お子さんがアスペルガー症候群と診断され、不安に思っている親御さんへ。
今回は、早期診断と病院で子どもに合った対処法を教えてもらうことの重要性を体験談とともに詳しく書きました。
娘の特性が気になりだした時期や学校の対応で困惑したこと、学校の手助けがなかったことから独自で考えた勉強法などを分かりやすくまとめています(学習が困難なお子さんにも分かりやすく負担にならないよう、勉強時間は10分~15分を目安にするとスムーズにいきやすいですよ)。
是非参考にしてみてくださいね。
症状がではじめた時期や特徴|3つのポイント
強いこだわりがある
発達障害児にはそれぞれマイルールがあり、自分が決めた法則や手順などがあってそれらが崩れることを嫌います。
📝例:
- お風呂に入る時に洗う順番がある
- 曜日によって持っていくバッグが決まっている
- 自分の物を他の人に触らせない
💡対処法:
- 親が出来るだけそれぞれのマイルールに合わせるようにすると、子どもがスムーズに行動出来るようになる
- 全てを合わせてあげられない場合は、下記を子どもに伝えてあげるとよい
- 「何故できないのか」を説明する
- 代わりの提案をする
匂いや音に敏感である
娘が話せるようになった頃から、料理をしている時に必ず「変な匂いがする」と言っていました。
玉ねぎを炒めるときなど料理中にでる匂いに敏感で鼻をつまむ癖があり、当時は何で気になるのか分からずにいましたが、毎日のことなので違う部屋で遊ばせるようして、出来るだけキッチンに近付けないようにしました。
娘の場合成長とともに薄れて今は大丈夫になっていますが、こういった特性を「感覚過敏」といい、発達障害児によく現れるものですので、お子さんの行動に注意して観察してみてくださいね。
文字に対して興味がない
他のお子さんは小学校に入る前にはひらがなを覚え始めますが、娘はひらがなを覚えようせず、当時は本当に困りました。
学校に行くようになってもひらがなを覚えていない為、私の教育が悪いと何度も注意されてしまうほどでした。
学校の国語の時間で朗読がありますが、ひらがなが読めない娘はみんなが朗読している部分を暗記して国語の時間を過ごしていたのです。
通常は繰り返し書くことで覚えていくようになる場合が多いものですが、娘は書く事が嫌いだった為フラッシュカードを作り、似ている「あとお」「ねとれ」など何度も繰り返し練習してひらがなを覚えました。
💡フラッシュカードの作り方と使い方
真っ白な紙を10×10㎝に切り、1枚ずつに「ひらがな」を書きます(用紙のサイズに決まりはありませんので、お子さんが見易いと感じる大きさに工夫してあげてくださいね)。
- コピー機やパソコンがご家庭にある場合、書き方の付いたひらがなを印刷して使うと書く時に教えやすいのでオススメ
- 手書きの場合は学校で習うひらがなを書いておくようにすることがオススメ(覚える時に間違って覚えてしまうとパニックになってしまう恐れがある為)
📌使い方
まずは「あいうえお順」にカードを使って覚えるように何回も繰り返し教えます。
この時、親御さんがカードを持って声に出して読んでいくようにすると、あいうえおの順番を覚えやすいですよ。
あいうえおの順番を覚えたら、カードをバラバラにしてまた繰り返し教えていきます。
ただ単に行うのではなく、ゲーム感覚で教えると退屈に感じることなく覚えも早いですよ。
我が家の場合、5問当たるとキャンディを渡す、というルールを決めていました。
全てのひらがなを覚えたら、カードを使って文字の組み合わせを行う勉強にも使えます。
例えば、2文字でできる単語を探す、それができたら3文字、4文字と増やしていくと、足りない文字が増えていく為、今後はその「足りない文字を見つける」ことにカードを使っていけるのです。
ひらがなを覚える事が出来たのでカタカナはスムーズにいけましたが、漢字でまた苦戦しました。
漢字ではフラッシュカードは使用せず、成り立ちを説明したり、ドリルに書いてある漢字を一緒に書いたりしながら勉強をしていました。
ドリルの1ページ分のテストを作り、間違えも書き直しができたら褒めてあげ、癇癪が出ないように気をつけながら出来ることを増やしていきました。
しかし、子どもの気分が乗らないことも多くある為、時間をあけたり違うことをさせたりしながら様子を見て、その時何が出来るかを考えながら続けていくとよいですよ。
学校生活でのトラブルや悩み
当時の学校はアスペルガー症候群に対して環境が整っていなかった為、特性については何も教えてもらえず「親の教育が悪い」と言われ、また、私も娘に対してどうしたらよいかわからないまま過ごしていました。
毎日のように私がどれほどダメな母親か書かれた連絡帳を見るたびに悲しくて泣いてしまい、情緒不安定になるほど私は追い詰められていきました。
周りから娘は「勉強が嫌いでやらない」「友達の輪に入れない」「協調性がない」と思われていました。
娘が通っていた学校ではこういった対応でしたが、学校の取り組みによって異なります。
違う学校ではきちんとした対応をしてくれると聞きましたので、相談しやすい学校も増えてきているようです。
先生の対応
先生は娘や私に対しても協力的ではなく、先生の考えだけで物事を進める場合が多く、転校するまで毎日が大変でした。
忘れ物が多い娘に対して指導が厳しかった為、娘は次第に学校に行くのを嫌がるようになりました。
段々と登校班で行くことを嫌がるようになり、朝に体調が悪くなることが多くなった為、車で学校へ送るようにしたのですが、この事についても問題が生じたのです。
先生は不登校気味の娘に対していつも意地悪な言い方をして責めるようになり、私に対しても「車での送迎は他の子に悪いのでしてはいけない」と言って何も助けてはくれず、毎日連絡帳には先生の言いたい事のみが書かれていました。
校長先生とも話をしましたが、どの先生も私がダメな母親だから娘が可哀相だと言うばかりで話し合いにはなりませんでした。
「あの時もっと強く言えていたら良かった」と思い返すこともありますが、私もストレスで弱っていたので当時は難しく、悔しい思いをしました。
その時と同じ思いを娘にさせないよう、今は先生との話し合いの中で娘が出来ない事を理解してもらう為に何度も説明し、学校から帰宅した娘にどんな1日だったのかを詳しく聞くようにしています。
問題が生じた時にすぐに行動できるようにする事で、娘の負担を少しでも減らせるようにと思っています。
友達ができない
娘は思ったことをそのまま口に出してしまうので誤解が生じやすく、友達ができませんでした。
みんなと同じように行動できない部分もあるので、理解してもらうのは難しかったのだと思います。
中学年になった娘は周りからいじめられ、対応に悩みました。
いじめがエスカレートしていく中で、私は相手のお子さんの親御さんに相談したり先生に相談したりしましたが、何も変わりませんでした。
娘の話を聞き、何があり、またその時どうすればよかったのかを毎日話し合いましたが、毎日泣いて帰ってくる娘を見るたびに申し訳なく、何もできない自分に無力さを感じていました。
勉強に興味をもたせる為に実践したこと
娘は学校の授業だけでは覚えるのが困難な為、家庭学習が必要でした。
勉強として教えるのは娘の興味を引くことができなかったので、娘が好きな事を応用して勉強できるようにこらした工夫をご紹介します。
算数の教え方
📌足し算の場合
娘はみかんが好きだったのでみかんを使って教えました。
お子さんが好きな食べ物やオモチャを使う事でスムーズに教える事ができますよ。
例)ママが◯◯ちゃんにみかんを3つあげると何個になる?
まずは渡した数から練習していき、「◯◯ちゃんが2個持っていてママが3個あげると全部で何個?」というように数を増やしていくと覚えやすいです。
『足し算はもらえる数』
📌引き算の場合
持っているみかんを食べさせ、そのあとで「今何個?」と聞いて数を数えるようにしていきます。
例)今5個あるみかんを1個食べたから残りは何個?
食べると減ることを覚えるように、食べた数を教えていきましょう。
※興味があるものでの代用なので、食べ物ではない場合もあります。例えばミニカーなどのオモチャの場合は、お子さんが大好きなバッグを用意しておき、その中に引く数の分を入れていくことで教えることが出来ます。
このときの失敗談は「もしママが食べたら……」と言ったら泣いてしまったことや癇癪を起こしてしまったこと。
そのため、子ども自身が行動できる例題が好ましいです。
『引き算は食べた数』
📌かけ算の場合
かけ算は足し算と同じように教えていきます。
娘はかけ算は早く覚えられましたので、九九の練習だけでした。
📌割り算の場合
割り算には苦労しました。
持っている物を配る事を教えないとならなく、自分の分が減ってしまう為です。
仲の良い友達や従兄弟など、お子さんが大好きな人たちを登場させるとスムーズにいきますよ。
例)△△君のお母さんからクッキーをもらって△△君と◯◯ちゃんで分けたら何個?
娘は私から貰った物を分けるのが嫌いな為、知らない誰かから貰った物に置き換える事にすると計算が出来るようになりました。
言い方の問題ですが、発達障害児がスムーズに受け入れられるように言葉を工夫することが大事です。
国語の教え方
ひらがなはフラッシュカードを用いてみたり、漢字は一緒に書いて覚えたりして教えていましたが、物語の内容を考えさせる事が難しかった為、体験させることが出来ることは本人に体験させ、教えていきました。
- 感情について教える(嬉しい気持ち、悲しい気持ち、楽しい気持ち、嫌な気持ちなど)
- 疑似体験をさせる(動物を飼う/動物園や植物園、海や川に連れていく)
- 相手の気持ちを教える(近くにいる家族の気持ち)
感情は目に見えるものではないので、何度も繰り返し教えないといけません。
絵本を見ながら「主人公は今どんな気持ちかな?」と聞くなど、道具を使うことで様々な気持ちを教えることも出来ます。
一つ一つ分かりやすように時間をかけて説明していくことで段々と相手の気持ちを考えるようになります。
物のように触れることの出来るものは触らせてみると結びつきがあり、子どもが理解しやすいですよ。
その他の科目
理科や社会については、家庭で教えることができるものを中心に教えました。
理科は実験があり、見て触って勉強していく為、娘の好きな科目でした。
社会が苦手だったので、地域の特産品などの話をしながら興味をもたせるようにしました。
診察を受けたきっかけと診察について
私たちが当時住んでいた地域では自閉症や学習障害などの病院に行く際に学校の紹介状が必要だった為、病院に連れていく事が出来ずにいましたが(学校側は私の教育が間違ってると言い、病院の紹介状を書いてもらえなかった為)ある日、甥っ子が保育園で学習障害の疑いがあると言われ、病院を紹介してもらったことを知りました。
甥っ子が診察を受けた際に私の娘の話もしてくれた為、娘も診察を受けることができるようになったのがきっかけです。
初診の時に「何故診察が必要だと思ったのか」「いつ頃からなのか」と自分たちの話を初めて詳しく聞いてもらえ、嬉しかったことを覚えています。
「検査をしてみないとわからない」と先生よりお話をいただき、その日は検査の予約を入れて終わりました。
検査の当日、娘は聴覚テストや記憶力のテストなどを約1時間ほど、それぞれ別室にて受けました。
どのようなテストなのか見ることができなかったので詳しいことは分かりませんが、積み木を使ったり絵を描いたりしていたようです。
診断結果ですがその時は自閉症と診断されましたが、特性に違う点があり診断しにくく、他の先生と相談がしたいと言われました。
私は娘の診断を受けることができホッとした為、先生から「自閉症と診断をされて落ち込む親御さんも多いのですが、大丈夫ですか?」と尋ねられた時はびっくりしました。
何故なら、対処法が分かることで娘にきちんと教える事が出来るからです。
今までは何も分からずどうしたらいいのか間違えてばかりでしたが、これからはどんな風に勉強を教えたらいいのか、学校での対応も病院の先生から言っていただけるかもしれないとその時に思ったのです。
その後の学校の変化と私がとった娘の為に出来ること
診断書を学校に提出して今までの事について話しましたが、先生はそれを無視し続け、娘に対しても何の手伝いもしてくれませんでした。
自宅での家庭学習では足りない部分も多く、悩み事が増える毎日。
娘は学校の授業についていくことができず、テストを受けるたびに0点をとってしまう為「いつも0点でごめんね」と言うようになり、私も悲しくなりました。
学校教育では個別に指導することができない為、学校の先生から家庭教師や塾に通うように勧められましたが、毎日の学校生活でも苦労している娘には難しいと感じました。
学校での学習に追いつく事ができず「皆と同じ学習をしなければならない今の生活を改善したい」と思い、新しい学校を探す事に決めたのです。
学校が非協力的であることやいじめ問題について地元の教育委員会とも話をしましたが、改善することはなく、それも転校という道を選んだ決め手でした。
転校することを決めてからネットで学校を調べ、算数や国語などの時間に別の先生が個別で教えてくれるところを探しました。
特に「アスペルガー症候群でも理解してくれる学校」について市の教育委員会に問い合わせをしながら引越し場所を決めていきましたが、地元の教育委員会に話しても解決出来なかった為、目星をつけた引越し先の市の教育委員会に相談しました。
そこでは娘にはどの学校が合うか調べてくださり、また、以前の学校で起きた事など私の話を真剣に受けとめてくれたのです。
もっと早く引っ越しを考えていたら、娘の苦痛の度合いも違ったのかと少し落ち込みましたが、「過去は変えることはできない。これからは娘の話を聞き、環境が良くなる様に頑張りたい」とその時に思いました。
それから、学校が始まる前に、新しい学校の校長先生と担任の先生と話し合いを行いました。
市の教育委員会からきちんと説明があり、スムーズに転校の手続きとこれからについて話し合いができました。
転校してよかったこと
転校する前は「転校しても意味がなけれはどうしたらいいのだろう」と不安に思っていましたが、転校をきっかけに娘には友達が出来、可能な範囲で学校に行ってくれるようになりました。
それぞれ、よかったことを下記に綴っています。
勉強を教えてくれる先生に出会えたこと
今までの先生は「皆と同じ」授業や宿題で全然ついていけなかったのですが、新しい学校では他の子と同じプリントの出来ない部分や漢字など、娘が練習すべき点について詳しく教えてくれたのです。
そのお陰で娘は今まで出来なかったことが出来るようになり、授業中に答える事も出来るようになって、学校生活を楽しく過ごせるようになりました。
友達が出来、学校に行くようになったこと
中でも1番よかったことは友達が出来たことです。
今までは一緒に帰ってくれる友達もいなくて毎日がつまらなかったであろう娘に、途中まで一緒に帰ってくれる友達が出来ました。
帰って来て話してくれる内容にも、友達や先生の事など楽しかった出来事が多くなりました。
他のクラスの友達やいつも一緒にいてくれる同じクラスの友達など、今までは一人だった娘に多くの友達が出来たのです。
男女問わず仲良くしてくれる子ども達に出会う事が出来たことは、娘の転機となりました。
この転校がきっかけで娘と私の環境が少しずつ良くなり、娘は今では毎日学校に行けるようになったのです。
自分で起きたり用意をしたりすることが困難だったのに進んで用意をするようになり、笑顔が増え、私も嬉しかったです。
私は、娘がアスペルガー症候群と分かるまで彼女に無理をさせてきました。
先生の理不尽な対応やいじめに対して理解してあげることが出来ず、毎日、嫌がる娘に学校に行くよう叱ったり勉強をしない事に怒ってしまったりしていました。
もし早くにアスペルガー症候群と分かっていたら、もっと早くに環境を変えてあげることが出来たかもしれません。
娘の苦痛を和らげ、支えてあげられたかもしれません。
しかし、今は娘を叱る前に物事を把握し、出来る限り話を聞いてあげられるように私も変わる事ができました。
足りないことは多いかもしれませんが、現在は娘の立場に立って考えることでお互いに支え合うことができています。
まとめ
アスペルガー症候群と診断されて心配に感じるかと思いますが、適切な医療機関でお子さんに合った対処法を教えてもらう事はお子さんにとって大切な事なのです。
他の子と比べる必要なんてないのです。
少し癇癪持ちだったり、苦手な事を覚えるのに時間がかかったりするかもしれませんが、興味がある分野には驚くほどの記憶力があり、そして少し繊細な性格をしているだけなのです。
最初はどんな風にしたらいいのか分からず不安に思う事も多いかもしれませんが、わからない事は病院の先生に聞くようにすると、不安を少しずつ取り除いていくことが出来ますよ。
不安な時は一人で考えず誰かに助けを求めてもいいのです。
お子さんは親御さん以上に不安で不安定な気持ちを持っています。
親御さんしか支えてあげる事は出来ないのです。
叱った後、何故叱ったのか、その時はどうすれば良かったのかを説明してあげる事はとても大切です。
お子さんと一緒に、どの方法が1番合っているのかを探していく事が正解に近づける1歩だと私は思っています。
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