可能なら取得したい療育手帳!大きなメリットをご紹介

療育手帳

発達障害のある子どもを育てる親御さんの中には、療育手帳の存在を知っている親御さんもいらっしゃると思います。

療育手帳とは主に、知的障害のある子どもに自治体から発行される手帳のことで、取得すれば本人はもちろん、家族も様々なサポートを受けることができるものです。

ただ「手帳を取得すると障害者確定!二度と普通には戻れない!将来的に不利な立場に立たされる」…というような不安があり、申請・取得をためらう人も少なくありません。

実際に娘の療育手帳を取得した親の経験から、療育手帳が持つ大きなメリットと、そしてデメリットといわれているものはほぼゼロだ、ということをお伝えしたいと思います。

療育手帳とは

療育手帳療育手帳とは、都道府県知事や政令指定都市の市長が知的障害のある子どもに対して発行する手帳のことです。

取得すると手帳をもらった本人や、その介助者が行政や企業などから様々なサポート・サービスを受けられるようになります。

税金の控除や公共料金の割引、娯楽施設の入場料の免除や割引というサービスがよく知られていますね。

小中学校の就学に掛かる費用援助がある場合もあります。

療育手帳は一般的に、市町村の窓口(市役所の障害課など)に申請書を提出し、児童相談所や障害者相談センターで検査を受け、その後、基準をクリアしている場合に発行されます。

また、数年毎に再判定(更新)の手続きが必要で、一度取得しても更新(再発行)されるとは限らないという特徴があります。

なお「愛の手帳」「みどりの手帳」といった名称を使っている自治体もあり「サービスを受けるために提示したが療育手帳と解ってもらえず困った」というケースもあります。

一般的でない名称の手帳の場合は、手帳によって受けられるサービス内容が書かれた書類も一緒に持ち歩いていると安心です。

療育手帳発行の基準

児童相談所_判断療育手帳には発行基準があります。

手帳の発行元である児童相談所が検査を行い、その結果から発行について判断します。(検査結果によって、発行されない場合もあります)

また、手帳が発行される場合は「どの程度の障害か」手帳に記載されます。

発行の基準に利用されるのは「知能指数(IQ)」と「発達指数(DQ)」そして「身体の障害による要介助度合い」です。

療育手帳発行の基準基本的に児童相談所で実施された検査結果が手帳発行の基準になりますが、過去の発達検査の結果や発達診断の内容が参考資料として活用されることもあります。

検査で出される知能指数や発達指数の結果によって、軽度・中度・重度・最重度という等級に分けられます。

この等級によって、受けられるサービスの内容や程度が違ってきます。

  • 軽度(B2):発達指数・知能指数51~70
  • 中度(B1):発達指数・知能指数36~50
  • 重度(A2):発達指数・知能指数21~35または36~50で身体障害者手帳1、2、3級に該当
  • 最重度(A1):発達指数・知能指数20以下または21~35で身体障害者手帳1、2、3級に該当

※A1やB2といった表記の仕方は一例であり、発行する場所によって1度、2度など違う表記があります。また、この基準はあくまで目安です。

自治体によって基準にする数字が違っていることがありますし、例え発達指数・知能指数が80以上あっても日常的な介助(着替え・食事・排泄などのケア)が欠かせない場合は手帳が発行されるなど、ケースバイケースです。

さらに自閉スペクトラム症の子どもの場合はその症状の度合いによっては、発達指数・知能指数が高くても発行されることもあります。

発達検査の結果が70を超えているからムリだと自己判断せず、一度申請して検査を受けてみるといいですよ。

ちなみに私の娘は何度か受けた発達検査で70~75の結果が出ていましたが、軽度(B2)で手帳が発行されました。

迷っている場合は、とりあえず申請し、検査を受けてみることをお勧めします。

療育手帳の申請方法と注意事項

市役所療育手帳は都道府県知事や政令指定都市の市長が発行しますが、申請手続きは市町村で行います。

市役所などの障害課などで申請書を提出し、後日、児童相談所や障害者相談センターなどで検査を受けて判定を待つ、という流れになります。

📌申請方法と準備するもの、申請窓口で必要なもの

  1. まず、市役所など市町村の窓口に「療育手帳を申請したい」と電話しましょう。
    (担当する課を教えて貰えます)
  2. 担当している課がわかったら「必要な物」を確認しましょう。
    (自治体によって必要なものが異なることがあります)
  • 手帳交付申請書:窓口で貰って記入できます。
  • 本人の顔写真1枚:縦4cm、横3cm
  • 判子:シャチハタNG、朱肉を付けて押す認め印

顔写真この中で困るのが写真ではないでしょうか。

免許証のように、正面を向いた帽子などを身に付けていない、顔がはっきりわかる写真を準備しなくてはなりませんが、一人で写真に写ることができない子どもの場合は、親が子どもを抱っこして写したものでもOKなケースもあります。(その場合は事情を説明して、どのようなものが良いか確認してください)

市町村の窓口で申請書を出すと、1~2週間後に児童相談所から書面で連絡がきます。

その書面には、児童相談所に行って検査を受ける日時などが書かれています。

📌場合によって必要とされるもの

  • 過去の発達検査や知能検査の結果
  • 医師の診断書

診断書もし、こうしたものが必要と書かれていたら準備をしましょう。

私の娘は手帳の申請時、発達検査の結果は書面で持っていましたが、医師の診断書はなく、医師による診断を受けたこともありませんでした。

医師の診断なしでも申請・判定を受けることはできます。

手続き当日の流れ

検査当日は、指定された時間に児童相談所へ判定を受ける子どもと一緒に行きます。

私は下の子も一緒に連れて行きました。

※次のような流れで検査を受けます

  1. 検査担当者、親、子の3者で面接
  2. 検査担当者と子の2者だけで検査(親は別室で待っている)
  3. 医師と面談

待合室には絵本やオモチャが置かれており、親はスマホ、子は携帯ゲーム機でずっとゲームをしながら待っている親子も多かったです。

検査担当者と子の2者のみで検査を受ける時以外は、親と子&下の子が一緒に行動できたので良かったです。

上記3の『医師との面談』の時は、検査担当者、親、本人、妹が同じ部屋に入りました。

問診医師の質問に対し、本人はもちろん妹が答えたり、一緒に遊んだりして「妹が邪魔して正しく判定できないんじゃないか?」と親の私が不安になっていましたが、医師と話すことだけでなく、誰かとやりとりする様子や、遊ぶ姿も検査の一環だったようです。

そんなに堅い雰囲気ではなく、姉妹のケンカ風景や一緒に遊ぶ姿も受け入れてくれる、和やかな面談でした。

小さなお子さんがいる場合は、一応、児童相談所に確認しておくことをお勧めしますが、下の子が一緒でも検査は受けられますから心配ないですよ。

初めの申請の場合は一通り終わるまで大体2~3時間、長いと一日中児童相談所にいることもあります。

新しい環境や慣れない場所、長い移動時間が苦手な子には検査に行くまでが大きな負担になりますし、また、興奮しやすい子の場合も配慮が必要です。

できるだけ普段通りの状態で検査を受けられるよう、余裕を持って移動したり、休憩時間を設けたり、落ち着くことができるアイテムを持参するなど工夫してください。

注意事項

注意事項療育手帳は市町村の窓口で申請してから、実際に発行されるまで1~2か月かかります。

必要になった時にすぐ手に入るものではありません。

また、児童相談所や障害者相談センターといった行政機関が発行・検査を行うので、平日の開庁時間内でなければ検査を受けられません。

仕事をしている親御さんは予定が合わないことがありますので、申請には余裕を持つようにすると良いでしょう。

また、療育手帳は発行された後、定期的に更新が必要です。

この更新について児童相談所などから連絡は来ません。

更新したい場合は自分で手続きする必要がありますので、忘れて失効しないように注意しましょう。

また、手帳の発行には1~2か月掛かりますので、失効2か月前には必ず更新手続きをするようにしましょう。

手続きは、市町村の窓口で再判定申請書を出します。

なお、更新手続きをしても必ず発行されるとは限らず、発行されないこともあります。

グレーゾーン、ボーダー(障害の程度がB2)の場合はハラハラしますが、再発行されるのを待ちましょう。

発行されなかった時の対処法

発行されなかった時の対処法もし、療育手帳発行の基準を満たさない結果になった場合は「発行を諦める」「不服申し立てをする」「(一定期間、経過してから)再度、申請する」という3つの方法があります。

療育手帳が不要なら判定を受け入れて発行を諦めればいいのですが、どうしても手帳が欲しい場合は不服申し立てをしてもOKです。

ただし、不服申し立てをしても結果が覆ることはほとんど無いようです。

手帳が欲しい場合は再度、申請するのがお勧めです。

ちょっと辛いかもしれませんが、発達障害の子はひとつの技術を習得するまでに時間が掛かるケースがよくあります。

このため、年齢が上がるに従って発達に遅れのない子との差が広がる傾向が見られます。

半年から一年など、一定期間経ってから再び交付申請すると、結果が変わる可能性があります。

間を置いて再度、申請をしてみてください。

療育手帳のメリット:広がる進学先&就職先

進学療育手帳を取得すると、税金の控除、公共料金の減額、支援制度、鉄道会社の割引、娯楽施設の割引など、金銭面で数々の優遇措置を受けることができます。

これらの援助はとても助かりますね。

しかし、こうしたサービス以外で発達障害児の親として知っておきたいのが、進学先と就職先についてです。

まだまだ先、と思っている親御さんも多いかもしれませんが、発達障害を持つお子さんの高校や就職はどう考えますか?

療育手帳を持っている人が入学できる特別支援学校高等部や、手帳を持っている人向けの就労先(障害者枠での就労)があるのをご存じでしょうか?

特別支援学校高等部では、障害がある子どもが自立のためのスキルを身に付けたり、卒業後の進路や就職先について情報を得られたりできます。

就職についても、企業は障害者を雇用しなければならず(就労者の2%相当数)、労働環境も障害者に合わせたものにしなければなりません。

療育手帳を持っていると、障害者枠で採用してもらえるのです。

障害について理解がある上で採用されるのと、そうでないのでは働く環境に雲泥の差がありますよね。

また、配慮を受けられる点も嬉しいことです。

こうした進学・就職に関するメリットは本人が生きていく上で大きなメリットになると考えられませんか?

療育手帳のメリットについて私の娘は自閉スペクトラム症と診断されていて、療育手帳を持っています。

しかし手帳発行基準ギリギリ(発行されるか、されないかギリギリ)くらいで、更新はできるかわかりません。

もし、手帳を更新できなければ高校受験では、問題を読んで解く、小論文・作文、面接官と話すという様々な場面で言葉の理解というハンデを背負った状態で、普通の子達と勝負し、受験を勝ち抜かなければなりません。 

日々、努力を積み重ねていますがどれだけ努力しても「普通」に追いつかない部分があります。

こういう子の場合、手帳があれば選択肢が広がり、社会に出る希望が見えてきます。

療育手帳は自活するスキル・手段を身に付けるための進学や就業に対し、大きなメリット・希望を与えてくれるものといえます。

療育手帳のデメリットはゼロかも

生きていくため、自活のためのメリットを紹介しましたが、ではデメリットはなんでしょう? 

…娘が療育手帳を取得した親の立場からいいますと、今のところはデメリットゼロです。

療育手帳_提示そもそも手帳は提示しなければ持っていると解りませんし、提示したり、使用する回数もそれほど多くありません。

今は、受けている恩恵のほうが多く感じられます。

強いて挙げるなら「障害者としてレッテルを貼られ、差別を受けること」「将来的に、手帳を持っていることが不利になる可能性がある」という、漠然とした親の不安ではないでしょうか?

確かに不安はゼロではありません。

しかし、言葉にハンデを負う娘が手帳を持たず「障害者ではない!」と主張したとしたら…普通の子ども達と同じ土俵で勝負する状況や環境、そして負け続けることを思うと、その方がマイナスの影響が大きいと思えます。

親が抱く「障害者というレッテルが困る」という漠然とした不安より、手帳を持った時のメリットの方が大きいので、私は手帳を取得した方がいいと考えています。

まとめ

小学生都道府県知事や政令指定都市の市長が発行する療育手帳は、市町村の窓口で申請し、児童相談所で検査を受けて、知事に発行してもらいます。

発行基準は自治体によって異なりますが、発達指数・知的指数がおおよそ70以下なら発行してもらえる可能性があります。

また、指数が高くても総合的に判断して発行されることがありますので、発達に不安があるお子さんを持つ親御さんなら、申請してみる価値はあります。

手帳は障害者の烙印のように思え、デメリットが大きいと感じる人もいるかもしれません。

しかし、療育手帳を持っているからこそ、選ぶことができる進学先や就職先もあります。

子どもの選択肢を増やすことに繋がり、自立にも繋がっていきます。

手帳を持っているメリットを上手く使うことで、子どもの将来が変わることが十分考えられます。

金銭面の支援制度は当然有り難いものですが、子どもが社会の一員として生活していく環境を整えるためにも、療育手帳を取得してみてはいかがでしょうか。

【参考サイト】
千葉県HP
https://www.pref.chiba.lg.jp/shoufuku/techou/index.html#ryouiku

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/index.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html

コメント