【amazon評価】★★★★★★★★
発達障害の凸凹特性を持つ人たちは、得意なこともあるのとセットで生きづらさを抱えている人も少なくありません。
我が子も類まれな集中力や空間認識能力、図形認識能力、アイデアが絶え間なく湧いてくるなど、才能といえる特性をもっています。
その一方で、身辺自立能力が弱く(持ち物の管理・身なりを整える意識など)生活を送るうえで支障をきたしています。
作者の借金玉さんも片づけや物の管理がとにかく苦手で、鞄の中にあるはずなのに必要な物が行方不明になることも日常茶飯事。
学生のうちはどうにか帳尻を合わせていた困り事も、社会人になると「当たり前にできないといけないこと」が圧倒的に多く、生活は荒れ果ててギリギリのところで生きながらえていたようです。
「日本一意識が低い自己啓発書」とご本人が書くだけのことはあり、発達障害者の困り事を「普通」の人ができるレベルにするにはどう工夫をしたらいいか?が本書の主軸になっています。
社会で自活していくための武器になるような発達特性があっても、生活自体を成り立たせることが困難なら、その長所を活かすことができないのです。
これは発達障害当事者だからこその着眼点をもった、リアルに社会を生き抜くためのサバイバル本と言えるでしょう。
「できない」ことを大前提に全編が進んでいくのですが、筆者のユーモアあふれる文体がとても読みやすく、度胆を抜かれるアイデアも笑いながらストンと心に落ちるので不思議です。
「発達障害者あるある」を「そうだよね!」と笑いながら、乗り越える勇気ももらえる内容です。
また、学校の教育現場でも言われていることですが、発達障害をもつ人にとって「分かりやすい」仕組みというのは、その他の普通に過ごす健常者にとっても分かりやすい、整理された合理的な方法が多いとされます。
「日常生活って何だか難しいなぁ」と感じているすべての人にご覧いただきたい良著です。
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