【amazon評価】★★★★★★★★
中学校の通常学級や、通級指導学級などの教員をされていた森薫さんが書かれた本です。
不登校や引きこもりになってしまった子どもを「できない」という固定観念で捉えるのではなく、本人にしかない素晴らしい才能を持っているということに気づいてほしいという趣旨の内容です。
この本は発達障害という表現は直接的に扱わず、「スペシャルタレント気質」という言葉が使われています。森薫さんは教員生活をする中で、まじめで柔軟性に乏しく、学校生活に苦戦しやすい気質の子ども達の多くは、芸術やスポーツ分野など様々な特別な才能を持っている場合があることに気づかれたそうです。
そういった子ども達について尊敬を込めて、スペシャルタレントと名づけられました。
スペシャルタレントの子どもは五感に優れていると記載されているので、感覚過敏やハイリーセンシティブパーソンなどの概念と似たところがあるようにも思えます。
感じやすいからこそ学校生活で生じてしまう問題もありますが、そういった面もすべて含めてその子どもを受け止め、愛情で包んで肯定してあげることが大切なのだと再認識させてくれました。
不登校、引きこもりというタイトルがついていますが、感じやすい気質の子どもを持つ親であれば、心に響くものがあると思います。
特に印象的だった部分は、『第6章 お母さんはどうすればいいか』です。その答えは、「お母さんはイキイキしていればいい」という、実にシンプルなものでした。
自分が不登校になったからといって悩んで暗い顔をしているお母さんよりも、状況に過剰反応するのではなく、笑顔で普通に接してくれたほうが救われるというのは納得できます。
お母さんも自分の趣味や友達との時間を今まで通りに大切にして、その上で子ども自身に愛情をしっかりと伝え、自分の充実した人生もきちんと過ごしている姿を見せることが、子どものためにもなるのだと感じました。
親が心の準備をすることなく子どもが不登校になってしまうとオロオロして深刻に考えてしまうことが多いと思いますが、家族としてどうのように進んでいくかを心構えできる前向きな内容は、親子で明るい未来を迎えるための参考になるはずです。
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