お子さんに発達障害の診断がおりたとき、どのように感じましたか?
「やっぱりそうなんだ、育て方が悪かったのではないのだ」といった”少しほっとした気持ち”とともに、「これから、どうしたらいいんだろう?」「我が子は自立した大人になれるだろうか?」「誰に相談したらいいんだろう?」と、”色々と心配なこと”が浮かんでしまったのではないでしょうか。
子育ては一人ではできないとよく言いますが、発達障害児の子育てはなおさら難しいものです。
特に、療育手帳が交付されない子や普通級で過ごす子を育てている場合、現状では自治体の提供する療育も受けられず、学校でもサポートが少なく、親子とも大変な思いをすることもあるのではないでしょうか。
同じクラスの皆が指導されなくてもできることも逐一指導してもらわなければできず、それが傍目にはサボっているように見えたり、やる気がないように見えたりしてしまいます。
本人は「今何をするべきか」や「どうやるべきか」が“わからない”ため取り組めないのですが、“わからない”ことが伝えられないので、そのように見られてしまうのです。
わからなくて困っていることで叱られたり、学校から親御さんに連絡が来たりして辛い、という声も多く聞かれます。
日本では発達障害が世間に知られるようになってまだ日が浅いため、誰もが発達障害について知識を持ち、理解しているとは言えないのが現状です。
また、親御さんたちも、発達障害の診断がおりたからと簡単に受け入れられたわけではありませんよね。
ですから、なおさら、他人に理解してもらうのは難しいです。
そんなとき、「子どもや自分の辛い気持ちに寄り添ってくれる人がいたら」と思いませんか?
ここでは、私がいろ色んな人に相談した実体験を交えて、相談してよかったと思えた点、失敗したと感じた点を含めて、どのように理解者を見つけていけばよいのかのヒントをお伝えします。
子どものことばかりが心配で自分のことが疎かになりがちですが、親御さんが安心して過ごせない環境では、お子さんが落ち着いて過ごせることはないですよね。
この記事で、一人で悩んでいる親御さんにも、理解者探しのきっかけをつかんでいただけたら幸いです。
発達障害の診断の不安を解消するためにまずするべきこと
知識を得ること
お子さんに発達障害の診断が付いたばかりの頃は、不安だらけになりますよね。
不安な気持ちのときにどうしたらいいかわからない、誰かに助けてもらいたい、誰かに相談に乗ってもらいたいという気持ちになるのは当然のことです。
昔から、子育てはたくさんの大人が関わってしてきたものでした。
自分の子どもなのに誰かに頼ろうとするなんて、と自分を低く見積もってしまう人もいますが、そんなことはないのです。
しかし、藁をも掴む気持ちで頼った相手が怪しい宗教や健康商法などで時間を無駄に使ってしまった、などということになってしまわないように注意も必要です。
まずは、周りが与えてくれる情報の真偽を正しく判断する能力を養うことが大事です。
インターネットで検索すればたくさんの結果を得られますが、その情報の真偽を判断するのは簡単なことではありません。
次から、具体的な方法をご紹介します。
障害名についての本を読む
自分の子の障害名について書かれている本を、最低でも一冊は読むことをお勧めします。
お子さんに診断名を告知する前にその本を見られてしまうのが心配な場合、図書館に行くのもよいですよ。
私が住んでいた地域の図書館には発達障害の本がとても少なかったため、購入リクエストで何冊かの本をお願いしました。
地域の人の目につく場所に発達障害に関する本が増えるのも、周りの理解を進めるきっかけになりますよね。
診断をした医師に詳しい説明を求める
現在、子どもの発達障害を診断できる医師は少ないので、大変忙しい先生が多いです。
しかし、診断名を告げられてそれでおしまい、では、親御さんも本人もこれからどうしたらよいのかがわからず困ってしまいますね。
私の子どもたちの主治医は、子どもの障害について書かれた資料を渡してくれました。
医師の診察の時間が短くて話がなかなかできない場合でも、病院の受付に「障害についての詳しい情報をもらいたい」ことを伝えれば、医師と話せる時間を予約できたり、病院スタッフとして従事している心理士がいたり、提携している病院の心理士につないでもらえたりと、医療方面から障害についての説明をしてもらえることがあります。
忙しそうだからと諦めることはせず、子どものために説明を求める勇気を持ちましょう。
自分の信念をしっかりと持つ
子どもの障害について、まずは親御さんが基本的なこと(障害の特徴、対応方法など)を理解して、自分と子どもが、どのように成長していくのかをイメージしてみることが大切です。
子どもが小さければ小さいほど、長子であればなおさら、将来自立した姿のイメージがわきにくいことと思います。
私も、長男が小学校一年生の時に診断が付いた時には右往左往してしまいました。
対して次男には、長男で一度経験したことなので違う対応をしてうまくいったこともありました。
長男にもこうしてあげればよかった、と思うこともしばしばあります。
私が子どもの障害が分かってから決めたことは一つだけです。
この子を置いて死ねないとは思わず、安心して人生を終えることができるように育てること。
そのためにどのようなことをすればいいのか、を調べて悩んでいくことにしました。
漠然と「どうしよう」「困った」だけでは、自分と子どものためになる情報をうまく集めることができません。
このように、自分の信念を持ってから、インターネットでの情報検索や理解者探しをしたほうが安心です。
家族に対して理解を求めるとき
自分や配偶者の親、きょうだいなど、血の繋がりがあるからこそ、言えること、言えないことがありますよね。
自分と子どもにかかわる機会の多い家族だからこそ、子どもの障害についての理解者を見つけることができると、親御さんの生活もずいぶん楽になりますよ。
配偶者
子どもの診察に付き添ったり、学校と連絡を取ったりして、病院からの専門的な知識や、学校での子どもの様子などの情報を受け取ったあなたが、配偶者に対してどのようにアプローチしていくのかを考えてみましょう。
💡何もないときに、客観的な情報交換をしておく
配偶者ですから、子どもの親であるという立場は同じですよね。
子育てについて同じ考え、同じ方向性を持っていてくれないと、家族の中がギスギスしてしまうことも。
パートナー間の考えの違いを最小限にするためには、お互いに手に入れた情報を交換するなど、障害についての共通認識を持つことが大切です。
- 病院に行ったらこんな話を聞いた、こんな資料を渡された
- 学校から子どもについてこのような連絡がきた
- 障害について、こんなことをテレビでやっていた
- 障害についてのこんな本があった
自分が手に入れた情報を相手と共有することで、お互いにそれについてどう思うか、どうしていけばよいかを一緒に考えることができます。
これを積み重ねていくことで、辛いことがあったり困ったことがあったりしたときにも、話し合うことができますね。
📌我が家の場合:ワンオペ育児
我が家の場合は、育児には非協力的で、仕事のある日はほとんどノータッチ。
いわゆる“ワンオペ育児”でした。
長男は一年生の時に、自閉症スペクトラム症(アスペルガー症候群とADHD)の診断がつきました。
小さい頃から、私にはわからない理由でパニック泣きになることが多い子でした。
診断が出るまでの育児で、困ったり悩んだりしたときに相談をしたときにも夫からは協力的な行動がなく、逆に相談そのものを拒否され、「しつけ方が悪いんじゃないの?」「何で泣かせてるの!?」などと責めるように言われることが多かったのです。
子どもに診断が付いた後も、話し合おうとすればするほど夫は私を否定することが増えました。
私は、アスペルガー症候群について知れば知るほど、症状、成育歴の特徴が夫にもあてはまると感じるようになっていました。
悩んで困って話をしたのに否定されるつらさに耐えかねた私は、夫に子どもの障害や、それによって起こる自分の辛さを理解してもらうことは、諦めてしまいました。
諦めてしまわなければ、自分の我慢の限界が来てしまうと感じたからです。
こちらについては、【発達障害のパートナーを持つ夫婦が気を付けるべき“カサンドラ症候群”とは】の記事でお話しています。
もちろん、毎日、自分と子ども両方に接する配偶者に理解者になってもらえるのが一番です。
しかし、一緒に住む家族がわかってくれない、という気持ちを持ち続けることは、大変つらいことです。
分かり合えない場合は、少し離れて諦めることも自分を守るためには必要なことです。
祖父母(実親、義親)
「子どもの祖父母に、子どもの障害のことをどう話して理解してもらうか」……これは祖父母との関係性によって大きく変わってきますね。
遠く離れて暮らしていて年に数回しか会わないような間柄であれば、要らぬ心配をかけたくないとか、否定的にとらえられたらどうしようという考えから、話すことのリスクのほうが高く感じてしまうでしょう。
近くに住んでいて行き来することが多く、たびたび顔を合わせることがある関係であれば、祖父母も「他の孫とちょっと違う」とか「自分の子どもたちの時とちょっと違う」と感じることもあるかもしれません。
同居している場合には祖父母が子どもに与える影響も大きいでしょうから、配偶者に対するアプローチと同じことができるのが理想ですよね。
💡常識のずれがあることを認識しておくこと
最近では“孫育て講座”などというものが開かれるほど、ここ数十年で育児の常識は大きく変化しました。
- ミルクより母乳のほうが子どもによい?
- 三歳までは保育園より親元で?
- 抱き癖が付くから抱っこはダメ?
最近では、上記は子どもの育ちにはほとんど影響がない、抱っこについてはもっとするべき、などと言われていますよね。
今は当たり前とされることが、間違って伝えられていたり、むしろ否定されていたりした時代に子育てをしていたのが、祖父母世代です。
そして、発達障害が新しく認識され始めたばかりの障害ということもあって、祖父母世代の育児の常識の中には、発達障害という概念そのものが存在しません。
パニックになることが多い子は“カンが強い子“、教室でみんなと同じことができない子は”我慢が足りない子“、”困った子“、”親のしつけ不足“等と捉えるのが一般的だった時代です。
そのような、育児に対する常識に違いがあることを親御さんが理解したうえで、お話しするようにしたほうがいいでしょう。
一緒に住んでいない限りは完全にわかってもらう必要もないでしょうし、子どもの様子によっては伝えなくてもよい場合ももちろんあります。
📌我が家の場合:同居の義両親
我が家は夫の両親と同居していました。
しかし、長男は、生まれた時からずっと一緒に暮らしていたのに、私以外の家族との愛着形成がうまくいかず、診断が付いた一年生の頃になっても、他の家族と出かけるとか、私が出かけるときに他の家族と留守番して過ごすことができない状態でした。
それもあって、祖父母が子どもの面倒を見ることはほとんどなく、育児に協力してもらったことはありませんでした。
長男に診断が付いたとき、祖母には話をしましたが、知的障害がある人たちの施設で働いていたことのあった義母の反応は「この子に障害があるわけない!」というものでした。
義母の中にある障害の概念が、知的障害や染色体異常、身体障害のように「見てわかるもの」だけだったため、納得できないようでした。
その後も6年生になるまで一緒に暮らしていましたが、障害について理解が進むことも、育児に協力することもありませんでした。
私も実の親ではないという遠慮から、それ以上の理解や協力は求めませんでした。
📌我が家の場合:離れて住む実両親
私の実家は、自宅から片道5時間かかるところにありました。
そのうえ、父が闘病中だったため、たまにしか会えない両親に子どもに障害があることを話すのは心配させるのではないかと思って迷っていました。
しかし、自宅に理解者がいない状態だったため、安心して話せる相手がほしいと、実母に話をしました。
実母は、長男が生まれた頃から障害者グループホームの世話人という仕事をしています。
実母の反応も「この子に障害があるの?うちのホームの子たちと比べたらとてもそうは思えない」というものでした。
「障害者施設で現役で働いている人であっても、そのような見え方なんだ」と、世間での発達障害の概念の薄さに驚きました。
それでも、実の親ですから遠慮なく発達障害に関する資料を送っているうちに、少しずつですが母の理解は進んでいきました。
父には直接障害の話をしたことはありませんでした。
父は長男が初孫ということもあり、大変可愛がってくれていました。
実家に帰ったときに父の調子がよいときは、息子を遊びに連れて行ってくれていました。
長男も、自宅の家族とは出かけたりできないのに、私の父とだったら二人で出かけることもできたのです。
自宅の家族との愛着形成がうまくいかなかった長男ですが、私の父とはウマがあったのか、仲良く出かけることが多く、いい関係を築いていました。
📌我が家の場合:近くに住む実親
その後、離婚をきっかけに実親の近くに住むことになり、私たちは実家の近くで子どもたちと暮らし始めました。
父は数年前に亡くなり、母は現在も同じ施設で同じ仕事をしています。
距離が近くなったことで母が子どもたちと過ごす時間も長くなり、障害の特性からくる行動を直接目にする機会も増え、色々な場面で私の対応方法と母の対応方法が合わない、ということが出てきました。
母とは、私がどんな思いでその方針を取っているのかを、時に喧嘩になりながらも育児方針や対応方法を話し合い、今ではよき理解者として子どもたちの将来について話し合うこともあります。
友人、知人
家族とは違って付き合いの幅が広い友人関係では、どの程度、子どものことを話そうか悩むこともありますよね。
友人知人に、子どもの失敗や心配事、愚痴などを話して、スッキリすることができる親御さんも多いですよね。
しかし、幅が広い関係だからこそ、気を付ける必要がある相手もいます。
ママ友
いわゆる“ママ友”とは、子どもが同級生であったり、同じ習い事をしていたりと、子どもがいることがきっかけで知り合って友達になった関係をいいますね。
子どもが仲がよいから、同じ習い事をしているからといって、親も簡単に仲がよくなれるわけではありません。
また、人数が多くなればなるほど、女性特有の集団心理が働きやすくなります。
📌我が家の場合:自分が知らない人が、息子の障害のことを知っている
私は実家が遠く、友人が全くいない場所で暮らしていたこともあって、長男が幼稚園に入ってできたママ友がやっとできた友達でした。
長男に診断が付いたとき、薬を飲まなくてはいけないということに本当に困り果てていた私は、その頃よく話したり、子どもを連れて一緒に遊んだりしていたママ友にポロッと話してしまいました。
少しして、授業参観があったときのこと。
長男の様子を眺めていると、隣にいた知らないママさんたちが、長男のことを指さして、
「あの子、障害があるんだって、薬も飲まなきゃいけないらしいよ?」
「へー、でもぜんぜんそんな風に見えないねー」
「薬を飲むほど手が付けられない子なのかなぁ?」
と、話していたのです。
私はびっくりしてしまいました。
ポロッと話してしまった相手が、色んな人たちの輪の中に顔を出して、人のことを吹聴している人だとは知らなかったのです。
その後、子ども同士の仲が悪くなったこともあり、そのママ友さんとは自然と離れていきました。
子どもを通して知り合い、子どもがいなければ話すことがない程度の相手には、本当の悩みを話してはいけないのだと後悔しました。
子どもが生まれる以前からの友達
子どもが生まれる以前からの友達とは、子どもの障害をきっかけに疎遠になりがちな相手です。
一緒にごはんを食べに行くだけでも、待てない、静かにできない、ゆっくり話をさせてくれない等、障害があることで今まで当たり前にできていたことができなくなることが多いからです。
そんな中でも、子どもの様子をみて心配してくれたり、長年の付き合いで信頼できる友達であれば、障害のことを話して理解してもらえたり、一緒に出かけることで何よりも親御さんの気分転換にもなりますし、子どもの社会勉強にもなる場合もあります。
📌我が家の場合:高校時代からの親友
私が幸運だったのは、友達が現役の保育士だったことです。
保育園で発達障害についての講習や勉強会が開かれていたそうで「発達障害について少しは知っていたけど長男くんもそうだったんだね、色々大変だったね」と理解してくれました。
帰省したときなど、一緒に過ごしているときに子どもがパニックになったときには「こういうときはどうする?」と聞いてくれますし、パニックになる可能性があるということを理解し、納得して余裕を持って計画を立ててくれます。
離婚して近くに戻ってからはなおさら一緒に遊ぶことが増えましたが、子どもの都合最優先で考えてくれるおかげで子ども自身も楽しく出かけることができますし、パニックになってしまったとしても、友達が一緒にいてくれることで心強く感じます。
他の友達も障害のことを話しても否定することも拒否することもなく、子どもたちを受け入れてくれています。
自分が子どもの頃からのつき合いの友達であれば、その子どもがどんな子であろうと、受け入れてくれる人が多いのではないかと感じています。
行政、公共機関関係
行政機関や公共機関には、相談を受ける専門の人員が配置されている部署があります。
そこに相談することで、考え方に偏りのない理解者を得ることができます。
しかし、行政機関のデメリットは、春の異動で顔ぶれが変わることがほとんどだということです。
引き継ぎはしてもらえますが、人が変わることで話しにくくなったり、全部完璧に引き継できるわけではないので二度手間になってしまったりということが起こり得ます。
それでも、専門の相談相手がいるというのは心強いものです。
どこか一カ所でも、入りやすい相談窓口を見つけてつながっておくことが大切です。
児童相談所
児童相談所というと非行や虐待の相談窓口だという印象を持っている人が多いですが、実は児童相談所でも子どもの障害についての相談を受け付けています。
療育手帳を発行するための検査を行うのは児童相談所ですから、そう考えると納得のいくことですよね。
発達障害の相談で行くには少しハードルが高いかもしれませんが、インターネットで調べてみると「障害相談」という項目が必ず見つかります。
電話で相談することができますので、どのような雰囲気なのかを確かめてみることもできます。
📌我が家の場合:ペアレントトレーニング講座
私が住んでいた市を管轄する児童相談所では、発達障害の子どもたちを持つ親を対象にした“ペアレントトレーニング”を行っていました。
そこに参加してペアレントトレーニングを受けることで、子どもたちに対する自分の行動を変えることができ、それにより子どもたちが変わっていくのも体感できました。
月に1、2回程度とたまにしかない講座でしたが、そこに通う親御さんたちが書く誓約書には守秘義務の項目があって、その場所では子どものどんなことを話しても大丈夫だという安心感があり、とても楽しみな時間でした。
社会福祉協議会
災害が起きた時に、ボランティアセンターを開いているのが社会福祉協議会のイメージではないでしょうか。
社会福祉協議会は、各県、市町村に配置されています。
ファミリーサポートセンター事業を行っていたり、老人、障害者、子育てなど、福祉に関する幅広い講座やボランティア講座を開いていたりします。
社会福祉協議会では、市の代行として、子育てサロンなど、育児に関するボランティア活動を行っているところも多いです。
また、私の市の社会福祉協議会では、発達に心配のある未就学児に対する療育も行っていました。
それらの活動に定期的に参加してボランティアさんたちと話をする時間を作り、社会福祉協議会の職員さんたちと顔見知りになっていけば、相談に行くのも気が引けることがなくなります。
📌我が家の場合:ファミリーサポートセンター
私は、結婚してから子どもができるまでの間、地元のファミリーサポートセンター事業でお子さんを預かる有償ボランティアをしていました。
子どもができてからは、ずっと参加できずに6年程度間が空いていましたが、長男に診断が付いて本当に悩んで辛くて苦しかったときに、町で社会福祉協議会の職員さんに会いました。
職員さんは親から長男の障害のことを聞いたらしく、「小学生だからうちの療育は受けられないけど、相談はいくらでも聞けるよ」「苦しくなったらいつでも話しにおいでよ」と声をかけてくれました。
「この人には話していいんだ」と、そう思えて泣きそうになったのを今でも覚えています。
それからは、行き詰まったときに相談するようになり、時間いっぱい話を聞いてもらってすっきりして帰るということを何度かさせてもらいました。
その後、発達について心配のある小中高生のお子さんを持つ親御さんを集めて、相談会を開いてくれたり、勉強会を開いてくれたり、ファミリーサポートセンター事業の研修に発達障害を取り上げてくれたりと、色々な活動をしてくれています。
こども相談センター
現在住んでいる市には、こども相談センターというものがあります。
離婚して遠方の県外に転居したときに今までの相談先との関係をすべて失ったため、転居後すぐに市内にある発達障害に関する相談窓口をインターネットで調べたところ、この窓口を見つけました。
これはモデル事業としての実施なので、どこの市町村にもある窓口ではありません。
しかし、どこの市区町村でも子育てに関する窓口が設けられていますので、探してみることをお勧めします。
教育委員会関連
子どもが小学生になると、家で自分と過ごす時間よりも学校で過ごす時間のほうが長くなりますね。
また、授業参観などに参加しても、子どもはいつもと違う雰囲気の教室にそわそわしてしまって、普段通りの様子を見せてくれません。
自分の目が届かないところにも理解者がいてくれると、学校での子どもの行動について、多角的な視点からアドバイスをしてもらえる可能性があります。
担任の先生
担任を選ぶことはできませんよね。
そのため、先生と子どもの相性が悪いと、一年間、子どもも親も辛い思いをしてしまうこともあります。
逆に、相性がいい先生と過ごすことができれば、子どもは本来の力を発揮して活動できるようになります。
色々な先生と関わることによって、どのようなタイプの先生とならうまくやっていけるのかを知ることができます。
また、先生達が子どもに対してどのようなアプローチをしてくれたのかを聞くことで、子どもが過ごしやすい/辛いと感じる環境を知ることができます。
📌我が家の場合:子ども自身が信頼できる理解者を見つけた
長男は、担任との相性が悪く、一年間授業をボイコットしたことがありました。
しかし、3年間担任をしてくれた男性の先生だけには心を開いていて、思ったことを伝えることができていました。
また、家に帰ってきて先生に褒められたことを喜んで教えてくれたこともあります。
子どもが自分で理解者を探せるのが一番よいことですが、発達障害児にとってそれはとても難しいことですから、同じ担任が3年間みてくれたのは、長男にとっては本当に運がよいことでした。
スクールカウンセラー
現在ではスクールカウンセラーの配置が進んで、週一程度学校に来てくれているところもあります。
長男が通っていた小学校では、3ヶ月に1回だけだったため、本人が継続的なサポートを受けることはできず、スクールカウンセラーが親や本人から困りごとの聞き取りをして先生に改善点を伝えるべきと感じたことをまとめて伝えてくれる、という活用方法でした。
スクールカウンセラーは子どもたちの授業の様子も見てくれるので、普段の授業の様子を客観的に見て教えてくれます。
それにより、先生の主観、子どもの主観ではなく、専門家の全体的な視点から問題解決にアプローチしてもらうことができます。
📌我が家の場合:小学校のカウンセラー
否定的な見解を述べるカウンセラーはなかなかいないと思うのですが、相性の合う合わない(人によっては話しやすい、または話しづらいということ)はもちろんありますよね。
私にとっては中学校のカウンセラーは、 小学校と同じ相談をしても、“中学生だから”ということで子どもに求めているレベルが突然上がった、と感じ、話しづらい人でした。
小学校の時のカウンセラーは3ヶ月に1回という長いスパンでの面会でしたが、家庭環境から話を聞いてくれるため、学校での困りごとから家での困りごとまで全てを話すことができて、一時間を短いと感じるほど話したいことが山積みになる人でした。
巡回相談員
各教育委員会では、管轄の小中学校に対して巡回相談員を配置している場合があります。
我が子たちが通っていた学校では、支援クラスのサポートが薄かったこともあって、巡回相談員の先生が月に1回程度学校に来ていました。
各学校を巡回して、学校の先生達からの対応方法や対策の相談を受けるために授業中の子どもの様子をしっかりとみてくれて、対応方法を一緒に考えてくれる先生です。
📌我が家の場合:ケース会議にも参加
初めは「学校側の先生」という感じでしたが、何度かケース会議や先生と二人での面談などをするうちに「学校にとって」ではなく、「子どもにとって一番良い方法を真剣に考えてくれている」と感じるようになりました。
場合によっては学校の先生の言うことを否定してでも対策を考えてくれている姿を見ていくうちに、家での自分の対応についても相談するようになり、学校関係者の中では一番の理解者となりました。
発達障害児を育てる人
ママ友と子どもの話をしていても、少しずれを感じるときがありますよね。
障害があることによって起こる困りごとを相談しても、「それくらいうちの子もあるよ」「大きくなったら自然になくなるよ」など、健常児とは違うという前提を理解してくれる人はなかなかいません。
そのため、話をしても共感を得られず、すっきりすることがなかなかできません。
同じように発達障害児を育てる親御さん相手であれば、発達障害に対する偏見が少なく、お互いの子育ての困り感の共感もできますね。
同じ特別支援クラスの親御さん
子どもが特別支援クラスであれば、同じ特別支援クラスのお子さんの親御さんと話ができるといいですね。
授業参観で特別支援クラスの授業をみることができたり、特別支援クラスの学級懇談会が開かれたりしているときは、ぜひ参加しましょう。
お互いに話がしたいと思っていても、最初に声をかけるのはなかなか難しいことです。
私の学校では、親御さんが特別支援クラスの担任に「他の親御さんと子どものことについて話せる機会がほしい」「家での対応をどうしているのかというアイデア交換をしたい」と相談、また、先生からも後押しをいただいたため、気軽に連絡先交換をすることができました。
📌我が家の場合:通常学級とは疎遠に
次男は広汎性発達障害とADHDの診断があり、小学校では特別支援クラスに所属しています。
特別支援クラスに席とロッカーがあり、参加できる授業の時は通常学級に行く、というスタイルです。
多学年学級の支援クラスのお友達と仲良くなり、家でたくさん話してくれるようになりました。
学校から帰宅後に「特別支援クラスのお友達と遊ぶ!」と出かけたり、連れてきたりすることも多くあります。
そのため、特別支援クラスの授業参観や学級懇談に参加したときに、お友達の親御さんと話をして連絡先を交換したため、一緒に遊びに行くこともあります。
お互いの子どもが特別支援クラスの子どもだという共通理解があるため、子どもを過剰に抑え込む必要もなく、とても楽に過ごせる相手です。
そのかわり、通常学級の学級懇談会には参加できず、そこでは知らない人ばかり。
それでも、子どもが困らないのであればこだわることはないと割り切っています。
親の会
同じ障害を持つお子さんの親御さんが、情報共有や日々の相談のために集まって活動するのが親の会です。
全国各地に支部がある大きな親の会もありますし、地域を限って募集している親の会もあります。
親向けの講演会や交流会を開いているところが多く、発達障害に関する理解を進めることもできます。
今、自分たちが困っていることは他の親御さんたちが通ってきた道だという場合もあるので、ピアサポートの観点でも親の会での交流で得られることが多く、オススメです。
SNS
インターネットを使った交流が珍しいものではなくなった今、SNSを使って発達障害児を育てる親御さんとつながることができます。
また、発達障害に特化したSNSも存在します。
これらは、インターネット版の親の会といったところですね。
直接の交流はなくても、同じ発達障害児を育てる者同士という前提があるため、お互いの悩みに共感できたり、自分はこうしてうまくいった、こうしたらどうだろう、というアイデアも出やすくなります。
📌我が家の場合:インターネットが頼みの綱
我が家は田舎で親の会が開かれる場所から大変遠かったこともあり、インターネットでの情報検索や交流が頼みの綱でした。
特に私が活用したのはTwitterで、親同士の繋がりや相談、また、発達障害の専門家のツイートを読むことで、子どもの障害についての理解がかなり進みました。
東日本大震災のときには、診断が付いたばかりの一年生だった長男への対応に困ってTwitter上でアドバイスを求めたところ、専門家から返信をいただきました。
インターネットがなければ交流することができない人や専門家とつながることができるSNSは、ぜひ活用するべき媒体です。
まとめ
電車やお店で赤ちゃんが泣くことすら遠慮しなくてはいけないような社会で、発達障害児を育てるのは本当に大変です。
そのため、発達障害児を育てるうえで、理解者を得るのは大変難しいことでもあります。
でも、一人で悩んで考えていても解決策が見つからないことも多いです。
そんなときに、理解して相談に乗ってくれる人が一人でもいれば、親御さんも、ひいては子ども自身も救われることにつながります。
私自身、この記事を書きながらたくさんの人に助けてもらいながらここまで来られたのだと実感しました。
子どもの調子がよくて余裕があるときにでも、新しい理解者探しをしてみませんか。
親子共倒れにならないためには、特に親御さんの理解者探しが重要ですよ。
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