ASD、ADHD、LD お母さんができる発達障害の子どもの対応策

ASD、ADHD、LD お母さんができる発達障害の子どもの対応策
【著者】宮尾益知監修
【amazon評価】★★★★★

この本は、「どんぐり発達クリニック」院長として、たくさんの発達障害児と親御さんに接している宮尾益知先生が監修しています。

発達障害児を育てる親御さんの不安感やストレスを少しでも減らし、楽しく子育てができるようになる秘訣を教えてくれています。

全体は7つの部分に分けられています。

第1章は発達障害の基礎知識、第2章はASDの幼児期から学童期、第3章はASDの思春期、第4章はADHDとLDの幼児から学童期、第5章はADHDとLDの思春期についてそれぞれよくあるトラブルと対応策が説明されています。

第6章は子どもとの付き合いに悩んでしまう8つのケースについて取り上げています。

第7章では宮尾先生のカルテから子育てに役立つヒントが紹介されています。

この本の良い点は、ASD、ADHD、LDといった、それぞれの発達障害の特徴が最新の研究や診察に基づいて正確に表現されているところです。

特にASDの基本的な特性やLDの特性については、他の本と比べてかなり細かく説明されています。

またいろんなトラブルが起きてしまう原因や理由について、詳しく説明されているという点も興味深いと感じました。

親御さんから見れば「どうしてこんなことをするんだろう?」と不思議に思ったり、イライラしたりすることがあるかもしれません。

でも、この本を読むと、子どもの目線から困りごとが見えてきます。

診察室でたくさんの子どもたちを診てきた経験があるからこそ、こうした分析ができるのだろうと感じました。

また、思春期独特のトラブルについての解説があるのもこの本の特徴です。

思春期は自分をほかの子どもと比べたり得意と苦手の差が開いたりするようになり、劣等感や挫折感を持ちやすくなってしまいます。

その時期に、親御さんがどのようにサポートしてあげられるかが詳しく説明されているので大変参考になるのではないかと思います。

さらに、インターネット依存症など近年問題となっている問題についても取り上げられています。

ネットの利用をコントロールする方法を具体的に提言してくれているので役立つと思います。

この本は、ASD、ADHD、LDの幼児期から思春期までを幅広くサポートしているので、発達障害児の子育て全般を把握するのに適しています。

ただ、イラストや図を使った説明は比較的少なく、文字ばかりが詰め込まれている印象を受けます。

発達障害のいろんな特性を詳しく説明しようとしているので、少し内容がわかりにくいなと感じる部分があります。

その点を除けば、発達障害の症状を抱える子どもを育てる親御さんを励ましてくれる、心強い一冊となると感じました。

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