子どもがADHDと診断された!親が取るべき基本的な対応から具体的な【3つの対処】

ADHD

子どもが発達障害の一つであるADHDと診断された保護者は、

「なぜそうなったのか」

「これからどうすればいいのか」

と困惑し、不安と焦りを抱えていることでしょう。

子どもが問題行動を起こすと親のしつけが悪いと攻める人もいますし、実際毎日のように子どもの態度や行動に振り回されて、先行きに不安を覚えることもあるでしょう。

しかしADHDの原因はハッキリとは分かっていませんが、脳内の発達の偏りなどの生まれついた性質であって、しつけや育て方が原因ではありません。

自分を責めたり、過度にストレスを抱える必要はないのです。

問題や特徴が表れることにより、診断がされるため、悪い印象を受けがちなADHDですが、一方で創造性が豊かだったり興味のあることは集中してやり遂げるなどの良い面もあります。

まずは、専門の機関や医師による正しい対処法を知り、子どもに合った具体策を一緒に学ぶことが大切です。

ADHDとは?

ADHDADHDは日本では注意欠陥(注意欠如)・多動性障害と訳されています。

一般的に多動がピックアップされることが多く、落ち着きがなくジッとしていられない子というイメージが強いです。

しかし、ADHDは「多動性」「衝動性」「不注意」と主に3つの特徴に分かれていて、その症状や特徴の程度は個人差が大きい上に、場所や状況によっても表れ方が違うことがあり、様々な「困りごと」を引き起こします。

発達障害による症状や特徴を個性ととらえ、あえて手助けしなくてもいいのではという考えの方もいるかもしれません。
本人も周囲も困らず、不便なく暮らしていけるのなら確かに治療は必要ないでしょう。

しかし問題のある症状をそのままにして、子どもにありがちな落ち着きの無さだろうとか、性格からくる失敗だろうと片付けているうちに、失敗を重ねて自尊感情が低くなっていったり、周囲になじめず孤立したりいじめにあったりするようになります。

症状や特徴によっては、周りの人間だけでなく、本人ですらADHDに気付かぬまま、息苦しさの中成長する子もいます。

困った症状を改善できずにストレスを抱え続け、大人になってから「うつ病」「依存症」に苦しんだり、「ひきこもり」になったりすることもあります。

まずはその特徴に気付き、解決への糸口を探り始めたということだけでも、子どもの未来へつながる良い道筋ができたと考えられるでしょう。

今現在、ADHDは根本的な治療方法は確立されておらず、完治することはほとんどないようです。
しかし、そのまま何も手を打たなければ、ADHDの特徴が大人になっても続き苦労をすることが多いでしょう。
そうなると本人はもちろん、家族など周囲も長年にわたって困った影響を受け続けることになります。
ADHDでは、ADHDの子どもは一生苦労し続けるのでしょうか?

 💡 もちろんそんなことはありません。

適切な治療をなるべく早期に開始することによって苦手部分がカバーされ、子ども本来の能力を活かし、自立することも十分可能になります。

子どもは皆、心身共に発展途上にあります。

ADHDの特徴を理解し、それに見合った対応を早め早めに取ることで、失敗を減らしたり周囲とのもめごとを避けられるようになります。

基本的な対応について

ADHD子どもをしっかりと見て、手をかけてあげるのは子育ての基本ですが、ADHDの子の場合、特徴をよく理解し適切な対応を取らないと、サポートが上手く働かない場合があります。

症状や特徴がどれ程のもので、子どもにどう影響しているのかは一人ひとり違います。
本人や周りがどのようなことでどれくらい困っているのかをしっかりと把握しましょう。

ADHDの子には行動力があり、好きなことに集中して取り組める良さがあります。
どんな小さなことや、くだらないことでも興味を持ったものをとことんやらせてみて下さい。

驚くほど集中し、コツコツと続けて行く力があります。

夢中になれるものが見つかったなら、褒めて伸ばしてあげて下さい。

そこから自信が広がり、何事にもチャレンジできるようになるでしょう。

反面、興味が無いとやらなければいけないことでも取り掛かれなかったり、続けることが難しかったりします。

「やろう」

「しなければ」

と思っていても気持ちの切り替えが上手くできないのがADHDの特徴なのです。

物事に対する向き不向きの差が激しいので、不向きなことを無理にやらせるのはADHDの子にとって相当なストレスになります。

必要だからといって嫌なことを無理矢理やらせるより、その子に合った声かけや指導法を学び、できることを少しずつ増やしていく方が良いでしょう。

自分の気持ちを分かってくれないという不満を抱えていることが多い

どうして問題行動を取るのか周りの人が理解できなくても、本人にはちゃんと理由があります。

子どもの人格は肯定した上で、問題行動自体は否定し、駄目なことは駄目だときちんと伝えましょう。

その後に根気強く子どもの話を聞き、行動のベースにどういった思いがあるのかを理解してあげましょう。

そして、「人は色々な意見を持っている」ということを教えておきましょう。

他人との関わりで思い通りにならなくても、
衝突しないように自分をコントロールできるようにしてあげることが大切です。

自分の行動を自分で抑制できるようになると、周囲の大人や友人に助けを求められるようになります。

それが出来ると、失敗した時にも自分で処理ができ、気楽にやり直すことが出来るようになります。

そのためには、子どもが自分の気持ちを相手に上手く伝えられる練習も必要になるでしょう。

将来の自立のために

ADHD色々なことを自分で選択し、自分のことを自分で決められるようにすることが必要です。

「自分は普通と違う、おかしいのでは・・・」

と成長していくにつれ、お子さん本人が悩む時がくるかもしれません。
その時は、特徴をしっかりと説明し、きちんと理解をさせてあげておいて下さい。
それが自分をコントロールする力になり、安定した精神状態につながるでしょう。

また、いずれ独り立ちできるように、問題を自分で解決出来るようにしてあげましょう。

ADHDの子には、本人にしか分からない苦労や悩みがあります。

それを自分なりに解消するためにやっていることにも、時間や手間がかかることがあります。

周りは特徴を理解して、待ってあげることも大切です。
ADHDの子は叱られることが多い上に、自分の価値を認めるのが不得意で、自己肯定感が低くなりがちです。

小さなことでも周囲に褒められて育つと、それが自信や頑張る力になり、ありのままの自分を大切に思う気持ちが芽生えるでしょう。

「良くなろう」

「良くしよう」

と、子どもも親も焦り過ぎるのは良くありません。

ADHDの子は、精神的に頑張っている時が多々ありますが、自分の疲れには気付きにくく、無意識にストレスを溜め込んでいきます。

疲れを抱えたまま生活すると、失敗が増え自信を失いがちですし、周囲と衝突しやすくなります。
焦らずに時には、休みながら治療を進めていくのが良いでしょう。

ADHDと診断された時に具体的にできること

病院・相談施設

ADHDまずは、診察で子どもがADHDの中でもどのタイプに当たるのか分類してもらいましょう。

ADHDは併存症といって、ADHD以外の問題も併せ持っていることが多いと言われています。

いずれも、子どもの症状や特徴をしっかり把握することが大切です。

発達障害専門の病院で治療を受ける場合は、主に

・「お薬による治療」

・「心理社会的療法」

という2つの対処法が取られます。

「心理社会的療法」とは、社会性やコミュニケーション能力を身に付ける訓練です。
「お薬」と組み合わせることによって、症状の改善により良い効果をもたらします。

その他にも支援機関などに相談し、適切なアドバイスを受けるのも良いでしょう。

詳くはは市区町村の相談窓口に問い合わせてみたり、インターネットを活用して調べてみましょう。

幼稚園・保育園、学校

ADHD幼稚園・保育園や学校には、ADHDによって起こるかもしれない問題や家庭で行っている対応の仕方を伝え、共通認識を持つようにしましょう。

なるべく幼稚園・保育園、学校のイベントや参観日に行き、自分の目で確かめた上で、先生にしっかりと様子を聞くことが大切です。

授業中や休み時間の子どもの様子、お友達とのコミュニケーションの取り方、本人が苦手としていることなどを詳しく知ることで、よりきめの細かい対応を取ることができます。

その上で、親と学校との立場の違いを理解し、必要以上に期待しすぎたり過度な対応は求めず、幼稚園・保育園や学校での出来事は、先生達に任せることも必要です。

家庭 ≪家族による理解と支援≫

ADHDADHDの子どもが落ち着いて暮らすためには、家族による理解と支援が必要です。

家族全員が特性を理解し、一貫性のある対応を取ることで、ADHDの子が安心して暮らせる環境ができます。

そのためにもまず、夫婦間で考え方や接し方を統一しておくと良いでしょう。

中には育児に無関心な父親もいるかもしれませんが、

子育ては母親だけの仕事ではありません。

夫婦で力を合わせてやっていくものです。

子育てを母親の仕事だと決め付け、子どもが起こす問題を、母親の育て方のせいにしないようにしましょう。

もしそれを理解しない父親がいるならば、一緒に主治医を訪れたり、学校の先生との話を一緒に聞いたりしてADHDの子についての理解を促しましょう。

また、兄弟がいる場合は年齢や性格に応じてADHDの特徴について説明をし、症状や特徴を理解をして貰いましょう。

手がかかる子がいると親の余裕が足りずに、兄弟にサポートを任せたり、何かと我慢させがちになります。

兄弟にも同じように手をかけてあげて不公平感を持たせないようにしましょう。

家庭 ≪育てにくく感じること≫

ADHDADHDの子は、精神年齢が実年齢の3分の2とも言われています。

無邪気で純粋な面もありますが、親にとっては年齢の割に幼く育てにくく感じることもあります。

他の子が自然と身に付けていく常識を我が子がいつまでも身に付けないことについて苛立つこともあるかもしれません。

それを悲しむのではなく「他の子たちとは過ごしやすい世界が違う」ということを認めることが大切です。

子ども自身、生き難さを感じて悩んでいます。

親がそれ以上に焦ったりイライラしたりすると子どもの拠り所が無くなり、ますます追いつめることになりかねません。

本人の希望や特性を無視して親の意見を押し通すと、自己を否定されたと思い心を閉ざしてしまうことがあります。

あくまで子どもを第一に考え、

「子育てはこうあるべきだ」

「良い子に育てなければ」

という思い込みは一旦置いて、親の理想や願望を押し付けないようにしましょう。

支障が出ない程度であれば親が子どもと離れて自由な時間を持つことや、支えてくれる友人・知人を作ることも良い気分転換になります。

それもADHDの子と上手く付き合うための自己管理の一環として割り切って、ストレスなどで共倒れにならないようにしましょう。

家庭 ≪根強い偏見≫

ADHD世の中には色々な人がいて、残念なことに障害に対する根強い偏見もあります。

子どもに発達障害があるといっても、それを皆に知らせる必要はありません。

親子の葛藤や頑張りに水を差されないように、誰に公表するかというのは慎重に行うべきです。

ただし、子どもが好ましくない行動を取った時に、頭ごなしに叱られないように特徴について簡潔に説明をしておくことは必要かもしれません。

当事者である子どもや主に支援する親にとってストレスにならないような状態を保つことが精神的な安定につながるでしょう。

まとめ

ADHD子どもに発達障害があるからといって、親が一生面倒を見なければならないということはありません。

他の子ども達と比べるとずっとゆっくりかもしれませんが、しっかりと成長していきます。

今苦手なことも、いずれ出来るようになったり、上手くかわせる様になったりします。

ADHDである自分とどう向き合って生きていくのかは、最終的には子ども自身が決めることです。

「子どもの人生は子どものもの」

という本質を忘れずに、自発的な成長を見守り、不得意な部分は目いっぱいサポートしてあげて下さい。

特徴がある子どもを抱えていると、感情が爆発して怒ってしまうこともあると思います。

そんな時は、落ち着いた後で良いので「なぜ怒っているのか」、「どうして欲しかったのか」など内容がきちんと伝わるように説明してあげて下さい。

子どもの気持ちを汲んであげるように、親の気持ちも伝えてあげましょう。

思い通りにならない子どもに腹が立ってどうしようもない日もあるでしょう。

疲れて子どもの相手をできない日もあるかもしれません。

しかし、親に愛されて認められているという気持ちを持つことが、子どもにとって最も精神的な安定をもたらすのです。

親は、側でずっと子どもを見守ってきた【一番の理解者】です。

たとえどんな困難があっても、決して子どものことを見捨てることなく、ずっと子どもの味方であり続けて下さい。

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