発達障害児が就学するときに、大きなプレッシャーを抱える親御さんは多いことでしょう。
子どもが学校で上手くやれるかどうかは、どんな親でも心配するものですが、発達障害児に場合、色々な角度からのケアが必要な分、保護者の抱える心配の種も多くなります。
学校との関わり方を不安に思っている親御さんは多いのではないでしょうか?
しかし、これらについて詳しく書いている本や資料を探してみると意外と少ないように筆者は感じています。
専門書には障害についてや、症状に関する情報はたくさん載っていますが、学校でどのような点に気をつけるべきかなどは載っていません。
私は、教育現場で勤めていた経験があります。
今回はそこでの経験から感じたことも含め、≪就学前の学校選びから学校との関わり方を【5つのコツ】≫としてまとめました。
これから就学されるお子さんを育てるの保護者の皆さんにはもちろん、現在学校との関わり方に悩んでいる親御さんにも役立つ内容になっています。
ぜひ参考にしてくださいね。
学校選びが上手くいくコツ
発達障害児にとって、どのような環境が最適かどうかはケースバイケースです。
保護者の皆さんも、どのような環境が子どもの成長にとって一番良いのか思い悩むことでしょう。
ここでは≪就学前の学校選びのコツ≫について、いくつかの観点からまとめていきます。
学校選びをはじめるタイミング
発達障害児を通わせる学校選びは、慎重に十分な時間をかけて行いたいものですよね。
まずは、地域にどんな就学先があるのかについて情報収集を行い、
- メリット
- デメリット
- 教育方針
- 教育環境
について理解していくことが必要です。
きちんと理解するためには、ある程度の時間が必要になります。
例えば、お子さんが就学する前年度から情報収集をスタートするとスケジュール的にあまり余裕がありません。
じゅうぶんな判断材料のないまま、就学先を選ぶのは避けたいものです。
事前に情報収集に時間をかけ、実際に学校見学に参加するなど、豊富な判断材料を元に就学先を決定するためには、お子さんが4歳になる頃から就学のための準備を始めると時間的に余裕が持てますよ。
就学先を決める際には納得できるまで家族で話し合い、社会のものさしではなく、お子さんの幸せを第一に考えて決断されることを切に願います。
学校選びの選択肢を知る
就学先には「小学校」と「特別支援学校」の2通りがあります。
通常、知的な遅れがない場合には小学校へ入学し、「通常学級」「通級指導教室」「特別支援学級」の3つのうちのいずれかの学級に在籍することになります。
知的な遅れがある場合には、小学校か特別支援学校のどちらかを選択する必要があります。
保護者にとって最も悩み、決断するには勇気と覚悟が必要になる選択ですよね。
間違った決断をしないよう、まずはしっかり情報収集を行い、多くの判断材料を準備することが大切です。
以下に、小学校と特別支援学校についてまとめています。
ぜひ参考にしてくださいね。
小学校
発達障害と診断されても、知的な遅れがない場合には小学校へ入学します。
知的な遅れがある場合には、小学校と特別支援学校のいずれかに入学することになります。
小学校へ入学した場合、いくつかの教育環境から選択することになります。
どの環境を選択するかは、入学前から小学校と保護者間で相談して決めていくのが一般的な流れです。
基本的には一斉授業によって学習が進められますが、教科によってはグループ学習や習熟度別に分けて授業が行われることもあります。
現在では通常学級の中でも、発達課題を持った子どもがたくさんいることが認識されており、サポートが必要な児童には、教師が特性に応じた援助を可能な限り行っています。
また、学習が困難な場合には支援員が配置されることもあります。
通級では通常学級で授業を受けながら、1週間のうちの数時間だけ通級で個別指導を受けるという形をとっています。
もし在籍校に通級がない場合には、その時間だけ他の学校の通級指導教室へ通うことになります。
通常学級よりも特性に合わせた個別指導が受けられ、各学級毎に担任の先生も配置されます。
日常的に通常学級との交流や、共同学習の機会も設けられており、ホームルームや学級活動などは通常学級で行うケースがほとんどです。
そのため、学校生活や交友関係が特別支援学級の中だけに限られることはありません。
現在は、小学校でも発達障害への理解が徐々に深まりつつあります。
特別支援教育が導入されて10年ほどになりますが、専門家を招いて研修を行い、教師全体へ適切な対応について共通理解をはかるなど、以前よりも支援体制が強化されてきたように感じます。
しかし、まだまだ手探り状態の部分が多く、特別支援教育に関しては学校や地域によっても温度差があるのが実状です。
お子さんの就学先を選ぶ際には、
- 小学校の学校開放日などを利用して学校見学に行く
- 実際に通っている発達障害の子どもを持つ保護者から話を聞く
など、事前の情報収集は欠かせません。
もし近隣の小学校に十分な教育環境がないと判断した場合には、公立小学校であっても地域外の学校を選択することも可能です。
詳しくは、最寄りの教育委員会に相談してみてください。
特別支援学校
特別支援学校は、知的な遅れがあり、視覚・聴覚・知的・肢体など障害の程度が重い子どもを対象とした特別支援教育を行っており、専門の教師がつくことで障害の程度に合わせた濃厚な教育を受けることができます。
また、身体と知的の障害や発達障害が合併している場合に対応しやすいのが特徴です。
小学校の通常学級との共同学習の時間が設けられることもあり、決して閉鎖的な環境ではありません。
初めは小学校を希望されていた保護者でも、見学後は特別支援学校への入学を希望するケースも増えています。
特別支援学級では専門家による教育相談を定期的に行うなど、発達障害に有効な指導法や情報が小学校に比べて比較的簡単に手に入ります。
また保護者同士で交流する機会も増え、様々な悩みを共有することもできるでしょう。
小学校と特別支援学校のどちらが良いかは、【ケースバイケース】です。
現在は特別支援学校出身という理由で将来、進学や就職に不利になるということはありません。
世間体ではなく、お子さんにとって、どの教育環境がベストなのかをよく見極めましょう。
入学前の学校と上手く関わるコツ
それでは、いよいよ本題です!
ここでは、入学前の学校との関わり方で大切だと感じる点をまとめました。
本記事では、小学校へ入学する場合を想定していますので、小学生以上のお子さんの場合は参考にならない点もあるかもしれませんが、一通り目を通していただけると幸いです。
子どもの説明書を作る
小学校に入学するということは、”全く新しい環境の中に飛び込んでいく”ということですよね。
恐らく、親子で最も不安な時期は「入学前の数か月間」でしょう。
しかし、不安になってばかりいても仕方がありません。
まずは入学前までにしなければならないことのリストを作成し、一つ一つ実行していくことで不安が期待へと変わっていきます。
リストの上位に書いていただきたいのが、「子どもの説明書を作る」という項目です。
「子どもの説明書」とは何かというと、簡単にいえば「お子さんの取り扱い書」のようなものです。
書く内容は、
- お子さんの行動の特徴
- 問題行動をとる原因(分かっている範囲で)
- 困った場合の対処法(現在行っている方法)
これらを1セットとし、それをいくつかの項目に分けて誰が読んでも分かる形に作成していきます。
- 書式は自由ですが、印刷する際はA4くらいの大きさの紙を使えば読みやすくなります。
- テンプレートやレイアウトなども特にありません。
- 手書きや箇条書きでも全く問題ありません。
大切なことは、お子さんのことを正しく伝えようという熱い思いです。
そうすれば、自然と書きたい項目が出てくるはずです。
子どもの説明書を作る理由はたくさんあります。
学校の先生は教え方のプロであっても、こちらが口で説明したことを全て覚えることはできませんよね。
多くの情報を正確にメモすることも至難の業です。
お子さんについて、本当に理解してもらいたい気持ちがあるのなら、こちらからも準備をする必要があります。
また、初めて子どもの説明書を作成する際には、面倒に感じるかもしれませんが、できる限り見やすく分かりやすい資料にしたいものです。
できれば早い段階で試しに一度作ってみてください。
可能であれば、完成したものを身近な人に読んでもらうと良いでしょう!
しっかり伝わるようであればOKです。
色々質問される場合には、同じように疑問に感じる人もいるはずです。
その点を修正すれば、より分かりやすい説明書に仕上げることができます。
さらに子どもの説明書は就学前だけに作成するのではなく、少なくとも年に一度バージョンアップするつもりで更新していくと、成長の記録としても有効に活用できます。
新学年になる度に担任の先生に渡しておくと、前年度からの引継ぎもスムーズになりますよ!
入学式前に学校と打ち合わせをする
進学先が決まったら、入学式の前に必ず学校と打ち合わせを行います。
初めて正式な場所で学校と接触する際には緊張するかもしれませんが、なにも恐れる必要はありません。
学校側も新たに入学してくる児童の情報は、どんなことでも知りたいと思っています!
まずはお互いが歩みより、お子さんに関する共通理解を深めていくための信頼関係作りから始めましょう。
打ち合わせの段取りは学校側が積極的に動いてくれる場合もありますが、残念ながらそうでない場合も多くあります。
基本的には保護者側から積極的に段取りを立て、学校にスケジュールの提案をするくらいの気持ちでいたほうが良いかもしれません。
また、打ち合わせ時の最初の窓口は特別支援コーディネーター(教頭先生が担当することが多い)になります。
新年度の体制がある程度決まっている場合には、校長先生はもちろん、担当学年となる教師の代表も同席することになります。
最初の打ち合わせではまず、学校側から保護者にお子さんについての説明を求められると思いますので、そこで事前に作成しておいた「子どもの説明書」を使用してください。
必要枚数は学校でコピーしてもらえるので、コピー用の原本とご自分用の資料だけ準備しておけば大丈夫です。
さらに指導についての注意点や要望、教育環境などについても質問されると思います。
ある程度の考えをまとめておくと、打ち合わせもスムーズにすすみます!
通級学級と特別支援学級を選ぶ方法
小学校に進学する際には、通常学級」「通級指導教室」「特別支援学級」の3通りの教育環境から1つを選択する必要があります。
それぞれのメリット・デメリットを以下にまとめましたので、教育環境を検討する際にはぜひ参考にしてみてください。
デメリットは、一斉授業による指導がメインなため、きめ細やかな個別指導は期待できないという点。
また、集団で動くため動作性のスピードが求められます。
人の話を最後まで聞けない、素早い動きや急な予定変更が苦手な子どもたちは孤立し、取り残された状態になりがちです。
この点をカバーできるサポート体制を学級の中に作ることができれば、さほど不自由を感じずに済みますが、担任教師の力量が問われる部分でもあり、やってみなければ上手くいくかどうかの判断しにくい点がデメリットと言えます。
一斉授業ではなかなか自分を表現できない子どもも、個別に学習するとイキイキとした学習活動を行うようになります。
デメリットは、週に数時間、別教室で学習するため、その時間の通常学級の様子が分からない点。
自分が受けていない授業の話を友人と共有することができないため、孤立感を感じるケースもあるようです。
また担任の教師が、通級でその子がどのような学習に取り組んでいるかを把握できないケースも増えています。
それにより担任との会話がかみあわなくなる場合や、様々な誤解が生じる要因になることもあります。
さらに在籍する学校に通級がない場合には、他の学校に移動しなければならないなど、子どもにかかる負担が多くなる点もデメリットと言えます。
一斉授業ではなかなか力を発揮できない子も、少人数学級ではイキイキと輝いていることがよくあります。
また、学習の習熟度に合わせて柔軟に対応できるため、よりきめ細やかな指導が受けられるのが特徴です。
デメリットは、少人数のクラス編成であるため、担任教師や同じ学級に在籍している子どもと上手くいかなければ、落ち着いた学校生活が過ごせなくなる点。
担任の先生と保護者との関りも密になりますので、一度信頼関係が崩れると学校と家庭との連携がスムーズにいかなくなりがちな点もデメリットと言えます。
入学後の学校と上手く関わるコツ
いざ小学校へ入学しても、次は「学校からいつ電話がかかってくるか」と心配になる親御さんもいらっしゃるかもしれませんね
子どもが慣れない環境の中で上手くやれるかどうか、気がかりなのはどんな親でも同じです。
特に、発達障害児を育てる保護者は「子どもが問題を起こした時のために、学校と上手くやっていかなければならない!」という思いが強いのではないかと思います。
ここでは、学校と上手く関わっていくためのコツをまとめました。
はじめに先生に伝えておくこと
小学校に入学後、担任の先生と話をする機会があれば、次のことを伝えておくと良いですよ。
まずは、お子さんの診断名がすでに分かっている場合には、本人にそのことを伝えないように配慮してもらうことです。
なぜかと言うと、別に悪気はなくとも「あなたは○○の障害があるから、仕方ない」というような発言をされてしまう可能性があるからです。
もしもそれを周りの子どもが聞いていたらどうなるでしょうか。
考えただけでもつらくなりますよね。
すでに本人への告知が済んでいる場合は別ですが、そうでなければ、「本人告知は医師と相談しながら慎重に行いたい」と伝えれば問題ありません。
また最近の先生たちの中には、発達障害に理解を示し、積極的に研修を受けたり教員免許の取得・更新の過程で勉強する機会を持つ先生たちも増えています。
それは喜ばしいことですが、中には「ADHDと診断されているのだから、授業中にじっとできずに歩き回るはず」という固定観念の強い人もいらっしゃいます。
ADHDの大枠の特性としては正しいのですが、本に書かれている特性が全ての子どもにそのまま当てはまるとは限りません。
勉強熱心な先生ほどこのような思い込みをしやすい傾向があるようです。
そのため、担任の先生が決まったら、お子さんの特性についての共通理解をはかるためにも、本記事で度々ご紹介している「子どもの説明書」を事前に渡しておくことが必要です。
お子さんのことを一番理解している保護者が作成した「子どもの説明書」は、先生にとって書籍やネットからの情報よりも、はるかに価値のあるものになります。
先生にどこまでお願いして良いのか
学校の先生にどこまでお願いするべきなのかは難しい問題です。
これに関しては全てケースバイケースで「こうしたほうが良い」というマニュアルはないように感じています。
よくありがちなのは、最初ははりきって先生に色々お話したものの、「学校に任せてください」または「私のやり方がありますので」というような対応をされてしまったというケースです。
そう言われてしまうと、保護者としては何も言えなくなってしまいますよね。
それでも問題が無ければ良いのですが、上手くいかなくなる可能性もあります。
もしそう感じた時には、連絡帳などに一言「家庭ではこうすると上手くいきます」といった一文を添えて、先生の参考になるような情報をさりげなく提供すると良いですよ。
本当に困っている場合には、先生から何らかの反応があるはずですので、それ以上は踏み込まないようにしておいたほうが良いでしょう。
また、学校の先生は、一人で多くの子どもを抱えています。
たとえ先生に協力的な姿勢があったとしても、学校現場で先生ができる支援には限界があります。
こちらが理想とする支援全てに対応することは、不可能であることを最初から肝に命じておきましょう。
何かお願いしたいことがあれば、学校側が無理なく対応できる支援範囲はどこまでなのか、お願いをする前に家庭でやっておけることは何かなどについても考えておくことが大切です。
困ったことがある場合どこに相談するのか
学校で困ったことがある場合、どこを最初の窓口にするべきか迷ってしまうこともあることでしょう。
相談内容にもよりますが、相談相手は基本的に担任の先生だと考えておけば良いですよ。
困ったことがある場合やお願いがある場合には、まず担任の先生に相談しましょう!
相談内容によって担任が管理職や、各教師にかけあうなど必要な対応を行います。
ただし、いきなり校長先生や教頭先生などの管理職に相談すると、事態が大きくなりがちです。
あまり緊急性がなく、デリケートな内容の場合には、まずは担任や養護教諭など相談しやすい先生を窓口にすることをおすすめします。
また校長先生は出張も多く、常に学校にいるとは限らないため、担任の先生を通して相談する日時を設定するとスムーズにすすみますよ。
ほとんどの場合、教頭先生が兼任していますが他の教師が担当している場合もあります。
特別支援コーディネーターは特別支援教育全般の調整を行います。
例えば、支援学級の学級編成や支援員が必要な場合には、教育委員会に申請を行うのも特別支援コーディネーターの役割です。
入学前の打ち合わせなどで、ある程度面識がある場合には直接相談することも可能ですが、あまり面識がない場合には、担任の先生を通して相談する機会を作ると良いでしょう。
スクールカウンセラーは、一ヶ月に数日各学校を訪問し、希望者や気になる子どもや保護者の相談に乗ったり話を聞いたりしています。
希望する場合には担任の先生に伝えるか、養護教諭が窓口になっている場合が多いので、直接お願いすれば日程を調整してもらえます。
スクールカウンセラーが来校する日時は学校で配布される「ほけんだより(通信)」などで確認できます。
分からない場合には学校に問い合わせてみてくださいね。
学校へ上手に要望するコツ
小学校へ入学してみると、
- 想像していた以上に大変だった
- 思っていた以上に子どもがついていけていない
- 学習に全く取り組めない
など入学後にしか分からないことが次々に出てきます。
その都度、調整していくことができれば良いのですが、家庭だけでは対応できないこともたくさんありますよね。
「先生にもう少しサポートしてもらえたら……」「宿題の内容を考慮してもらえたら……」といった要望を持つ親御さんも多いことでしょう。
ここでは、どうすれば学校へ上手に要望することができるのかについてまとめています。
要望のみを押しつけない
当然のことですが、保護者から要望だけをまくしたてられると、言われたほうは驚いて引いてしまいます。
さらに通常学級の教師は、一クラスに30名前後の子どもたちを相手にしなければなりません。
放課後も授業の準備や事務処理に追われており、先生たちは一日中、休む暇もなく追い立てられるように働いている状態です。
上手な要望のコツとは、まずは【学校の先生の立場に立ってみること】です。
そうすれば、無理なお願いと実現できそうなお願いの区別がつきやすくなります。
これは決して、要望をしてはいけないと言っているわけではありません。
必要なことは遠慮せずに伝えるべきです。
ただし「一方的な要求になっていないか」「無理な要求をしていないか」は事前に一度は考えておくべきです。
保護者と教師が上手く連携をとって子どもの教育を見守るには、お互いにそのような心遣いが必要です。
学校の方針も理解する
お子さんが通常学級または特別支援学級どちらの学級に在籍したとしても、学校では一年間の見通しを持った指導計画を立てています。
また、担任の先生は独自に学級経営プランを立て、毎日の指導にあたっています。
当然計画通りにいかないことも出てきますが、その都度調整し、必要であれば職員間で会議を重ね、試行錯誤を繰り返しながら学校教育に取り組んでいます。
しかし、それが親御さんの希望通りでない場合や、お子さんにとって効果が感じられない場合には不安に思われるのも当然です。
もしも学校に対して要望があれば遠慮せずに伝えてください。
ただし、学校の教育方針をはじめから理解しようとしなかったり、聞く耳を持たない姿勢でいたりすることはやめましょう。
学校の方針と保護者の方針が異なる場合には、歩み寄りの姿勢を持って、両者の考えをすり合わせていく必要があります。
時間はかかりますが、なぜそのような要望があるのかを具体的に説明すれば学校側もそれに対する最善策を提案してくれるはずです。
必ずしも全てが希望通りにはいかないかも知れませんが、少しずつ前進していくつもりでいれば、心に余裕も持てるでしょう。
焦って強引な姿勢を貫いても良いことはありません。
家庭でできることをやらないのは絶対NG
例えば「学校から出された宿題ができない」という状況が続いたとします。
その場合には、まずはなぜ出来ないのかを考え、次のことを判断する必要があります。
- 宿題の内容が難しくて出来ないのか
- 一人で机に向かうのが難しいから出来ないのか
- 単にさぼっているだけなのか
宿題の内容がお子さんにとって難しすぎる場合には、学校の先生に別課題をお願いすることは無理な要望ではありません。
理由としては、発達障害児は漢字の学習を1ページするだけでも何時間もかかってしまうこともあるからです。
そのような場合には、漢字をなぞって練習する課題に変更してもらったり、ページ数を減らしてもらったりすることは必要な要望です。
しかし、机に向かうのが難しい、単にさぼっているだけの場合には、家庭で出来ることはまだ他にもあります。
💡机に向かうのが難しければ、まずは机に座るというトレーニングから行います。
「机に向かう」ということができるようになってきたら、次は「ノートを開く」「本を読む」などどんどんレベルを上げていきましょう!
幼いうちからこのトレーニングを行うと、その後の習慣として定着させることができます。
出来たら1ポイントで50ポイント溜まったら好きなものを買ってもらえるなどのポイント制も有効です。
また、単にさぼっている場合には、まずは家庭で指導するべきです。
💡「宿題をしなければ好きなことができない」といったルールを決めると効果的。
このように学校でできることと、家庭でできることをしっかり分担し、学校に全てをお願いしない姿勢が必要です。
学校に何かを要望する際には、家庭で出来ることは全てしている事を伝えれば説得力も増しますし、「忙しいからできない」のは学校も同じです。
「学校まかせで子どもの教育を丸投げしている」と学校から思われても心外ですので、ご家庭でできることは学校にお願いしないようにしておきましょう。
ただし、何度か家庭でも取り組んだ結果、できない場合には学校に協力してもらうことは可能です。
このような場合のマニュアルはなく、学校の対応もケースバイケースなため、臨機応変に学校と連携をとって対応していくと良いでしょう。
緊急時以外は時間帯を無視した相談はしない
一般常識として余程の緊急事態でもない限り、深夜遅くに電話をかけたりはしませんよね。
連絡の相手が教師の場合でも、もちろん同じです。
しかし、中には時間帯を気にせず電話をかける保護者がいるのも事実です。
現代は携帯電話という便利なものがあるため、熱心な教師ほどどんな電話にも対応しています。
しかし、これは正しいことでしょうか?
教師にも家庭があり、プライベートがあります。
あえて言うことでもないとは思いますが、時間帯を考えずに連絡を取り合うのは、たとえ気心が知れていたとしても避けておきましょう。
そのほうが長期に渡って良い関係性を保つことができます。
学校での子どもの様子を知る
学校での子どもの様子はなかなか把握しにくいものです。
担任の先生に「どんなささいなことでも教えてください」とお願いしていたとしても、困った状況にでもならない限り、教師には日常のささいな出来事を保護者に連絡している余裕はありません。
では、どうすればお子さんの学校での様子を知ることができるのでしょう?
方法は【3つ】あります。
💡1つ目は、実際にお子さんから学校の話を聞くこと。
ご家庭での会話はお子さんとのコミュニケーションにもなるので、一石二鳥の方法です。
💡2つ目は、学校開放日や授業参観、または学校の行事には必ず参加すること。
学級の子どもたちと触れ合う機会があれば、こちらが特に頼まなくてもお子さんの普段の様子を教えてくれることもあります。
担任の先生と直接話ができる機会も作りやすいので、可能な限り、学校行事には参加するようにしましょう。
💡3つ目は、「委員」「役員」は断らないこと。
これには2つの意味があります。
1つは何か役を持てば、学校に行く機会を増やす口実になります。
係の仕事で学校へ行ったついでにチラッと教室を覗きに行けば、普段のお子さんの姿を抜き打ちでチェックすることもできます。
もう1つは、普段から我が子に手をかけてもらっている学校への恩返しです。
ただこれは決して、「学校に感謝してください」と言っているのではありません。
学校は教育活動に尽力するのが仕事です。
しかし、サポートしてもらうのが「当然のこと」と思ってしまうと、お互いに良い関係性は築けないでしょう。
ギブ&テイクという言葉は適切ではないかもしれませんが、「いつも学校活動に協力してくれている」と学校からも感謝されるのは良い関係作りの一歩にもなるはずです。
特に手がかかる低学年の時期に、PTA活動などに積極的に参加すると、お子さんに関する情報も自然と耳に入りやすくなります。
仕事を持っている親御さんが頻繁に学校に通うことは難しいかもしれませんが、学校活動には可能な限り参加されることをおすすめします。
学校と上手く関わっていくコツ
ここではこれまで書いてきたことを踏まえて、学校とうまく関わっていくコツを【3つ】にまとめました。
次の3つを意識すれば、たとえ問題が発生しても学校と上手く関わっていくことができるはず。
ぜひ最後に読んでみてください。
常に歩み寄りの姿勢でいる
学校と上手く関わっていくには、常に歩みよりの姿勢でいることが不可欠です。
学校の教育方針に理解を示し、学校側との考えと相違があれば何度も話し合いを重ね、すり合わせを行っていきましょう!
また、学校の支援体制にも限界があることを理解し、家庭と学校で分担できることを共通認識しながら実行していくことも大切です。
情報は定期的に共有する
発達障害児の特性は、一人一人異なります。
診断名が出ていても、全ての子どもに本に書いてある通りの特性が出るとは限りません。
さらにいくつかの障害を合併している場合には、現れる特性も気になる困りごとも複雑化します。
本に書いてないことばかりであれば、熱心な教師であっても適切な対応をとることが出来ません。
そうならないためにも、お子さんの情報は定期的に学校と共有することが大切です!
新年度に加えて、少なくとも学期に一度は新たな情報の提供を行いましょう。
内容は「子どもの説明書」に新たな情報を加えたものでかまいません。
できれば保護者しか知らないようなお子さんの特性や困りごと、効果的な対処法をまとめておくと大変喜ばれます。
学校と上手く連携をとる
学校と上手く関わるとは、「伝えるべきことは伝え、学校と家庭の連携を深めていくこと」とも言えます。
双方が上手に連携していくには、お互いの考えを共有し、同じ方向に向かってお子さんをサポートし続けていくことです。
お子さんにとって「どんな教育環境がベストなのか」「どんなサポートが必要なのか」を双方がよく理解し、家庭と学校で分担して、支援体制を整えていくことが大切です。
その際には本記事で紹介した方法もぜひ試してみてください。
まとめ
今回は【学校と上手く関わるためのコツ】について、具体的な方法を交えてご紹介しました!
現在、就学前後のお子さんを育てる親御さんには、すぐに実践していただける内容も含まれていたと思います。
もしかすると学校に関して、ほとんど情報がない場合には「難しそう」「面倒くさそう」と感じた親御さんもいらっしゃるかもしれません。
確かに一度に沢山のことを始めようとすると疲れてしまいますよね。
無理をする必要はありません!
まずは、できそうなものから一歩一歩ゆっくり進めていくつもりで試してみてくださいね。
コメント