今は自分や周りの人がそばについてあげられるけれど、発達障害の特性を持つ我が子が将来進学や就職で親元を離れたときに「ひとりでやっていけるのだろうか?」「自立できるだろうか?」と今から、とても不安に思いますよね。
そこで、発達障害児の将来の為に今からやっておきたいことをまとめました。
少しでも参考になりましたら幸いです。
周りの人とうまく付き合っていく為に
あなたが「もしかして、この子は発達障害なのかもしれない」と思うきっかけとして、
- 周りの子とうまくいかない
- いつも、周りの子とトラブルを起こしてしまう
ということはありませんでしたか?
実際、これらを周りから指摘されて発達障害に気付くケースがとても多いです。
人間関係がうまくいかなければ、どんなに学びたい学校に進学できたとしても、やりたい仕事につけていたとしても、楽しく長く続けることが難しくなってしまいます。
しかし、今から周りの人との関わりに気をつけてあげることで、改善できることがたくさんあります。
少しずつ取り組んでいきましょう。
子ども自身が自分自身のことをよく知り、家族もその子のことをよく知る
まずは、お子さんが自分自身のことをよく知る必要があります。
もちろん、親御さんも周りの人もその子の性格や特徴をよく知り、理解しておくことも大切です。
自分自身で「自分は忘れ物が多い」と自覚していれば、忘れ物を減らそうとしますし、「自分はついつい喋りすぎてしまって周りから嫌がられる」と自覚していれば、話すタイミングや話す内容に気をつけることもできますよね。
幼いうちはそれを認識することが難しいため、親御さんが気をつけて見ておいてあげましょう。
もしも周りに迷惑をかけたり、不快な思いをさせてしまったりしているときは、早めの対処が必要です。
迷惑をかけてしまった事実をしっかりと謝り、少しでも周りとの関係を悪くしないようにしましょう。
それは、「人に迷惑をかけてしまったら、しっかり謝るんだ」ということをお子さんが学ぶことにもつながります。
そして、あとから「わざとじゃなくても、こういうことをすると嫌がられるんだよ」ということをわかりやすく教えてあげましょう。
お子さんが話してわかる年齢でしたら、自分でうまくいかないことがある程度わかっているでしょうから、そのうまくいかないことは何が原因なのか、どうしていけば良いのかをしっかり話して認識させることが大切です。
発達障害のことを本人に打ち明けることに抵抗のある人も多いことでしょう。
しかし、意外と「だから自分は周りとトラブルが多いのか」 「だから忘れてしまうことが多いのか」等と本人の悩みの原因がわかってスッキリする場合もあります。
その子の性格によって傷つく可能性があるのなら、発達障害のことは明かさず、あくまで「持って生まれた特徴」だと話すと良いですよ。
お子さんとお話しするときは、出来ないことの否定ばかりではなく「色々なことに興味があるから、ついつい喋りたくなる気持ちはわかるよ」「嫌なことを言われたら悲しいよね」等、子どもの気持ちに寄り添いながら話してあげることが大切です。
しかし、「他のことに気が散ってなかなか話を聞いてくれない」ということもありますので、なるべく簡潔にわかりやすく伝えるようにしましょう。
人と話すときの練習をする
家族との日々の会話が、周りと話をするときの何よりの練習になります。
話すことはたくさんあると思いますが、会話のきっかけとして、お子さんの「好きなもの」「影響を受けているもの」を知るとさらに話しやすくなりますよ。
改めてお子さんの「好きなもの」「嫌いなもの」「得意なこと」「苦手なこと」は何だろうと考えてみてください。
どんな話をしているときにお子さんは喜びますか?
今、お気に入りのものは何でしょうか?
発達障害のことを知り、悩んでいる時は「そういえばあれも出来ない」「これも出来ない」と出来ないことに目が行きがちですが、お子さんの出来ること、好きなことに目を向けてみると「こんな良いところがあるんだ」「こんな得意なことがあるんだ」という新たな発見もあるかもしれません。
良いところは褒めてどんどん伸ばしてあげましょう。
お子さんが嫌がらなければ、お気に入りのものを共有することも良いですよ。
- 好きな本を子どもから借りて読んでみる
- 好きなテレビ、動画等を一緒に見てみる
それが漫画だってアニメだってかまいません。
自分の好きなものに親が興味を持ってくれると喜ぶことが多いです。
「自分の好きなものに興味を持ってくれる」=「自分に興味を持ってくれている」ということですから。
それがきっかけで話をする時間が増えたり、その話の流れで学校のこと、友達のこと、悩んでいること等をお子さんから話してくれたりすることもありますよ。
好きなことになるとかなりお喋りになるでしょうから、聞き続けることに疲れる時もあるかもしれませんが、相槌を打ちながらしっかりと聞いてあげることが大切です。
家事をしながらでも「うん、うん」「そうなんだね」と聞いてあげるだけでも喜んで話してくれます。
会話の中で気になることがあれば、話していることを否定しないように「ここはこういうふうに話すとみんなに伝わりやすいと思うよ」とさりげなく正してあげましょう。
「みんなにお話しするときは、まずそのことを知っているか聞いてから話そうね」「みんなも自分の好きなことをお話ししたいと思うから、お友達の話も良く聞いてあげようね」と、気をつけることを、お話しの合間に入れ、周りの人とうまくお話しをする練習をさせてあげてください。
喋ってばかりで何もやらないということであれば、「まずは、宿題を終わらせてから、またお話しようね」等と本人が納得できるように、お話しの聞き方を工夫していくことも必要です。
また、好きなものの中で、お子さんの発言や行動に影響を与えているものも発見できることがあります。
もしも、喜んで見ているものの中でお子さんに悪影響を与える内容のものがあれば「面白いと思う気持ちはわかるけど、このことで傷ついている人がいるね。そういう風にはなってほしくないな」とそれを反面教師にしてお話することもおすすめです。
その場合、頭ごなしに否定しないよう気をつけましょう。
子どもは興味が変わるのが早い為ついていくのは大変ですが、興味を持ってみると意外と面白いかもしれませんよ。
お子さんが親御さんのことを「良いお話し相手」「相談相手」だと思ってくれると嬉しいですよね。
色々な考え方、捉え方があることを教える
発達障害児は「何を考えているかわからない」と周りから言われることが多いですが、それは周りの人と「考えていることが違う」のではなく、周りの人と「捉え方が違う」から。
例
- A君とB君がケンカをしたとします。
- A君だけの言い分を聞けば、当然、B君のほうが圧倒的に悪いということになりますね。A君の友達に聞いても似たようなことを言うでしょう。
- でも、B君の言い分を聞けば違う事実が出てきますよね。周りで見ていた子はまた違うことを言うかもしれません。
上記のように、事実はひとつでもいくつもの違う捉え方が出てきますよね。
「変わっている」と言われることの多い発達障害児ですが、よく話を聞くと、実は本人にとってはその子なりの考えで行動していたり、自分なりの正義を貫いていたりと、意味のある行動であることが多いのです。
それを認めてあげた上で「こういうときはこうしたほうが良いよ」「こういうとき、みんなはこんな風に思っているんだよ」と、少しずつ教えてあげるとわかりやすい為おすすめです。
また、発達障害児は言葉の意味をそのまま受け取ってしまう傾向があるので、他の子なら笑って流せる冗談でも、本人は傷ついているということもあります。
その時もよく話を聞いて「それは本当にそう思っている訳じゃないんだよ」と冗談の意味から教えてあげると、少し気持ちが楽になるかもしれません。
冗談の線引きは正直、難しいのですが、慣れてくると笑って流せるようになっていきます。
周りに迷惑をかけてしまった時には、ただ叱るのではなく、まずはよく話を聞いて理解を示してから、悪いことは悪いとしっかりと教えてあげたほうが素直に聞いてくれることが多いですよ。
「自分はこう思っていたけど、周りの人は違うふうに思っていたんだ」ということ繰り返し話し合い、人の気持ちを考えて行動するということを学ばせていきましょう。
人と接しやすい「自分」を子どもに見つけさせる
人には必ず、良いところと悪いところがありますよね。
当然ながら、良いところを前面に出せば周りから好かれ、悪いところを前面に出せば嫌われやすい……、それは発達障害児だって同じです。
お子さんの性格、特徴の中で、周りの人から認められているところ、良いと思われているところを積極的に伸ばしていきましょう。
- 話をしていると面白い
- とても明るくて笑顔がいい
- ○○のことすごく詳しく知ってる
- 色々なことに興味がある
など、お子さんと接していると、色々な良いところに気が付くことでしょう。
良いところを表に出していき、嫌がられそうなところを抑えていくことで、周りとの関係が改善されていく可能性が増えていきます。
もちろん、急に性格を変えることは難しいですし、急に周りとの関係が改善される訳ではないので、時間のかかることではあるのですが、お子さんが将来出会う人と良い関係を築いていく為に、ちょっとずつ変えられるところから変えていくと良いですよ。
「子どもの性格や特徴を否定しているようでつらい」という思いもありますよね。
「個性を潰してしまうんじゃないか」という不安もわかります。
しかし、そう簡単に性格は変わりません。
お子さんの性格を否定するのではなく、「良いところを前面に出す」「外で人と接するときのキャラ作りをする」と考えてみてください。
まずは、お子さん本人に「今の、周りの人との関係をどうにかしたい。その為には、今の接し方では問題があるので、接するときの態度を変えていかなければならない」と認識してもらうことが大切です。
とはいえ、それをすぐに本人にわかってもらうのは難しいですよね。
お子さんの年齢にもよりますが、本人の困りごとをよく聞いて、そこから「人との接し方を変えたら、今の状況が良くなるかもしれない」と気付いてもらうことから始めると良いですよ。
本人が変えようと思うかと思わないかでは、改善のスピードが全く違いますので、お子さんの性格を否定しないように気付けて伝えていきましょう。
お子さんが幼いうちは、良いところを見せた時に「今の話し方、いいね」 「いつもニコニコしていていいね」と具体的に褒めてあげ、また、嫌がられそうなところを出したときも「今の言い方だと言われた人が嫌な気持ちになるんだよ」等、具体的に教えてあげましょう。
「みんなといる時は今みたいに話したほうが、みんな話を聞いてくれるんじゃないかな」と具体的に、繰り返し教えていくことが大切です。
年齢が上がれば、すでにお子さん自身がどうにかしたいと考えていることが多いでしょうから、その場合は「こういう良いところがあるから、学校ではその感じでいたほうが良いんじゃないかな」「嫌なことを言われた時は、すぐにカッとして言い返さずに流すことも必要だよ」「人に何か言う前にちょっと考えてみようか」等、その子に合わせた助言をしてあげましょう。
接し方を変える近道で、子どもにとってわかりやすい方法のひとつとして「周りで好かれている人の、良いところを真似する」というものがあります。
学校やクラスの中に誰にでも優しくて、みんなに好かれている人はいませんか?
まずは、お子さんが関わっている中で、そんな人がいないか聞いてみましょう。
その人の全部を真似するとなると難しいことですし、喋り方や態度を真似しすぎても、周りからも「どうした?」と思われてしまいますので、まずはひとつ、その人の良いところを真似してみましょう。
「人から話しかけられたとき、笑顔で答えている」 「人の話しを良く聞いて、ちゃんと相槌をうっている」「返事をしっかりとしている」など、ちょっとしたことでもかまいません。
ひとつでも真似していき、自分のものにしていく。
うまくいかなかったら、違う良いところを真似してみる。
その子によって合うもの、合わないものがあるでしょうから、色々試し、周りの反応を聞きながら「人と接しやすい自分」を見つけていきましょう。
「こんな感じでいると、嫌なことを言われなくなってきた」「外で人と接するときの自分は、こんな風にしていこう」とお子さん本人が見つけることが出来るように、時間をかけてお手伝いしてあげてください。
また、外で自分を抑えないといけない為この作業は非常に疲れるものですから、家の中では、素の自分を出させてあげてくださいね。
実際、先程の「学校でみんなに好かれている子」でも、親御さんに話を聞くと、「家ではわがままでどうしようもない」という意外な素顔もよく聞きます。
発達障害と関係なく、誰しも外での顔、家での顔は持っているものですよね。
「家では素の自分を出しても認めてもらえる」「リラックスして過ごせる」といった環境を家庭内に作ってあげることも大切なことです。
将来、社会生活を不自由なく送る為に
発達障害児が将来自立するうえで、親御さんが不安に感じていることに「時間を守れない」「忘れ物が多い」「片付けられない」「困った時、どうしたら良いかわからない」ということがあるのではないでしょうか。
お子さんが自分自身で気をつけて出来るようになるには、とても時間がかかります。
そして、道具を利用する等の工夫も必要です。
今から長い時間をかけて改善していくことを目指しましょう。
メモを取る習慣をつける
【時間を守ること】【忘れ物をしないこと】は社会生活をしていく中でとても大切なことです。
発達障害児は物事を整理することが苦手だということから、「明日何を持っていくか」「宿題や提出物はあったかな」「あれが見つからない」等、あれこれ考えたり、やったりしているうちに他に興味がいってしまって「すっかり忘れてしまった」ということはよくありませんか?
やらなければならないことをいっぺんに考えたら、大人だって混乱しますよね。
まずは順序立てて物事を行えるように一緒に優先順位を決めると良いですよ。
やることや持ち物を書くためのメモやノートを用意しましょう。
出来ればいつでも持ち歩けるように、(ポケットに入るようなサイズが良いですが、落としてしまう可能性もあるのでその点に注意して)”本人の生活、性格に合わせた、持ちやすいサイズのもの”を選びましょう。
メモやノートにやらなければならない事を思いつくだけ書いて、優先順位の高いもの、低いものにそれぞれ◎、○、△等、わかりやすいマークを書き、それを行うことが出来たら消していくという方法がわかりやすいためオススメですよ。
携帯電話のメモ機能を使っても良いですが、学校では携帯電話が使えないことが多いためメモやノートのほうが良いですね。
内容はわかりやすく、「○日○時に○○に行く」「○日学校に○○を持っていく」という具合に箇条書きにすると見やすくて良いですよ。
最初はメモを書くことすら忘れてしまうということも多いと思いますが、何度も繰り返していくことで忘れることを減らすことに役立ちます。
毎日やることはないか声かけをすることは意外と大変ですし、お子さんから嫌がられることもあるかもしれませんが、習慣化すれば時間や持ち物を忘れてしまうということを減らしていけますので、根気よく続けていきましょう。
大事なものの取り扱い方を決める
「学校からのプリントや集金袋をなかなか出さない」「探してみたらバッグに入れっぱなしになっていて、底のほうでグシャグシャになっていた」「提出期限が過ぎていた」ということはありませんか?
まだバッグに入れているなら良いほうで、「学校の机の中に入れっぱなしで、奥のほうでグシャグシャになっていた」ということも少なくありません。
学校生活のうちは先生や周りの人が教えてくれるかもしれませんが、社会に出ると自分で管理しなければならないですし、「会社の大切な書類をグシャグシャにして持っていた」「失くしてしまった」なんてことになると、信用も失ってしまいますね。
「どうして出さないの?」「どうしてちゃんと持ってこないの?」と思われるかもしれませんが、本人にとっては、プリントも集金袋も、自分には興味のないどうでも良いものだという場合があるのです。
しかし、それでは困りますよね。
クリアファイルを用意して、それにプリントを入れるようにしている小学校もありますので、それを毎日チェックするというのも手ですが、年齢が上になってくるとバッグの中を見られることを嫌がる子もいますので難しいところです。
そこで登場するのが「大事なもの袋」、こちらをぜひ用意してみてください。
ビニール、布等の丈夫な素材でバッグに入るサイズのもので、ジッパーつきのふたが閉められるもの(教科書の邪魔にならないような薄いもの)がオススメです。
100円ショップでも売っています。
その「大事なもの袋」の中に、下記のような学校からもらう書類を綺麗に入れて持って帰ってくるように親子で約束をしましょう。
- プリント
- 集金袋
- 帰ってきたテスト
- 連絡帳
- メモ
親はその「大事なもの袋」の中を確認すれば良いので、心配事が減ります。
さらに、子どもからしてみれば「学校からもらってきたものを、この袋に綺麗に入れる」ということだけを覚えれば良いので、本人にとっても負担が減り、楽になりますよ。
学校への提出物もその袋に入れるようにして、朝「今日は○○のプリントがあるから、先生に渡してね」と声をかけるようにすると、提出忘れも減らすことが出来ます。
これも習慣化するまでは時間かかりますが、続けることで提出忘れをかなり減らすことが出来ますのでオススメの方法です。
また、「もらったものをきれいに持って帰ってくる」ということを続けることで、物に対しての取り扱いを丁寧にするという練習にもなります。
「なかなか、片付けが出来ない」という発達障害児も多いため、家でも袋や箱を用意して「学校の物はこの箱に」「自分の大事なものはこの箱に」と簡単なルールを決めておくと、片付けがしやすくなりますよ。
ポイントは下記の2点。
- 出来るだけ覚えることや作業は単純に
- 袋や箱等の道具を利用してわかりやすく
自分で工夫して出来るようになれば、物が片付きやすくなりますよ。
人に助けを求められるようにする
お子さんがひとりでいるときに、困ったことが起こった時、誰かに助けを求めることはできますか?
困ったことが起こった時に「近くに親がいないと、どうしたら良いかわからず、結局困ったまま終わってしまった」ということもよくあることです。
親元を離れたときに、それでは心配で仕方ないですよね。
お子さんがひとりでは解決できない問題が起こってしまったときに、どうすれば良いのか、誰に相談すれば良いのかを、これからの学校生活を通して学んでいく必要があります。
まずは、親御さんとお子さん双方が信頼できる人を見つけましょう。
とはいっても「親子で信頼できる人って誰だろう」と考えてしまいますよね。
出来れば、お子さんの発達障害のことを理解して、相談できる人が望ましいです。
しかし、発達障害だということを他の人に話すのは、かなり勇気のいることですよね。
もちろん、話す人は慎重に選ぶ必要があります。
発達障害のことを知らない人の中には「それは出来ないことの甘えだ」<なんて言う人もいますし、ママ友に話したらいつの間にか学校で広まってしまった、なんてこともあります。 まずはお子さんが一番関わる、学校の担任の先生に相談してみましょう。
「ちょっとあの先生とは合わないな」「信頼できないな」という場合もあるかもしれませんが、担任の先生を無視して他の先生にいきなり相談してしまうと関係が悪化してしまいます。
お子さんのこれからの学校生活の為には、担任の先生の協力は不可欠ではないでしょうか。
まず最初に「発達障害のことを周りの子に伝えるか」について、しっかりと話し合う必要があります。
お子さんの発達障害の程度によっては、「周りの子が知っていてくれたほうがやりやすい」ということもありますし、伝えずに何とか改善していくという方法もあります。
お子さんがどうしていきたいかという思いも尊重しながら、これからの方向性をしっかりと決めて協力をお願いしましょう。
担任の先生だけでは不安なら、「他の先生にも協力をお願いしたいので、養護の先生、よく関わる先生等、複数の先生に伝えておきたいです」ということを担任の先生にお話しして、他の先生とお話しする機会を作ってもらいましょう。
お子さんには、「担任の○○先生と○○先生は知っているから、困ったことがあったら、こっそり相談してごらん」と教えてあげると安心できるでしょうし、困った時は信頼出来る人に相談するということを覚えることにもなります。
他にも、祖父母や兄弟等、お子さんのことを真剣に心配してくれる人に相談してみると良いですよ。
周りに相談できる人がいると、お子さんも親御さんも心強いですよね。
発達障害と付き合って行く為に-専門家の判断も必要-
「発達障害の疑いがあるかも」と思っていても、病院での受診には抵抗があるという親御さんも多いことでしょう。
「精神科の受診が周りに知られるかも」「薬を飲まなきゃならないんじゃないの?」「副作用は?」等、心配になって、なかなか受診することが出来ないというケースもあるかもしれませんね。
親御さんや周りの人が気をつけて改善出来ることもたくさんありますが、
- お子さんが本当に発達障害なのか
- どんな特性があるのか
- どうすれば改善できるのか
わからないこともたくさんありますよね?
自己判断だけでは限界がありますので、病院を受診することをおすすめします。
まず、受診歴が他人に知られることはありません。
数か月に1度加入している健康保険から「医療費のお知らせ」が届きますが、”親展”となっていますので、本人以外が開封することは出来ませんし、他人が受診の情報を調べることは出来ません。
「病院に入るところを誰かに見られたら」と心配でしたら、通うのは大変ですが、少し遠方の病院を選ぶのも手かもしれません。
薬についてはその子の状態によって薬を処方するかも変わってきますし、処方する場合は必ず親と相談して意見を尊重したうえで処方されます。
副作用についての説明もしっかりしてくれますので安心です。
「それでもやっぱり病院は……」という気持ちもわかります。
しかし、ここまでおすすめするのは、ちゃんとした理由があるからです。
まずは、「子どもの状態をきちんと知ることができる」ということです。
- お子さんは本当に発達障害なのか?
- 発達障害にもADHD、自閉症スペクトラム等、いくつかの種類があるが、そのどれに当てはまるのか?
- 重度なのか、軽度なのか?
- どんなことが苦手なのか?
など、色々なことがわかりますよ。
次に「改善策などのアドバイスがもらえる」こと。
専門の先生でしたら、具体的にどうすれば良いのか等、しっかりとしたアドバイスがもらえますよ。
薬を飲んだほうが良いかどうかも判断してお話ししてくれますので、薬に抵抗があるのなら、正直にそう伝えると良いですよ。
せっかく勇気を出して受診したのですから、心配なことは隠さずどんどん話しましょう。
最後に、何より受診する大きなメリットは「専門的なことを相談する相手ができる」こと。
これからのことを考えると、とても不安ですよね。
内容が内容なだけに「誰にでも話すわけにはいかない」「きっと理解してもらえない」といった不安や悩みを抱えているのではないでしょうか。
お子さんの状態を専門的な面から理解し、しっかりとしたアドバイスをもらえる存在というのは、これから、お子さんが発達障害と付き合って行くうえで、とても大きな存在となります。
学校の先生は卒業すると関わりがなくなってしまいますが、病院の先生はずっと関わっていく存在ですので、もし「この先生とは合わない」「子どもがあまり良い反応を示さない」等、違和感があった場合は思い切って病院を変えてしまうこともひとつの手です。
お子さんと親御さんがずっと付き合っていく、大切な存在なのですから。
信頼できる病院の先生の存在は、これからの生活の為にも、将来の為にも、親御さんの精神的にも支えになってくれますよ。
まとめ
お子さんがADHD等の発達障害かもしれないと思った時から、これからのこと、将来のこと等、心配で不安な気持ちになってしまっていることでしょう。
心配ごと、困りごとを改善する為には、とても長い時間がかかります。
その中で疲れてしまったり、なかなか改善が見られず焦ってしまったりすることもあると思います。
しかし、お子さんは少しずつですが、確実に成長しています。
発達障害の疑いに気付き、それを改善したいと思った時点で、良い方向に進み始めているのです。
それは間違いありません。
一緒にがんばっていきましょう。
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