてしまう可能性があるからです。
横から大人が手を出すと、子どもは……
- 「自分はできていないんだ」と思い込んでしまう。
- 達成感を得るチャンスを失ってしまう可能性が考えられる。
- その結果、何かをやろうとしたときにフラッシュバックが起こってしまい何もしない子どもになってしまう。
- 「だれか助けてくれるからいいや!」「どうせ自分で頑張っても、最終的には親が全部直してくれるし…」と他人任せの大人に成長する可能性が出てくる。
- ADHDだということを逆手にとって、「自分はADHDなんだから、親が代わりにするのが当たり前」という思考に陥る可能性もある。
上記のようにならないためにも、自立させることを目的に子育てを実行してみましょう。
できないからと取り上げるのは問題。本人がしたいことをさせてみよう
本人がやる気になってきている時に、子どもから興味の対象を取り上げてしまう大人も少なくありません。
横で見ていてイライラした、不安に感じたというお父さん・お母さんも少なくないでしょう。
しかし、できることだけを与えていて、お子さんは成長するでしょうか?
……少し難しいですよね。
今の世の中、大きな壁にぶつかることはよくあります。
特にパワハラやセクハラ・モラハラが横行している現代で生きていくには、どんな困難にも立ち向かうことのできる強靭な精神力が必要となってくるのです。
強靭な精神力を作る元となるのは、やはり自信ではないでしょうか。
ポジティブな感情を持っている人は、どんな世の中でも渡っていくことができます。
そのポジティブさを手に入れるためにも、できないことはできるようになるまで繰り返し行うことが重要です。
できた時の喜びを体験させる、これがADHDの特性を持つ子どもには一番必要なことなのです。
自分で何もかもできるようになればそれが大きな自信となり、胸を張って生きていくことができるでしょう。
また、ADHDの特性を持つ子どもは多趣味である場合が多く、言い換えれば、興味の対象が色々なものに変わっていく可能性があります。
最初は「○○がしたい」と言っていたと思えば、次は別のものに対象が移っている場合もあります。
他人の目には「飽き性」に見えてしまうかもしれませんね。
しかし、実は飽き性なのではなく、自分にピッタリの物を探しているだけなのです。
しかも困ったことに、小さいころには全く興味がない、もしくは嫌だったものが、ある年齢を境に得意なものに変化するというケースもあります。
私は小さいころから30歳までずっと英会話教室に通っていました。
これだけを聞くと「英語が好きなんだな」と思われる人も多いかもしれません。
しかし、私を英会話教室へ通わせるために母親はかなり苦労をしていたと言っていました。
私が「外国人の先生が怖い」と言い、その結果英会話教室からお断りをされたことが何度かあったというのです。
結局のところ、母親が根気勝ちして私は英会話教室に通い続けることができ、中学に入学した時に周りは英語が話せないのに自分はほとんど理解できるという理由から、それが自信に繋がったのです。
それからは海外の人とのコミュニケーション重視の学校に変わり、30歳まで続けることができました。
私のように、お子さんの趣味はどこかで能力が開花する可能性があるのです。
私の母のように、恥をかいても根気よく続けさせることが重要なのかもしれません。
できないからと言って叱らない
ADHDの特性を持つ子どもは「できないこと」が非常に多く、学生になるとケアレスミスや細かい作業ができないというケースもあるでしょう。
そんなときに、親御さんにはお子さんを絶対に怒らないでいただきたいのです。
怒るということは、子どもの劣等感を助長させることでもあります。
そうならないためには、親御さん自身の考え方を柔軟にさせておく必要があります。
ADHDの子は不器用であることが多い
ADHDの特性を持つ子どもは不器用だと言われています。
良いように言えば「大らか」、悪いように言えば「大雑把」です。
あまりの不器用さに、見ているほうがイライラするかもしれません。
また注意力も散漫である場合が多く、聞いていたはずの説明も半分しか頭に入っていないケースもあります。
頭に入っていないということは、言い換えれば聞いていないとも言えますね。
でも頭に入らないからと言って、頭ごなしに怒ってはいけません。
根気よく説明をしていくと、そのうちできるようになります。
不器用であることを嘆く親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、お子さんは大らかな性格なのだと感じることができたなら、いかがでしょうか。
少しは安心して我が子のことを観察できるのではないでしょうか。
親がポジティブな思考回路になれたなら、その思いは必ずお子さんにも通じるはずです。
家族みんなでポジティブな思考回路を持つように心がけてみましょう。
他の子ができているからと言って叱らない
ADHDの特性を持つ子どもは不器用だと書きましたが、全てにおいて不器用なわけではないのです。
ただ他のお子さんとはできることが違うだけなのです。
興味の対象も他のお子さんとは異なります。
例えば学校で「この景色が綺麗ね」と話をしていたとします。
みんなは「きれいだ」と言っていたとしても、ADHDのお子さんには何が綺麗なのか全く想像つかない可能性があるのです。
日本ではひとりだけ違うことを言っているということがおかしいことのようにとらえられがちですが、そんなことはなく、それがその子の「考え方」なのです。
周囲ができていることができないという場合でも同じことが言えます。
ADHDの特性を持たない子たちが「できる」場合、彼らはその対象に【興味を持っている】ことが多く、ADHDの特性を持つ子が「できない」場合、その対象に【興味を持っていない】ことが多いのです。
その分、ADHDの特性を持つ子どもは他のことで能力を発揮することがあります。
例:音楽に興味がある
- どんな古い曲であったとしても、全て覚えている場合がある。
- 「のめり込んでいる」と言える。
- それが彼らの趣味であり、興味の対象である。
ADHDの特性を持つ子どもたちは「人は人、自分は自分」という考え方を持っていますので、それを壊さないように気を付けてあげてください。
子どものペースで物事を進めてみよう
ADHDの特性を持つ子どもは自分のペースを崩されると、ほとんどの場合パニックを起こしてしまいます。
なぜなら、同時並行で物事をするのが苦手であり、また、途中で邪魔をされることも好まないからです。
「周囲がこんなことしているからうちの子にも!」と意気込むお父さん・お母さん、できることならばお子さんが何をしたいのか聞いてから決めてあげてください。
もしかしたらお子さんは、親御さんが思っているようなことは一切考えていないかもしれません。
「自分のペースで物事を進めたいのに親のせいでペースが崩れる!」と考えている可能性も否定できません。
お子さんに歩み寄りながら、どんなペースで話すのか、そして考えて行動に起こすのかというリズムを掴みとってみてください。
また、ADHDの特性を持つ人の中には、集中力が持たないといった人もたくさんいらっしゃいます。
お子さんに集中力を持たせさせるにはどうすればよいのかを考えてみてください。
一方向から攻めるだけではなく、興味を持たせるためにもあらゆる方向からのアプローチに全力を注いでみるとよいでしょう。
できた時は大げさに褒めてあげよう
上にADHDの特性を持つ子どもは不器用であると書きましたが、稀に大きな成果をもたらすことがあります。
例えば、もともと絵を描くことが苦手なのに一枚だけ賞をもらった、ということもあるでしょう。
そんな時は思いっきり褒めてあげてください。
日本人のお父さん・お母さんは比較的褒めるということが苦手だと言われていますが、ADHDの特性を持つお子さんが何かを成し遂げたときなどに褒めるときは、かなり大げさに褒めるように(褒めることが苦手な場合、自分のできる範囲で問題ありません)してください。
お子さんがうっとうしいと感じるぐらい褒めてあげてちょうどいいと思っておくと良いでしょう。
また、褒めた後で次の課題を提供してしまいがちですが、それはやらないようにしてください。
例えばテストで90点を取ってきたとしましょう。
そういったときは「よく頑張ったね」という一言だけで良いのです。
「よく頑張ったね、次は100点を目指そうね」と言ってしまいがちですが、これは子どもにとってプレッシャーにしかなりません。
それよりも、褒めてもらうだけ褒めてもらえば子ども心に「もっと頑張ったらもっと褒めてもらえるかも」という欲が出てきます。
そうなると必然的に向上心が生まれ、なんでもできるようになるのです。
上がっていく階段は一段ずつであり、飛び級並みにできるようになるわけではありません。
しかし、一歩一歩確実に階段を上がっていくお子さんの姿を、見てみたいとは思いませんか?
その姿を見るためにも、褒めるときは大げさなくらい褒め称えてみましょう。
褒める時と叱るときの区別は明確に!
ADHDの特性を持つお子さんを育てるうえで気を付けなければならないこと、それは叱るときと褒める時のメリハリをしっかりと区別することです。
褒めるのも叱るのも一緒にしてしまうと、子どもはずっと叱られているような気分になってしまいます。
そうなると、子どもが幸福感を抱くことができなくなり、ネガティブになってしまう可能性が考えられます。
ネガティブになると、何かにつけて思考回路が悪いほうへと流れてしまいます。
そこからポジティブにさせるための苦労は途方もなく大きいものとなってしまいます。
お子さんにできることとできないことを教えるという意味でも、褒めるときは思いっきり褒め、叱るときは、お子さんが納得できるような説明を踏まえてアドバイスをするようにしてみてください。
決して頭ごなしで叱ることだけはしないように注意をしましょう。
親御さんの努力は必ずお子さんに伝わります。
子どもというのは、常に親や周囲の感情を読み取っています。
そのことを頭に置いておいてくださいね。
褒め方を間違えると心に傷がつくため注意が必要!
褒める時に気を付けること、それはできていないことを褒めてはいけないということです。
よくオーバーに褒めるというと、褒めるネタが無くなりできていないことまで「頑張った」と言ってしまう人がいます。
確かにオーバーに褒めることは必要です。
しかし、関係のないことまで褒めると、子どもの目には「いい加減な親だ」と映ってしまうのです。
「やっぱり親は子どものことをしっかりと見ていない」と取ってしまう子どももいるかもしれません。
今までの努力がすべて水の泡になってしまい、お子さんだけでなく親御さんまでもが心に傷を負ってしまうかもしれません。
そうならないためにも、ぜひ褒めたい事柄はひとつに絞って、一点集中で褒めるようにしてあげてください。
できないものに対して原因を一緒に考えよう
できないことが多すぎて自信を無くしてしまう、これもADHDの特徴となります。
一人で悩んでいても解決はできませんよね。
できることならば、親御さんがサポートについてあげてください。
答えを与える必要はありません。
一緒に解決の道を探すことが重要なことなのです。
できるようになるまで根気よく続けよう
できないことが多いADHDですが、保護者の皆さんは根気よく見守ってあげるように意識してみてください。
子どもはできないとすぐに諦めてしまいがち。
違うおもちゃに目移りしたり、ふてくされたり……感情を読み取るのは非常に難しいかもしれません。
簡単なことでもすぐにできないケースもあります。
足し算のテストをすべて引き算で計算するなんて、信じられないようなことをすることもあります。
そんな時は、お子さんがきちんとできるようになるまで見守る姿勢を取ってみてください。
そして、何ができないのか、どうしてできないのかをお子さんと話して考えてみましょう。
「自分で考えて答えを出す」ことが重要なのです。
幼い頃から自分で答えを見つけられるよう訓練することで、自立した大人へと進んでいくことができるのです。
お子さんの傍について一緒に頑張りましょう
お父さん・お母さんができること、それは何といってもあきらめずに子どもを信じて一緒に頑張ることです。
一緒に頑張る中で、イライラして腹が立つこともあるでしょう。
生意気になったと感じることがあるかもしれませんが、それも成長の一つだと思って、長い目でお子さんを見てあげてください。
いつかお父さん・お母さんに追いつくことができる日を楽しみに待ちながら、傍で見守ってあげてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実際、このようにまとめてみると、ADHDの特性を持つ子を育てることもそうでない子を育てることも、育て方に大差はないと思われます。
強いて言えば、ADHDの特性を持つ子どもは不器用で周りから遅れを取ることも少なくない、ということでしょうか。
我慢できなくて、親とぶつかってしまうこともあるようです。
「ADHDだからかわいそう」という概念は捨てて、一人の人間としてみてあげてください。
そうすると、本当に面白くて魅力たっぷりのお子さんの姿が見えてきますよ。
家族みんながポジティブでいること、それがADHDの特性を持つお子さんにとって一番の特効薬になります。
そのことを心のどこかに置いておいてください。
コメント