夫が「発達障害」かもしれない?夫の不思議な行動と診断までの道のり

夫婦

最近よく『大人の発達障害』という言葉を耳にします。

周りの人と同じように行動できない、コミュニケーションを取ることが苦手、どれだけ気を付けていても失敗してしまう、なんだか生きづらい……。

私達が生活していく上でよく使われる『普通』が分からないとか、難しいとか、感じていませんか? 

それはもしかしたら『大人の発達障害』かもしれません。

特に、「夫の感覚がなんだかちょっとずれている」「時間通りに行動できない」「うまくコミュニケーションを取れない時がある」「どうしてわたしと同じようには出来ないのだろう?」などとお悩みの奥様も多いのではないでしょうか。

人は誰しも得手不得手がありますが、発達障害者は不得手の部分が人より大きかったり複雑だったりするために、生きづらさを感じながら生活しています。

逆に、得手の部分がより優れて見えることで、他の人から不得手の部分や生きづらさを理解してもらえずに、苦しんでいる人もたくさんいます。

『発達障害』と言われると、あまり良くないレッテルを貼られてしまったと感じるかもしれません。

しかし、発達障害は『個性のひとつ』と考えてみると、日々の生活が少し楽になりますよ。

ここでは、私が『夫は発達障害なのでは?』と疑い始めてから診断に至るまでの道のりを、実際の体験談とともに悩みや考えの変化などを交えてお伝えします。

1.私の考える『発達障害』とは?

私の考える『発達障害』とは私は学生時代に自閉症スペクトラム障害やADHD、LDなどの、いわゆる発達障害について学ぶ機会がありました。

発達障害は『障害』と名称はついているけれども、病気や障害というよりは『人それぞれの個性』という側面が大きいと当時から考えていました。

コミュニケーションや特定の作業をすることが、他の人よりちょっと苦手というようなイメージです。

誰しも得手不得手がありますが、発達障害者はその振れ幅がより大きいのだと捉えていました。

そのように考えていたことから、私の中では『発達障害』に対して偏った先入観はなく、『夫は発達障害かもしれない』と思った時も、そこまで悲観的な気持ちにはなりませんでした。

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2.もしかして発達障害?

もしかして発達障害?まず、夫が発達障害かもしれないと思った経緯をご紹介します。

発達障害は人によってその特性が千差万別で、必ずしも私の夫と同じような行動になるとは限りませんが、もし似たような状況の悩みをお持ちであれば、原因に発達障害があることを疑ってみてもよいかもしれません。

ぜひ、参考にしていただければ幸いです。

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2-1.オーバーヒート

オーバーヒート夫はよく家事を手伝ってくれます。

特に私が病気になり、思うように動けなくなってからは、よりたくさんの家事を率先してやってくれるようになりました。

しかし、彼は家事をしているうちに疲れ果ててしまい、キッチンや居間・廊下の床など、家事をしていた場所で意識を失うように倒れ込んでしまうことが多々ありました。

また、当時私が介護の仕事をしていた頃、残業で定時に帰れなかった時には、携帯電話に夫から異常な回数の不在着信があり、急いで家に帰ると玄関先や廊下で倒れているといったことも度々ありました。

初めの頃は、倒れている夫を見つけるたびにとてもビックリしていました。

声を掛けても反応は無く、白目をむいて気を失っているのです。

幸い呼吸はしっかりしており、眠っているような状態であると判断できたため、救急車を呼んだり病院に行ったりするまでには至りませんでした。

しかし、完全に全身の力が抜けているため、私の力ではベッドまで運ぶことも出来ず、その場でタオルケットや毛布を掛けて自然に起きるのを待っていました。

悩む気を失っている夫の横で座り込み、なぜ度々倒れてしまうのかととても悩んだことを覚えています。

あまりにも毎日のように続くので、家事をしてもらっていても心配で仕方がありませんでした。

ある日、夫が倒れ込んでしまう前にいくつかの予兆がある事に気が付きました。

  1. 始めのうちはすごく丁寧に家事をこなしてくれていたのが、進めていくうちに作業が雑になっていく
  2. 目が段々うつろになっていく
  3. 落ち着きがなくなり、身体が揺れ、物音がさらに大きくなる

いくつかの予兆が重なって表れてくると、そこから気を失うまではあっという間。

気を失ってすぐの夫の頭部はびっくりするほど熱をもっていました。

後日、夫が落ち着いている状態のときに話を聞いてみると、

  • 家事を進めているうちに頭の中が『ぼわーっ』と熱を持つような感じになる
  • 徐々に思考回路がうまく働かなくなる
  • 最終的にパソコンがオーバーヒートして動かなくなってしまうように、思考も身体も固まり始めてしまう

と言われました。

また仕事で遅くなった時は、「早く帰ってきてほしいけど、この時間までは我慢しよう」と頑張っていたのに、その予想を超えた時間の我慢を強いられると、そこから感情のペース配分をコントロールすることができなくなり、オーバーヒート状態になっていたそうです。

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2-2.時間通りに行動することが出来ない

家事その後、私が仕事を辞めて家に居るようになってからというもの、夫の気になる行動がさらにたくさん見えるようになりました。

中でも一番気になったのは、夫が朝なかなか仕事に行かないことでした。

出勤時間から逆算して「〇分までに家を出ないと間に合わない!」という時間になっても、準備が間に合わなかったり家事に夢中になったりして出発できないのです。

  • 家を出るタイムリミットが10分後に迫る中、40分以上もかかる洗濯を始めてしまい遅刻
  • 出発時間を過ぎているのに、ゆっくりとトイレでネットサーフィンしていて遅刻
  • 出発時間になっても布団から出てこられない。

なんてことが度々ありました。

しかもこれは仕事の日だけではなく、休日や大切な用事の時も。

決められた時間に間に合うように行動して家を出発できることは稀でした。

夫は、「これをやらなくちゃ」「こっちも終わってない」などと、何かが気になってしまうとそれが終わるまで次の作業や行動に移ることができません。

途中で私と交代しても、すぐに気持ちを切り替えることができず、その場に立ち尽くしてしまうため、結果的には夫がそのまま続けるのと同じだけの時間がかかってしまいます。

当時はなんとか時間通りに出発できるように、着替えや洗面など本人がやらなくちゃいけない最低限のこと以外で、夫が気になってしまいそうな家事を私が先回りして済ませておかなければ、と頑張っていました。

しかし、私自身が病気によって身体の自由がきかない中で、夫の事も気にしながらの生活は負担が大きく、心も身体も疲弊していました。

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2-3.急な予定変更でパニック

パニック外出や家事をする時、夫は一生懸命その日の流れをスケジューリングしてくれます。

しかし、予定はあくまで予定です。

その通りにいかなかったり急に変更したりすることもありますよね。

でも夫は、急な変更に対応することが苦手です。

予定通りにいかないと大抵の場合、そこでもう思考がストップしてしまい、先の予定が全て頭から消えてしまうばかりか、再構築も出来なくなります。

さらにそこから会話も成り立たなくなって、何を聞いてもどんな提案をしても「わからない。もうわからない」ばかりを繰り返すようになるのです。

また、一度ストップしてしまった思考を再始動させるのにはとても時間がかかるようで、疲れ具合によっては次の日になるまで尾を引いてしまう事もありました。

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2-4.もしかして夫は発達障害なのかも…

結婚してから目立つようになったここまでに紹介した夫の行動は、交際していた頃には全く気が付きませんでした。

きっと、必死に合わせてくれたり我慢したりしていたのだと思います。

結婚して互いに素の自分を出せるようになったことで、だんだんと目立つようになっていきました。

初めのうちはひとつひとつの理解不能な行動をバラバラにしか捉えることができず、どのようにしたら夫の負担が減るだろうか、と悩む一方で、私の頑張りが足りないんじゃないか、と自分を責めてばかりいました。

しかし、ある時、夫の負担軽減に繋がる工夫を模索している中で、気になる行動を順番に書き連ねてみたところ、内容を見返しているうちになんだか覚えがあると感じたのです。

学生時代、子どもの発達障害について学んだものと似通っていることに気が付きました。

そこで当時のテキストを引っ張り出し、夫の気になる所と照らし合わせながら読み進めた結果、『夫は発達障害なのかも』とほぼ確信に近い考えを抱きました。

しかし、夫が発達障害かもしれないと考えるようになったことで、私の中にある迷いが生まれました。

それは、本人に伝えるべきなのかどうか、ということです。

「伝えたほうが良いのだろうか、それとも伝えないほうが良いのだろうか……」
「仮に伝えるとしても、どのように伝えれば良いのか」
……その答えが見つからずに悩みました。

本人に伝えるべきなのかどうか悩む夫は色々な事に寛容で、価値観は私とかなり近いです。

私が病気になった時も、夫はすんなりと受け入れ、支えてくれました。

しかし、いくら学生の頃に発達障害者と触れ合い、学んだことがあるとはいっても、素人の考えであることに変わりはありません。

医者でもない私が夫に対して「あなたは発達障害だと思う」と簡単には言えませんでした。

私がそうやって悩んでいる間にも、夫は自分をコントロールできないことに苦しみ続けていました。

「自分はなぜみんなと同じように出来ないのだろうか」と、「みんなはどうやっているのだろう、自分のやり方が悪いのか」と、毎日のように自分を責めては落ち込んでいました。

そんなある日、夫と書店に立ち寄った時に『大人の発達障害』に関する書籍のコーナーが目に入り、私は「これだ!」と思い、さり気なく夫をその棚の前に誘導しました。

夫はすぐにその本が気になったようで、手に取り読み始めました。

私は、夫が自分の特性に気付くのか、それにどんな反応をするのか、とても不安でその場にいられず、他の本を探しに行くふりをしてその場を離れました。

しばらくして戻ってみると、そこにはとてもスッキリした顔の夫がいました。

書店私を見つけると嬉しそうに「この本に俺のことが書いてあった!」と教えてくれたのです。

読めば読むほど、今まで悩み苦しんできた事について書いてあり、「自分の努力が足りないせいではないのではないか」と考えることが出来て、心が少し軽くなったと喜んでいました。

そんな夫を見て、私自身も心が軽くなったように感じたのを今でも覚えています。

『夫は発達障害かもしれない』と感じる中で、どのように本人に伝えればいいか悩んでいる人も多いかと思います。

もし、直接伝えることに抵抗があるなら、私のように書籍やテレビ番組などの力を借りてみてはいかがでしょうか?

本人が生きづらさを自覚していれば、意外にすんなりと受け入れてくれるかもしれません。

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3.病院受診と発達障害の診断に至るまで

ようやく夫が『自分は発達障害かもしれない』と自覚しましたが、正式な診断に至るまでには、まだまだ長い道のりが待っていました。

3-1.なかなか病院を受診できない

悩む夫自身が発達障害かもしれないと自覚した後、では実際にどうすれば良いかという問題が出てきました。

病院を受診して正式に診断をしてもらうのか、病院には行かず、対処療法を取り入れながら今まで通り生活するのか。

発達障害の診断をしてもらうには、しばらく病院に通い、診察や検査を受けることになりますが、これにもある程度の費用が必要となります。

当時は私の病気が発覚して間もなく、仕事も辞めてしまっていたため夫の収入のみでの生活を余儀なくされており、また、夫は以前から糖尿病を患っていて、夫婦それぞれに医療費がかかるという状況です。

経済的には苦しく、生活費はずっと赤字が続いていました。

さらに、元々病院嫌いな夫は、診断をしてもらってスッキリしたい気持ちと、極力病院には行きたくないという気持ちの間で揺れていました。

くわえて当時は仕事も忙しく、病院に通う時間さえなかなか取れませんでした。

こうした状況をふまえ、私は夫と何度も話し合いました。

仮に『発達障害』と診断されたとしても、

  • 投薬治療ではなく、困っていることに対して自分なりの工夫を見つけていく対処療法がメインとなるであろうこと
  • 対処療法は診断がなくても私達夫婦で進めていくことが出来るということ
  • そもそも、診断が今すぐ必要なのかどうかということ

上記以外にも様々な内容について意見交換をしましたが、ふたりの話し合いだけでは結論が出ず、知り合いの臨床心理士にも相談しました。

その結果、まずは、ふたりで工夫が可能な対処療法から始めてみること、そして、もう少し経済的な余裕ができ、仕事が落ち着いてきてから病院を受診しようという方針に決まりました。

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3-2.病院を受診するも、すぐには検査が出来なかった

二次障害自分たちなりの対処療法を行いながら過ごして1年半ほど経った頃、夫は職場内の人事異動で環境が変わってしまったことに対応できず、二次障害を発症して、仕事に行くことが出来なくなりました。

療養休暇の申請をするために、出来るだけ早く病院へ受診し、診断書を提出するよう職場から求められました。

そこで私は『大人の発達障害』の診断や治療等を行っている心療内科を探しました。

精神的に病んでしまったことで仕事に行けなくなったのですが、根本的なところには発達障害が影響しているのではないかと考えたからです。

  • この機会に発達障害の可能性についてもはっきりさせておきたい
  • いくつもの心療内科に通うのは夫自身の負担も増え、回復の妨げになってしまう

上記の点から、一度にどちらも診てもらえる病院が理想的でした。

しかし、適当な病院はなかなか見つかりません。

職場に診断書を提出する関係上、すぐに診てくれる病院を探しましたが、どの病院も数ヶ月待ちは当たり前でした。

どうにか予約の必要がない心療内科を見つけ、そこを受診することにしましたが、発達障害まで診てくれるかどうかは分かりませんでした。

当日、ドキドキしながら病院を訪れ、仕事に行けなくなってしまったこと、発達障害なのではないかと考えており、そちらの検査もしたいということを医師に説明しました。

すると、その先生は発達障害についても詳しい知識をお持ちで、とてもよく話を聞いてくれました。

診察の結果、『適応障害(特定不能の発達障害)』という診断をいただきましたが、適応障害の症状が重く、結果に影響が出てしまうため、発達障害の検査は時間を置く必要があるとのことでした。

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3-3.予約後、なかなか進まない状況にパニック

電話二次障害の影響で診断までの道のりは一旦立ち止まることになりました。

しかし、発達障害の検査はかなり先まで予約で埋まっている現状であろうということで、主治医から『発達障害者支援センター』を紹介していただき、病院受診後すぐに電話連絡をしました。

すると、現在約3ヶ月待ちで詳しい日時はまだ決められない状況であり、一旦予約は受け付けるものの、時期が近くなってから日程調整をするとのことでした。

こうして知能検査を受けることが決まりました。

この間、夫は仕事に復帰できないまま自宅療養の日々を送りました。

その後、当初聞いていた3ヶ月が過ぎても、なかなか日程調整の連絡が来ません。

不安を我慢できない夫に促されてセンターに電話をしてみると、調整が上手くいっておらず、さらに2ヶ月ほど先になってしまうと告げられました。

そのことを夫に伝えたところ、彼の脳内はあっという間にオーバーヒートしてしまいました。

夫は、休職延長の申請時期が迫っている中で、仕事を続けるかどうかの判断材料として検査結果を参考にしたいと考えていました。

パニックしかし、ハッキリとした予定が決まらず計画が崩れてしまったことで、パニックになってしまったのです。

夫の姿を見かねてセンターの担当者に事情を話したところ、近日中に予約を取ることが可能かどうか確認し、改めて連絡をいただくことになりました。

しかし、またしても予定の日を過ぎても連絡は来ません。

結局、予約日時が確定したのはそれからさらに数日後でした。

日程が決まった時、夫はとても安心した表情を浮かべつつも、すごく疲れたと話していました。

何度も何度も聞いていた予定が変更になってしまうので、とても辛かったそうです。

このように、検査日程を決めるだけで数ヶ月かかってしまう状況からも、発達障害者の受け皿はそう大きくない現状が分かります。

全ての検査機関が同じような状況とは限りませんが、度重なる予定変更によって本人が大きな負担を感じる場合もあります。

こまめな連絡・確認はもちろんですが、期間に余裕を持って検査予約をされることをお勧めします。

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3-4.夫の家族にどう伝えよう…

成長記録知能検査の日程が決まり、新たな課題がでてきました。

それは、夫の家族にも協力をお願いする必要がある、ということです。

検査にあたっては、本人だけでなく家族への聞き取りも行われます。

あくまで『可能な範囲で』となりますが、より詳しい特性を見ていくために、現在の状況はもとより、幼少期の成長の過程や様子なども細かく質問されます。

発達障害は急に発症するものではありません。

幼い頃の行動なども、障害の可能性や対処療法を考えるための指標となります。

そのため、幼少期の様子を間近で見てきた人に話を伺えるのが望ましいのです。

夫と話し合った結果、今回の検査では義母に同行をお願いすることにしましたが、私は同時に大きな不安も抱いていました。

義母とは良好な関係でしたが、検査への協力をお願いする時点で『あなたの息子は障害を持っている』と言うようなものです。

いくら良好な関係でも、私達夫婦がどれだけ発達障害を前向きに捉えていたとしても、受け取りかたはその人次第です。

「もしかしたら不快な思いをさせてしまうかもしれない」
「受け入れてもらえないかもしれない」
「これを機に関係が悪化してしまうかもしれない」

……様々な事が頭をよぎり、眠れない日々を過ごしました。

しかし私達にとっては、やっとの事で辿り着いた知能検査です。

義母に話すこと夫の特性をしっかりと把握して生きづらさを解消するために、私以外の家族の理解や協力も欠かせません。

これは何が何でも乗り越えなければならない壁でした。

私は勇気を出して、義母に話を切り出しました。

  • 夫の気になる行動のこと
  • 発達障害かもしれないと考えたこと
  • 検査に至るまでの過程
  • 夫自身が発達障害や今回の検査の事をどう考えているのか
  • 聞き取りのため、同行の必要性があること
  • 検査を受けたいと考えた理由

ひとつひとつ、私達がどのように考えているのかを説明しました。

この時、以下のような点を意識して話をしました。

  • 義母の子育てを否定しているような印象にならないよう、慎重に言葉を選んだ
  • 検査を受けるメリットについて重点的に話をした
  • 夫自身が検査を受けたいと思っていることを、本人から話をしてもらった

特に、本人が自ら受けたいという意思を話すことは重要です。

そこができないと、私が無理矢理受けさせようとしている印象を与えかねません。

義母は不思議そうな顔をしながらも私達の話に耳を傾けてくれ、結果的に同行していただけることになりました。

でも、検査のことや聞き取りに関しては理解を示してくれたものの、会話の端々に『障害というほどの事では無いんじゃないか』というようなニュアンスが含まれているような感じがしました。

やはり、発達障害というものに対して理解をしてもらうことは、そう簡単なことでは無いんだな、と思いました。

一番大切なのはシンプルな『気持ち』ただ私にとっては夫が発達障害であろうと、そうでなかろうと、感じている生きづらさの理由が分かり、夫に合った対策を取れるようになれれば、というのが一番大切なことでした。

そのため、それ以上の理解を求めるような説明はしませんでした。

知能検査を受ける場合に限らず、『家族の協力』を求める部分が高いハードルになるご夫婦も多いのではないでしょうか。

夫と妻の間で理解が深まってきたとしても、さらに夫の家族にも理解をしてもらうことは、そう簡単なことではありません。

しかし、一番大切なのはシンプルな『気持ち』です。

彼に幸せな人生を歩んでほしい、という愛情に妻も親も変わりはありません。

少しでも理解をしてもらえるよう、丁寧に気持ちを伝えてみて下さい。

その勇気が、彼の幸せにつながっていくことを信じて。

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3-5.ようやくできた知能検査、そして結果に納得

検査待ちに待った検査を行う日。

夫は朝からソワソワと緊張しながらも、「やっとこれでスッキリできる」と、どこか楽しそうな様子でした。

センターに到着後、早速夫は検査室に案内され、義母と私は別室で幼少期から現在までの彼の様子などについて聞き取りを受けました。

数時間後、検査を終えた夫が戻ってきました。

疲れ切った彼の様子をみて、検査を勧めないほうが良かったかと不安になりましたが、「ものすごく疲れたけれど、これで自分の事が分かるならやって良かった」と言ってくれて、とてもホッとしました。

検査から約1ヶ月後、センターに結果を聞きに行きました。

『結果報告書』という、検査結果を簡易にまとめた書類を基に、結果から判断できることや、どのような工夫をするといいのかといったような事を説明していただきました。

夫の検査結果は、私が思っていた通りの内容でした。

私自身、医師では無いので診断をすることは出来ませんが、『これは発達障害といっても差し支えない結果だな』と感じました。

  • 総合的には平均の能力があるものの、各項目を詳細に見ていくと大きなばらつきがある
  • 高い結果が出た項目は平均よりも上で、他の人よりも得意なことがうかがえる結果だった
  • 低い結果だった項目は、一般的に『障害』とされるかされないかのギリギリの水準だった
  • 高い項目と低い項目との差が顕著であり、生きづらさの主要因になっていることがうかがえた

今回夫が受けた検査は『WAIS-Ⅲ』という知能検査です。

データ詳しい内容については、これから検査を受ける人の結果に影響が出てしまうため、ここに記載することは出来ませんが、各検査項目の結果を折れ線グラフにしたときに、あまりばらつきがみられない人が多いです。

しかし夫の結果は見事にガタガタでした。

普段の生活で『これは苦手なんだろうな』とか『いつもここで酷く疲れているな』と感じていることについて、今回の結果が全て証明してくれるような内容でした。

夫自身も『苦手だな』とか『生きづらいな』とか、『他の人は何でこれを苦も無くできるのだろう?』と考えていたことが検査結果とリンクしていたようで、説明を聞き進めるうちにどんどん明るい顔つきになっていきました。

夫は帰宅する車中でも、ずっと「こんなに自分の得手不得手が分かってスッキリすると思わなかった。やっぱりやって良かった」と、とても嬉しそうに話していました。

また、夫が仕事に行けなくなった理由の根本にも、やはりこの特性が強く関係していると感じました。

コミュニケーションが苦手なことや、急な変更にすぐに対応できない、といった点も今回の検査結果で低かった項目が影響するものでした。

この後、検査や聞き取り調査の結果が『情報提供書』という書類にまとめられ、センターから医療機関へ送付されます。

最初から医療機関で検査を受けた場合にはこの限りではありませんが、発達障害者支援センターに検査を依頼した場合には、医療機関ではないため確定診断ができないことがほとんどです。

この情報提供書をもって、主治医が診断することになります。

また、この情報提供書については、検査の特性上、これから検査を受ける人の結果や、今後、また検査を受けることになった場合の結果に影響してしまうなどの理由から、私達の手元に届くことはありません。

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3-6.とうとう診断名がついた

とうとう診断名がついた<結果報告を受けてから約半月後、センターから情報提供書が発行されたと連絡を受けました。

主治医の診察の結果、受け取った診断書には『自閉症スペクトラム』の文字がありました。

発達障害ではないか?と考え始めてから2年余りの時が経って、ようやく夫の生きづらさに名前が付いたのです。

私もスッキリした気持ちになりましたが、夫はより一層スッキリとした表情で「自分自身の特性を、前より受け入れられるようになった」と話してくれました。

その後の夫は、「自分の努力が足りないわけじゃない。しょうがないこともある」と受け入れられている時もあれば、「やっぱりだめだなぁ。自分なんて…」と沈んでしまう時もあって、まだまだ気分のムラはあります。

それでも以前に比べれば、自分を否定するような言動が減ってきているのは確かです。

私自身にとっても、夫をより深く理解する手掛かりが掴めましたし、これからどのような工夫をしていくかといった事を夫と相談しやすくなったので、診断を受けて良かったと思っています。

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まとめ

夫婦夫が発達障害かもしれないと考え始めてから約2年、ようやく正式な診断に辿り着くことができました。

大変なこともたくさんありましたが、ここまでがんばってきてよかったと感じています。

何よりも、夫が自分自身の特性を理解し、少しずつ自分を許せるようになってきた事が、私にとっても彼にとっても一番の成果となりました。

これからも夫に寄り添いながら、少しでも楽しく幸せに過ごせるように、工夫を積み重ねていきたいです。

夫が発達障害かも?と感じ、診断を受けることを迷っている奥様たちへ。

私達の場合は、病院への受診を先延ばしにせざるを得なかったことで、二次障害を発症してしまったり、その影響で診断までに時間がかかってしまったりと、夫に余計なつらさを感じさせてしまったように思います。

夫の発達障害を疑い、それに悩んでいる状況であれば、可能な限り早い段階で医療機関や専門機関への受診をお勧めします。

私も夫も、診断を受けることによって、とても気持ちが楽になりました。

まずは相談からでも構いません。

一人で悩まずに打ち明けてみましょう。

勇気が必要かもしれませんが、少しでも幸せに近付けるのなら頑張ってみる価値はあります。

夫が自らを嫌いになる前に、そして何より妻が夫を嫌いになる前に、一歩を踏み出してみて下さい。

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