多動・ADHDな我が子の子育て。心にゆとりがもてる接し方とコツ

ADHD子供接し方

小学一年生の時「多動っぽいね」と小児科医に言われ、五年生の時に精神科受診を勧められた息子。

幼少の頃からトラブルメーカーで、周囲とは衝突ばかりでした。

そんな息子と接するのが本当に大変で、心身共に疲れていました。

 

けれども、一つ一つ対処法を身につけていくうちに子どもの情緒が安定し、私自身も心に余裕が出てきました。

 

そうなるための大切なポイントが3つあります。

  • 「子どもとの関わり方」
  • 「ひとりで抱え込まず上手に周囲のサポートに頼る」
  • 「心にゆとりを持つ事」

ここでは、私の実体験とともに3つのポイントを説明していきます。

 

【もくじ】

  1. ADHD(注意欠陥/多動性障害)とは
    1. ADHDってどういう障害?
    2. どうしてADHDになるのか
    3. ADHDの診断基準
  2. 多動・ADHDの特性を持つ子どもとの関わり方
    1. じっとしていない。すぐどこかに行ってしまう
      1. 手をつなぐ習慣をつける
      2. 遠方に行く時は名札をつける
      3. 子どもをじっとさせるには
    2. 何かとかんしゃくを起こす
      1. 人のおもちゃを強引に取ってしまう。順番が守れない
      2. 遊び方が乱暴で物を壊してしまう
      3. カッとなって、他の子どもを怪我させてしまった
    3. 夢中になると周りが見えなくなる
      1. 好きな事がやめられない。切り替えできない
    4. 不注意が多く、集中力がない。
      1. 忘れ物や失くし物が多く、学校の準備ができない。忘れっぽい
      2. 物を散らかす。整理整頓ができない
      3. 不器用で自分に自信がない。同じミスを繰り返す
      4. 勉強への意欲がない。授業態度が悪い
    5. 音に敏感でイライラしている
    6. 対人関係が築けない。反抗して言う事を聞かない
      1. 会話が噛み合わない。人の話をきかず一人でしゃべり続ける
      2. 言う事を聞かない時は、冷静に対応する
      3. 約束を守らない
      4. 子どもが「いじめられた」と訴えてきた時は
  3. 子どもの多動、抱え込まず周囲に頼って
    1. 専門機関に相談しよう
      1. どこに相談すればいいの?
      2. 専門家のアドバイスで生きやすくなる
    2. 薬を使う方法も
    3. 幼稚園や学校に理解と協力を求める
      1. 診断結果があれば提示。なくても先生に説明しておこう
      2. 幼稚園や学校とこまめに連絡を取り合う
    4. ひとりで抱え込まないで。上手に周りの人に頼ろう
      1. 信頼できる人に悩みを打ち明ける
      2. 近隣と交流を持つ
      3. 一時保育に預けてみる
  4. 心にゆとりを持つためには
    1. 前向きな心で子どもに接する
      1. 周りの子どもと比べない
      2. 子どもの特性をプラスで捉える
    2. イライラ! 感情的に子どもを怒ってしまいそうな時は
      1. 子どもは親の真似をする、という事を肝に銘じる
      2. 褒めてから怒る
      3. それでもイライラする場合は
    3. 適当がちょうどいい。
      1. 家事も育児も手を抜いて
      2. 気軽に対処法を実践してみる
  5. まとめ

ADHD(注意欠陥/多動性障害)とは

ADHDってどういう障害?

発達障害の一つで、英語では「Attention Deficit/Hyperactivity Disorder」。

多動性・衝動性・不注意が主な特徴で、年齢に発達が伴わず幼い行動を取ってしまいます。その為、人とのコミュニケーションが困難だったり、幼稚園や学校・仕事に影響が出る事があります。

症状については、現れ方や重症度が人それぞれ異なります。

じっとしていられない、思い立ったら何も考えず行動に移してしまう、集中力が続かず忘れっぽいのが大きな特徴です。

どうしてADHDになるのか

生まれつきの遺伝的要因が大きく、環境要因も関わっているとされます。
脳の働きがかたよっているとも考えられていますが、まだ明らかになっていません。

ADHDの診断基準

肉体の病気と違って正確な診断がとても難しく、乳幼児期に診断されることはまずありません。
ADHDの症状が顕著になるのは小学校に入る頃から。この辺りから「診断基準」に基づいて診断が下されることが多くなります。

他の発達障害と共通する症状もあるので、子どもの様子を観察し、発達検査や知能検査等で総合的に診断されます。

多動・ADHDの特性を持つ子どもとの関わり方

ADHDこども接し方

じっとしていない。すぐどこかに行ってしまう

多動性の代表的な症状の一つです。

常にそわそわして落ち着きがなく、目を離すとすぐいなくなってしまいます。
走り回る子どもを追いかけるだけで親御さんはヘトヘトです。

手をつなぐ習慣をつける

幼児の場合、手をつなぐ習慣をつけます。
嫌がる時は理由を聞いて「車がいっぱいで危ないからね」等、何故手をつなぐのかを説明します。

子どもの目線に合わせてしゃがみ、目を見て真剣に話すと伝わります。

遠方に行く時は名札をつける

周りを見渡すのが苦手なので、パッと走っていく子どもは外出先で迷子になる恐れがあります。
旅行など遠方に行く時は、名前や住所、連絡先を記入した名札を裏返して子どもにつけましょう。外国に行く場合はローマ字で記入します。

また、名前・住所・電話番号を言えるよう練習しておきます。

子どもをじっとさせるには

「しぃーっ。静かにしてね」と普通の子ども同様に教え、おもちゃや絵本を用意します。

集中力がなく飽き性なのでたくさん必要ですが、折り紙やパズル、お絵描き帳やお出かけ絵本等、薄くて軽い物を選ぶとかさばりません。
もちろん、子どものお気に入りも用意しましょう。

事前に体を動かし、ほどよく疲れさせておくのも効果的です。

何かとかんしゃくを起こす

衝動性が強く、自分のやりたい事を即行動に移さないと気が済みません。

嫌な事があったら、些細な事でも大声を上げたり乱暴したり。

自分の感情や衝動をコントロールできません。

人のおもちゃを強引に取ってしまう。順番が守れない

衝動に駆られると、人が使っているおもちゃでも取り上げて遊ぼうとします。
その時は「順番だよ。他の人が使い終わってからね」と子どもに促します。

子どもは「今すぐ遊びたい」という感情を抑えられないので、かんしゃくを起こすかもしれません。
許すと同じ事を繰り返すので、時間はかかりますが何回でも態度を変えずに順番を守ることを教えます。

でも、押し問答が続くと親御さんは疲れてしまいます。

そんな時は、別のおもちゃや遊びで興味を引きます。
多動な子どもは強い刺激を好むので、体を使った激しめの遊びが大好きです。

遊び方が乱暴で物を壊してしまう

落ち着きのない子どもは遊び方が激しく、おもちゃを放り投げて壊す事がよくあります。

私は「投げたらダメ。お友達に当たったら痛いし、おもちゃも痛いって泣いてるよ。大事に使ってね」と注意し、おもちゃに「痛い痛い飛んでけー!」していました。

言葉だけよりも、リアクションを取りながらおもちゃを大切に扱うことを教えると子どもに伝わりやすいです。

カッとなって、他の子どもを怪我させてしまった

気に入らない事があると、カッと熱くなる傾向があります。
衝動的に大声をあげたり噛みついたり、叩いたり。
また叩かれると叩き返し、激しいケンカになってしまう時もあります。

脳の実行機能が弱く意識や行動をコントロールできないので、衝動的にやり返してしまうのです。

頭ごなしに叱りつけても、子どもは怖くて謝るだけ。何故叱られているのかを理解しません。

どうして相手を傷つけてしまったのか。
叩かれたら叩き返してもいいのか。

子どもに理由を聞いてプロセスを考えさせます。

「嫌な事を言われた」「相手が叩いてきた」と子どもは言うかもしれません。

「だからといって叩いていいわけじゃない」事を教え、「やめてって言うんだよ。それでも駄目なら教えてね」と対処法を提案。

子どもが納得してから相手に謝罪します。

息子は学校でも家でもこの繰り返し。
思春期になって自分の性格を自覚し、怒りをコントロールできるようになると、クラスメイトとの衝突やトラブルが一気に減りました。

夢中になると周りが見えなくなる

時と場合を考えず、ただ自分のやりたい事に没頭してしまいがちです。
過集中といって、ADHDやアスペルガー症候群等、発達障害を持つ子どもに見られる特性です。

好きな事がやめられない。切り替えできない

嫌な事が長続きしない一方、好きな事には異常な集中力を発揮します。自分の世界に入ると周りが見えなくなり、人に話しかけられても気づきません。

うまく伸ばすと、子どもに得意分野ができて自信につながります。
ですが、のめり込んでしまうと寝食を忘れて日常生活に支障をきたしてしまう恐れがあります。

特にゲームは要注意。
ADHD脳は「目新しくて変化がある」「待たずに結果が出る」刺激を求めているので、ゲームにのめりこみやすく、なかなかやめられません。

上手に声をかけて頭の切り替えをしてあげましょう。

例えば食事時なら「ゲームどこまで進んだ?」等、子どもの好きな事や今している事に触れて注意を引き、「今日のご飯はカレーだよ」のように、これからすべき事を子どもが興味を持つような表現で伝えます。

不注意が多く、集中力がない。

不注意はADHDの代表的な症状の一つ。

忘れ物やミスが多い、片付けができない等の形で症状が現れます。

忘れ物や失くし物が多く、学校の準備ができない。忘れっぽい

ADHDの子どもは注意力が散漫なので、忘れ物や失くし物は日常茶飯事。

その場を去る時、自分のいた場所を振り返って忘れ物チェックする癖をつけると、忘れ物や失くし物がぐっと減ります。
また、家の鍵といった大切な物は持たせないようにします。

学校に上がると、時間割を見て自分で持ち物を準備する必要があります。
「持っていく物リスト」を用意して一緒に荷物を確認したり、「準備した?」と声をかけると忘れ物防止につながります。

物を散らかす。整理整頓ができない

頭で分かっていても、義務感で片付けられないのがADHD脳。
楽しく・早く綺麗に」なればどんどんやる気が出ます。

一人だとやる気にならず、誰かと一緒に同じ行動を共有するのが楽しい子どもには

「一緒に片付けよう。終わったらゲームする?」と提案し、ご褒美も提示しましょう。

また、どこに何を片付けるか定位置を決めておきます。

中に何があるかを忘れるので、収納は扉のない棚やフタのない箱がおすすめです。
ぽいぽいっと棚や箱に放り込むだけなので、慣れれば一人でもできます。

ゴミ箱に「的当てゲーム」の的を書いた厚紙を貼っておくのもお勧め。子どもは喜んでゴミ箱にゴミを捨てるようになります。

不器用で自分に自信がない。同じミスを繰り返す

工作や運動等がうまくできず、書く事が嫌いで字が汚かったりします。
年齢が上がると周りと自分を比べてしまい、「自分はできない人間だ」と劣等感を抱きがちです。

できなかった事ができるようになった時は、ささいな事でもたくさん褒めましょう。
「自分もやればできるんだ」と自信がつき、新しい事に挑戦する意欲が湧きます。

しかし経験を積み重ねて活かす事が苦手なので、何回注意しても同じ失敗を繰り返します。
集中して人の話を聞けないため頭に入らないし、ミスという教訓から何も学べないのです。

何故ミスしたのか

どうしたらミスをなくせるか

まず子どもに考えさせます。

テストのケアレスミスも、子どもが「時間いっぱいテストを見直したらミスが減る」と気づいたなら、それを常に意識させます。

紙に書いて子どもの目につく場所に貼っておくと、いちいち注意されなくても自分で再確認できます。
それでも子どもが忘れる場合は、しつこくない程度に声をかけます。

勉強への意欲がない。授業態度が悪い

落ち着きがなく、授業中に席を立ってしまう時があります。

年齢が上がると移動性多動から非移動性多動に移行する傾向があり、うろうろ歩く行動が貧乏ゆすり等に変わります。
席を立たなくなっても、その場でごそごそ動いてないと落ち着きません。

授業態度は当然悪いので叱られる事が多くなります。でも叱責されてばかりだとコンプレックスや劣等感が強くなり、勉強に対する意欲がなくなってしまいます。
すると学力は低下。何事にもやる気がなくなり、自分の世界に引きこもったり不登校になる場合さえあります。

知的機能に問題がない子どもでも、こういった二次障害が出てくるから要注意。

学校の先生にあらかじめ特性を説明し理解してもらっていると子どもの対応に注意して下さるので、子ども自身の精神的負担が軽くなって学校生活が過ごしやすくなります。

音に敏感でイライラしている

発達障害を抱えていると、ADHDに限らず聴覚が過敏で疲れてしまう子どもがいます。

道路の騒音や救急車のサイレン、マンションの上下左右から聞こえてくる生活音。金属のこすれる音や話し声。
普通の人が気にならない雑音でも、不快に感じてイライラしたり疲労したりするのです。

また、音の洪水の中から一つの音を捉える事が難しく、相手の話に集中できないケースもあります。

騒音対策に用いられるイヤーマフ、騒音を低減し人の声を通すノイズキャンセリングイヤホンやヘッドホン、耳栓等が有効です。

対人関係が築けない。反抗して言う事を聞かない

ADHDの二次障害として知られる反抗挑戦性障害。

注意・指摘すると怒って反抗し、訳のわからない主張で自分が正しい事を証明しようとする時があります。
そのため、些細な事で衝動的に怒ったり乱暴したり。

コミュニケーション能力が低く人付き合いがうまくできません。

会話が噛み合わない。人の話をきかず一人でしゃべり続ける

会話のキャッチボールが苦手で、相手の質問や話題と全く別の会話を始めてしまう事があります。
自分の感情が優先になり、しゃべりたい事を洪水のようにまくし立ててしまいます。

その時は「今、何の話だったっけ?」「なんて質問したか分かる?」と、きりのいいところで話を遮って、考えさせます。
こちらの話を聞いてなかった場合はもう一度質問を繰り返し、回答を待ちます。

息子が一人でしゃべり始めたら、私は時折指摘するようにしています。
「早すぎて何言ってるか分からない。ゆっくりしゃべってくれる?」
「声が大きい。聞こえるから静かにしゃべってね」
「主語がないよ。何の話?」
「それについて意見があるけど、しゃべっていい?」
「自分ばかりしゃべってる!」
「人にも話を振らないと相手が退屈するよ。人の話を聞く力がある人は、みんなに好かれるよ」
「話す前に一呼吸おいてくれる?」
「みんな、いつもどんな話してるの?」
「否定されたら会話が終わるし、傷つくよ」
「相手の話の面白いところを広げたら会話が続いて楽しいよ」
「その話はドン引きだから、みんなの前でしない方がいいよ」
こんな感じで、TPOを踏まえた会話のキャッチボールをするよう教えています。

話したい相手が別の人と会話していると、遮ってしゃべり出す事もよくあります。

その時は「ちょっと待って。今この人と話してるから、終わったら聞くね」と、順番を守って話すことを教えます。

言う事を聞かない時は、冷静に対応する

感情的になって「ダメ!」「片付けなさい!」などと頭ごなしに注意するのは逆効果。子どもは命令されたくないので、反発して言う事を聞きません。

「こうした方がいいんじゃない?」「片付けなくて大丈夫?」「次に何するんだっけ?」と優しい口調で話しかけて考えさせると、スムーズに受け入れてくれます。

また、無茶苦茶な事をわめき散らして反抗する時は、あえて子どもの無茶苦茶に乗ってみます。
一旦落ち着かせて、話ができる状態に持っていくのです。

宿題が嫌で「学校で宿題なんか出た事ない」とウソで突っぱねて来たら、「へ~宿題のない学校なんて羨ましいね!」と共感して、話を膨らませてみましょう。嫌みったらしくしないのがポイントです。
自分の主張が受け入れられると、子どもは次第に頭が冷えてきます。
何を言ってもわめき散らす時は、距離をおいてしばらく様子をみます。

約束を守らない

ADHDの子どもは約束を守るのが苦手です。
守らせる方は骨が折れますが、諦めると子どもは「約束を守る事の大切さ」を学びません。

大人が一方的に押しつけた約束は守る気にならないので、子ども自身に約束事を決めさせます。

例えばゲームをする時間。
親が決めず、子どもがその日によって1時間、30分、2時間と決めさせます。自分で決めた時間は必ず守らせます。
「4時間!」と言い出した時は「それじゃ10時に寝る約束が守れないよ」と子どもを納得させて時間短縮させます。

約束の時間を忘れてしまうこともあるのでその時は「時間だよ」と声をかけます。それでもやめなかった場合、翌日はゲームをさせません。
この方法にしてから、息子はゲームの時間を守れるようになりました。

子どもが「いじめられた」と訴えてきた時は

息子は「何もしてないのに叩かれた。いじめられた」と訴えてくる事があります。
でもきちんと確かめると、初めに相手の嫌がる事を言って、ちょっかいをかけたのは息子の方でした。

ADHD脳の子どもは衝動的な面を持っているので、人の傷つく事を言ったり人に絡んだりしてしまう。相手が怒って手を出してくると「理由もなくいじめられた」と認識してしまうので、大人は双方の意見を聞いて総合的に状況を判断する必要があります。

子どもがいじめを訴えてきたら「辛かったね」と受け入れ、それから「相手の嫌な事を言ってない?何かしてない?」と問いかけ、考えさせるようにしています。
子どもの発言に問題があった場合「思いついた事がそのまま口に出るから、一呼吸おいてからしゃべったらいいよ」と対応策を伝えます。

しかし中には本当のいじめが隠れている場合もあります。
子どもの些細なSOSを見逃さず、慎重に対応する必要があります。

子どもの多動、抱え込まず周囲に頼って

ADHDこども接し方

専門機関に相談しよう

子どもが周りと違いすぎる。そんな不安を抱いたら、専門機関に相談するのが一番です。
放っておいても、親御さんや子ども自身の苦しみが長引くだけです。

どこに相談すればいいの?

子どもの発達相談は下記機関等で受け付けています。

近くにない場合は電話で相談できる事もあります。

  • 保健センター
  • 子育て支援センター
  • 児童相談所
  • 児童発達支援事業所
  • 発達障害者支援センター

専門家のアドバイスで生きやすくなる

医療機関を受診して発達検査や知能検査を受けると、子どもの特性に応じて適切なアドバイスがもらえます。

親子の関係性を見直したり、子どもに合った支援方法を知る事ができたり、親御さんも子どもも、精神的にとても楽になるでしょう。

子ども自身、周囲との関係等で悩んでいる場合が多く、その都度、専門家に「生き方」を教えてもらうことができます。

ただ、専門家の数が少なく、再診以降が半年待ちという事もよくあります。

薬を使う方法も

薬では多動やADHDを根治する事はできません。
治療するというより、症状を改善して生活しやすくする為に薬を使うことがあります。

主に使われる治療薬はストラテラやコンサータ等。
副作用があるので、必ず医師と相談して慎重に検討します。

幼稚園や学校に理解と協力を求める

多動な子どもは、突飛な行動を取ったりコミュニケーションに支障があったりするので、クラスメイトと衝突しがちです。

幼稚園や学校に事情を説明し、適切に対応してもらえるようにしましょう。

診断結果があれば提示。なくても先生に説明しておこう

幼稚園や学校の先生に診断結果を見てもらいながら子どもの特性を説明すると、今後の教育方針やサポートを具体的に相談する事ができます。

医療機関を受診してない場合でも、多動で落ち着きがない点や子どもの気になる点は先生に話しておきます。それによって、事前にトラブルを防げる時があります。

医療機関受診前、私自身も息子の多動を学校の担任の先生に説明していました。

すると先生は「多動で落ち着きがない」という特性に対して、息子の席を目が届く前方に設置し、いつでも指導できる形にして下さいました。

「カッとなってクラスメイトと喧嘩になる」という特性に対しては、息子や相手に「何故喧嘩になってしまうのか」「どうしたら喧嘩にならないのか」を考えさせた上で和解させ、指導に当たって下さいました。

また「人の話を聞かない。思いついた事をしゃべる」という特性で授業中ポンポン答えを口走るので、「他の人が考えてるから、すぐに答えを言ってはいけない。発言したい時は手を挙げよう」「他人の意見にも耳を傾けよう」と、先生は根気よく息子に教えて下さいました。

幼稚園や学校とこまめに連絡を取り合う

息子が問題児だったからかもしれませんが、学校で気になる事は、懇談会に限らず電話や面談でこまめに先生と連絡を取り合っていました。

だからこそ、息子は適切なサポートを受けて成長できたのだと思います。

子どもの学校生活は親の目に見えません。
気になる事や心配な事は積極的に先生に相談して頼ります。

ただ、子どもが学校の対人トラブルや自分の性格等を密かに悩んでいる場合もあります。
いじめ等で先生や親に言い出せない時もあるので、SOSを察知した時は子どもの心情に注意し、場合によっては子どものいないところで先生に相談した方が無難です。

ひとりで抱え込まないで。上手に周りの人に頼ろう

子どもの多動、ひとりで抱え込んでいませんか?

幼い子どもの多動は活発です。遊び相手になったり追いかけ回したりするだけでくたくた。毎日が大変です。

少し大きな子どもでも、精神的に幼くて学校生活がうまくいかなかったり、同級生のできる事ができなかったりして、焦りを感じる親御さんもいらっしゃるでしょう。

でも思いつめると、イライラしたり苦しくなったりして、精神的にまいってしまいます。子どもにきつく当たってしまう事もあります。

親の精神状態は、子どもの情緒や成長にも影響するので、上手に周りの人に頼ってひとりで抱え込まないようにしましょう。

信頼できる人に悩みを打ち明ける

多動な息子は、幼い頃に奇声を発してマンションの部屋を走り回り、階下の人に「うるさい。ちゃんとしつけろ」と何度も怒られました。

「人に迷惑をかけるから静かにしようね」と教えても教えても静かにする事ができず、どうにもならなくて辛い日々。
気が付いたら、息子を怒鳴りつけて黙らせる自分がいました。

これではいけないと、私は、発達相談に行ったり近所の先輩主婦さんに悩みを打ち明けたりしました。すると心のもやもやがすっきりし、アドバイスをもらう事もできました。

子どもが部屋で走り回るなら、静かにする事を根気よく教えるのも大切だけど「布団や座布団を敷いて防音対策をする」「子どもを早く寝かせる」事を教えてもらいました。

ぜひ、信頼できる人に話を聞いてもらいましょう。

近隣と交流を持つ

近所や地域の方と交流を持って、子どもの多動を伝えておくのはお勧め。

多動な子どもをつれて外出するのは大変ですが、近所の方にあいさつしたり子ども会等にどんどん参加すると、知り合いがたくさんできます。

子どもの特性を周りの人に知ってもらう事は、恥ずかしい事ではありません。

人に頼れる安心感があるので、むしろ親御さんの精神的な負担が軽くなります。

地域にもよりますが、ちゃんと話しておけば、子どもが一人で外を歩いていても周りの大人が気にかけてくれたりします。

息子の場合、幼い頃に一人で家を飛び出してしまっても、近所の方が声をかけて家に帰して下さいました。

また、小学五年生になっても自転車に乗れなかった息子。
「自分には無理だ。この歳で自転車の練習なんて馬鹿にされる。恥ずかしい」と諦める息子を説得して練習していると、隣家のおばあちゃんが「あと少しよ。今ちょっと乗れてたじゃないの」と、馬鹿にするどころか褒めてくれました。
息子はそれが嬉しかったらしく、毎日練習に励み、隣家のおばあちゃんの応援を受けて自転車に乗れるようになりました。

息子は今でも、そのおばあちゃんに感謝しています。

近隣と交流があると、子どもの特性を理解して子育てに協力してくれる場合があります。

一時保育に預けてみる

多動な子どもと一緒にいるのが大変でしんどい時、幼児なら一時保育に預けてリフレッシュするのも手です。

育児から解放されて、のんびり好きな事をしたり、ゆっくりショッピングしたり。
気分転換してストレス発散すると、また笑顔で子どもに接する事ができますよ。

心にゆとりを持つためには

ADHDこども接し方

前向きな心で子どもに接する

子どもが多動だと、「育て方が悪いんじゃないか」「しつけができてないんじゃないか」と悩んだり、周囲からもそういう目で見られて苦しくなる時があります。

でも、親御さんの育て方が悪いわけでも愛情が足りないわけでもありません。脳の仕組みが一般的な人と異なるだけなのです。

だから思いつめないで。
前向きに子どもの多動と共存していきましょう。

周りの子どもと比べない

親御さんはまず、周りの子どもと自分の子どもの比較をやめましょう。

比べると、子どものできない事やトラブルになりがちな面ばかり見えてきます。

「○○ちゃんはできるのに」という焦りやイライラから注意や叱責が増えてしまうので、叱られてばかりの子どもは「自分にはできない」「自分は駄目な人間だ」と思い込んでしまいます。

多動でも素晴らしい面はいっぱいあります。

ぜひ、子どものいいところを見つけて喜んで下さい。認めて、褒めて下さい。
ゆっくり話す時間を持つと、子どもの情緒が穏やかになる傾向があります。

親御さんは、子育てに対してのイライラが減るでしょう。

子どもの特性をプラスで捉える

子どものいいところ……見つけられてますか?

私の息子のいいところは、多動だけど活発で元気で体力があるところ。
人見知りがなく誰にでもあいさつできるところ。
また、一人でしゃべり続けてしまうけど、それができるほど頭の回転が早いところです。

子どもの特性をプラスで捉えると、たくさんいいところが見つかるはず。

だからといって、「多動で活発だから静かにできなくてもいい」わけではありません。
放置すると、将来子どもは静かにすべき場所で騒いでしまうなど、自分自身が恥をかいたり苦労する事になります。

ダメな事はわがままに屈せずしっかり教えます。

親子の信頼関係ができていれば、子どもは頭を打たれても起き上がります。
親御さんは子どもの成長する力を信じて見守る事が大切です。

イライラ! 感情的に子どもを怒ってしまいそうな時は

多動な子どもに頭を悩ませる日々。よくないと分かっていても、イライラして子どもを怒ってしまいそうになること、ありますよね。

そんな時、冷静になるためにはどうすればいいのでしょう。

子どもは親の真似をする、という事を肝に銘じる

多動であっても、子どもは親の行動をよく見ています。
親がイライラして感情的に子どもを怒っていると、子どもも感情的に怒る人間に成長してしまうんです。

体が大きくなると、力づくで子どもを抑えるのは難しくなります。
今以上に子どもに振り回されるなんて、困りませんか?

親御さん自身が感情的に怒らない努力をすれば、多動な子どもでも、ぐっとこらえて同じ努力をするようになります。

褒めてから怒る

カッとなって感情のまま怒ってしまいそうな時は深呼吸!
「子どものいいところをたくさん褒めてから怒る」ようにしてみてください。

すると、褒めている間に頭が冷静になっていきます。

それでもイライラする場合は

子どもに「言う事を聞いてほしい」「大人しくしてほしい」等、多くの事を求めるからイライラするんです。

まず、子どもに求める事をやめましょう。

「生きててくれるから嬉しい」
「子どもの笑顔が見られて幸せ」
「ごはんをちゃんと食べてくれるから助かる」
「多動で大変な子どもだけど、たくさんの事を教えてくれてありがとう」

今ある当たり前の事、大変な事にも感謝の心を持つだけで、自分のイライラはぐんと減ります。

適当がちょうどいい。

子どもや時間に追われて忙しいと、なかなか心にゆとりを持つ事ができません。
完璧を目指し、また真面目な性格の親御さんほど、精神的にまいってしまう傾向があります。

家事も育児も手を抜いて

多動な子どもは予定通りに動いてくれません。
子どもに手がかかる日は、簡単な食事にしたり掃除の手を抜いたりしてもいいんです。

逆に家事を頑張りたい時は子どもに好きなDVDを見せたりしてズボラするのが私流です。

気軽に対処法を実践してみる

この記事でも紹介したように、多動な子どもと向き合う方法はたくさんあります。
試してみても、親御さんの緊張やイライラは子どもに伝わるので、かえってうまくいかない事もあるかもしれません。

けれど、一つでもできればいいんです。

子どもが大変な状態になった時「こんな対処法があったな」と思い出して、気楽にまずは一つ実践してみて下さい。

そして一つできるようになったら、もう一つ。

こうしたささやかな対処法の積み重ねと親御さんの心のゆとりが、子どもの未来を作ります。

まとめ

ADHDこども接し方

前向きな心で適切にフォローする事で、子どもは挑戦する意欲を持ち「やればできる」という自信を培って活き活きしてきます。
また、自分の特性と折り合いをつける努力をするようになります。

親御さんの表情や感情に敏感なのは普通の子どもと同じですから、
心にゆとりをもって接すれば、子どもはのびのびと個性を伸ばしていく事が可能です。

多動な子どもと向き合う時は、特に冷静で穏やかに。そして前向きに。

心にゆとりを持てるようになり、きっと子育てに希望が見えてきますよ。

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