【じっとしていられない】【すぐに手が出る】といった特性があり、周りと馴染めない我が子。
「うちの子は他の子とちょっと違う……」と感じながらも、誰にも相談できず苦しんでいる親御さんたちへ。
発達障害のあるお子さんのことで悩んでいるすべての親御さんたちへ。
どうか一人で悩まないでください。
今回は、筆者の体験談を交えながら、発達障害児を育てるすべての親御さんたちに読んでもらいたいことを記事にしました。
子育ての難しさと我が子に愛情を持てない悩み
教科書に書かれているように【発達障害を受け入れて、その子に合ったサポートをしていく】なんて、そう簡単にできることではありませんよね。
「どうしてうちの子が」「妊娠中に何か悪いことをしただろうか」「私の遺伝子が悪かったのか」と、その境遇や自分自身を責めることも多いでしょう。
「どんな子でも親なら子どもを無条件に愛することができるはず」という思い込みも、親御さんたちを苦しめているのではないでしょうか。
発達障害がある、ないに関わらず子育てが嫌になることもありますし、我が子を可愛いと思えないこともあります。
発達障害児の場合、【目が合わない】【感情のコントロールが難しい】【マイペースである】といった特性から、他人とのトラブルも起きやすいですし、親子の絆でさえも築いていくのが難しいと感じるかもしれません。
- 公園や児童館に出かけても、楽しそうに遊ぶ子どもたちや優しく子どもに話しかける他のお母さんを見て自己嫌悪に陥ってしまう
- 我が子なら可愛くて仕方がないはずなのにどうしても可愛いと思えない
- 我が子に罪はないのに周りの目を気にしてしまう自分に嫌気がさし落ち込む
この繰り返しではないでしょうか。
更にずっとお家で子育てをされている親御さんは、24時間お子さんと一緒にいるわけですから、ずっと悩みに向き合っていなければいけません。
気持ちの切り替えができない分、しんどいですよね。
「我が子がかわいいと思えない」と思ってしまったからといって、決して母親、父親失格というわけではありません。
真剣に考え、悩んでいる今この時期も、決して無駄ではなかったと思える日が必ずやってきます。
発達障害は生まれつきのものであり、完治はしないと言われていますが、だからといって「完治しないものなのだから仕方ない」と諦めてしまわないでください。
「できること」に焦点を当ててその子の特性を伸ばしてあげることで、お子さんへの理解も親子の絆も少しずつ深まりますよ。
保護者への支援
「発達障害」のお子さんを持つ親御さんは、
- 我が子が「発達障害」であるということを受け入れることができない
- 子どもが「発達障害」であることを相談できる相手がいない
等といった理由から、ストレスや悩みをご自分の中に閉じ込めてしまいがちです。
辛い、苦しいと毎日泣いている人も多いはず……。
発達障害者へのサポートは、発達障害者を育てる親御さんたちに対するサポートを抜きにして考えることはできません。
お子さんのことで悩み、苦しい思いをしているのはきっと、「それだけお子さんのために心を割いているから」ではないでしょうか。
- 相談できる人や場所があること
- 親御さんが内にこもってしまわない方法
上記のような対処法が見つかれば、きっとお子さんへの感情や接し方も変わってくるはずです。
発達障害児に対するサポートは、お住まいの市区町村の保健センターや児童相談所などで行っています。
頼れるところには頼りましょう。
「助けて!」と信号を送る勇気を持つことも大切なことなのです。
療育、通級、様々な福祉サービスなど、今は昔とは違って様々なサポートを受けることができます。
「親がきちんと子育てしていれば大丈夫」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、努力だけでは解決できないこともあります。
発達障害児たちが健やかに大きくなるためには、早期発見、そして早期の対応が何よりも大事です。
適切なサポートを受けることでその子らしく成長していくことができるのです。
残念ながら、あなたの周りの人すべてが協力的ではないかもしれません。
今は昔と比べて「発達障害」が広く知られるようになりましたが、偏見が完全になくなったわけではありません。
更に、親御さんの子ども時代には、発達障害に対しての理解や知識も少なく、ご祖父、ご祖母に伝えたとしても孫に「発達障害」があるということをなかなか受け入れらず、理解をしてもらうには時間がかかるでしょう。
身内に支援してもらえないことは大変辛いことですし、お子さんと同年代の子どもや周囲の人たちからの何気ない言葉や行動に、傷つくことや涙することもあるかもしれません。
しかし、【SOS】を発すればそれに応えてくれる人は必ずいます。
理解しようとしてくれない人のことで心を痛め、前に進まないなんてもったいないです。
協力してくれる人が増えれば、それだけ親自身にも笑顔が増えるはずです。
親が笑顔で楽しく暮らしていることが、何よりもお子さんにとって良い環境ではないでしょうか。
「障害」って本当に「障害」?
「子どもの”障害“を受け入れる」という言葉にちょっと抵抗があるという人も多いのではないでしょうか。
大人たちが言う”障害“が、もしかしたら、ある子にとっては”障害“ではないかもしれません。
発達障害があることで社会の中で他の人との団体生活を送る上で困ることがあるかもしれませんが、「個性がちょっと強い」と見られることが多いだけで、決して「劣っている」「ハンディキャップがある」ということではないのです。
発達障害児の多くは「真面目で何事にも熱心に取り組む」という特性を持っています。
どの子も「怒られたい」なんて思っていないでしょうし、園や学校のお友達ともうまくやっていきたいと思っているはずです。
しかし、下記のように、いくら頑張っても上手くできないこともありますよね。
- 暗算が苦手
- 漢字の書き取りが苦手
- 口頭での指示に従うことが苦手
- 集団行動がうまくできない etc…
失敗して怒られても、反省しているということをうまく伝えることができず、誤解をされてしまうことも多々あります。
自分の思いとは裏腹に行動が伴わず、怒られ、なじられてばかりいると、その子の意欲や興味は瞬く間にしぼんで小さくなってしまいます。
反対に、発達障害児は「できる!」と実感すること、笑顔で褒められることで、どんどん得意なことを伸ばしていくことができるのです。
また、口頭の指示では理解が難しくても、絵を描いて説明することで理解できる発達障害児も多いので、周囲の人たちの関わりかた次第だと筆者は常に感じています。
みんな不完全、それでいい
簡単なことではありませんが、周りの子どもたちや環境に無理に我が子を当てはめようとするのをちょっとだけ止めてみませんか?
親御さんたちも子どもたちや周りの人から【理想のお母さんやお父さん】を押し付けられたとしたら……ちょっと嫌な気持ちになりませんか?
「こんな母親や父親にならなくちゃいけない」と思いながら生活するのは、とてもしんどいことですよね。
それと同じようにお子さんも「こうしなければいけない」と、子育ての常識たるものを押し付けられるのはつらいことなのです。
親もいくら頑張っても完璧にはなれないし、ならなくていい、また、お子さんも100点満点じゃなくていいんです。
私が子どものことで悩んでいる時に主人に言われた言葉があります。
「親が勝手に子どもを”かわいそう”って決めつけてはいけない。この子は自分のしたいようにしていて、自分のことをかわいそうって思っているわけではないのに、親が“かわいそう”と決めつけることで自分のことを“かわいそうな子だ”と思ってしまう。それは親が絶対してはいけないことだ」
そう言われ、私はハッとしました。
また、知らず知らずのうちに、どこかで自分の子と他の子を比べてしまってはいないだろうか?と、私は自分自身に問いかけてみました。
皆さんは、いかがでしょうか?
「隣の芝生は青い」とよく言いますが、我が子の欠点ばかりが目についてしまい、他のお家の子どものほうがよく見えてしまう……我が子とは一緒にいる時間が長く良いところもたくさん知っているはずなのに……。
叱られ、注意され、親の理想を押し付けられ、窮屈な思いをしながら育った子どもが自分のことを好きになれるはずがありません。
「うちの子、こんなところがダメなんです」という言葉の代わりに「うちの子、こんなことができるんです」と言うだけでも、子どもの表情や気持ちはグッと変わりますよ。
二次障害は心の叫び
最近では発達障害の「二次障害」が注目されています。
- 発達障害を理解されず嫌な思いをする
- 孤立する
- 失敗経験を重ねていく
そのような思いや経験をしていくうちに
- うつ病
- 引きこもり
- 不登校になる
- 暴力的・攻撃的な性格になる
- 薬物やアルコールに依存するようになる etc…
なんてこともあるのです。
発達障害児たちは、興味のあることにはものすごい集中力で全力投球しますよね。
しかし、一生懸命頑張った結果が報われなかったら”燃え尽き症候群”のようになってしまい、「何をやってもダメなんだ」と自暴自棄になってしまうことも……。
100か0かといった振る舞いに周囲の人は驚いてしまうかもしれませんが、そういった時は親身になって小さな課題をこなしていくことで乗り越えていくことができますよ。
そして、人は誰でも「認められたい」という願望がありますよね。
その願望は、一番大事に想っている人に対してとても強くなる傾向があります。
「自分の親は自分の一番のパートナー、一番の理解者」
「お母さんやお父さん、おじいちゃんやおばあちゃん……みんなに認めてもらいたい」
お子さんがそう思い、願うこともあるでしょう。
しかし、「ありのままの自分を認めてもらえない」「自分がその人にとっての理想ではない」と思った時、子どもたちは頑張り疲れて失望感の中に沈んでしまいます。
「もうこれ以上傷つきたくない」というこじれた感情が二次障害となって現れることも……。
二次障害は「発達障害」の症状というよりも周囲の環境によって作り出されてしまった第二の障害です。
うつや暴力といった症状が出る二次障害が起こるのは、学生や成人になって発達障害であることが分かったケースが多いと言われていますが、小さな子どもでも登校・登園拒否などといった行動にあらわれることがあります。
お子さんはもちろん親御さんたちにとっても辛い日々ですが、年月をかけその状況を乗り越えられてきた人たちもたくさんいらっしゃいます。
お子さんの気力が戻るまでどれくらいかかるかわかりませんが、諦めず見守ることで、きっと道は開けますよ。
おわりに
文部科学省によると、発達障害により公立の小中学校で通級指導を受けている児童や生徒は9万人以上。
この20年ほどで、その人数は7倍以上に増えたとされています。
発達障害であることを告白する芸能人がいるなど、メディアなどでも発達障害について取り上げられることが増え、発達障害者の数が増えたような印象を受けますね。
今のところは実際に発達障害者が増えたのか、それとも教育現場での理解が広がって把握できる数が増えた結果なのかわかってはいないそうですが、それだけ多くの人が悩んでいる問題ということは紛れもない事実です。
発達障害の主な特徴は【コミュニケーションの障害】【社会性の障害】【こだわり行動】の3つですが、そもそもこの「発達障害」という診断名や定義の内容が多くの人の誤解や偏見を招き、親御さんたちを悩ませているのではないかと筆者は感じているのです。
コミュニケーションの問題も社会性の問題も、単に発達障害者が少数派だから問題視されるわけですが、もしこれが逆だったら「発達障害ではない」人たちに「障害」があるとされ、理解されないということになってしまいます。
人間関係のすべてがそうであるように、一人の人間を完全に理解するということは無理ですよね。
しかし、理解しようとすることはできますし、感情を理解できない時にはわからないと伝えればいいと筆者は思うのです。
少なくともそれで「分かっていない」ということは分かりますから。
そうやって少しずつ歩み寄っていけばいいのではないでしょうか。
すべての発達障害児と保護者の皆さんがのびのびと暮らせ、悩みや不安な気持ちを紐解いていける社会が早く訪れますよう願ってやみません。
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