発達障害というものの存在を知り、「もしかしたら、うちの子はADHDなのではないか?それともまた別のもの?」と迷い、悩んでいらっしゃる親御さんも多いことでしょう。
一口に発達障害といってもいくつかの種類があり、特徴や治療法はそれぞれに変わってきます。
今回は、発達障害の種類、特徴、治療・改善法についてご紹介します。
参考になりましたら幸いです。
発達障害の種類
発達障害といえば「ADHD」「アスペルガー症候群」のふたつを思い浮かべる人が多いかと思いますが、下記のように、発達障害の種類は大きく3つにわけることができます。
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)
- ASD(自閉症スペクトラム障害)※アスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害はASDに含まれます
- LD(学習障害)
この中のひとつだけにあてはまるという場合もありますが、複数の特徴を併せ持っているケースが多いと言われています。
発達障害は、知能検査の結果では能力の偏りはあるものの、全体的な能力やIQには問題ないことが特徴です。
知能検査の結果、全体的に知能が低い場合は知的発達症として別に扱います(目安として、IQ69以下がそれにあたるといわれています)。
大人のデータになりますが、発症割合は、おおまかにADHDが2.5%、ASDが1%、LDが4%といわれています。
上記のことから、決してまれな障害ではないということがわかるかと思います。
特徴と治療・改善法
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ADHD
文部科学省が定めている定義には「ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」とあります。
不注意、衝動性、多動性により、社会生活に支障をきたすことが多いといわれています。
ADHDの特徴
ADHDの主な特性として、不注意、多動性、衝動性の3つがあります。
📌【不注意】集中力の欠如
- 集中力が続かない
- 集中力を要する課題を避ける
- 外からの刺激で注意がそれる
- 話しかけられても聞いていないように見える
- ぼんやりしてしまう
集中力が続かず、ぼんやりしてしまうことが多い為、「やる気がない」と思われてしまうことがあります。
また、色々なことに次々と興味が移り、話をしている最中でも他のことが気になってしまい、そちらを気にしてしまったり、話を覚えていなかったりと、本人に悪気はないのですが、相手から見ると「全く話を聞いていない」「失礼だ」と思われてしまうことがあります。
しかし、興味のあることには、相当な集中力を発揮し、周りが見えなくなるほど没頭すること(それも才能のひとつなのですが)から、逆に「本当は集中出来るのに、やる気がない」と誤解されてしまうこともあります。
☝ 物忘れ
- うっかりミスや忘れ物が多い
- 必要なものを失くす
大事な約束を忘れてしまったり、必要な持ち物を持ってくることを忘れてしまったりすることが多い為、「責任感がない」と思われてしまうことがあります。
物の整理が基本的に苦手な為、物をどこに置いたか思い出せず、結果的に失くしてしまうことも多いです。
そのことにより、相手に迷惑をかけるだけでなく、自分も困ることが多くなります。
☝ 課題への取り組みが苦手
- 課題を完成できない
- まとめることが下手
- 先送りが多い
- 締め切りがギリギリになったり、守れなかったりする。嫌なことを後回しにして時間がかかる
課題を与えられたときに、能力はあるのですが、きっかけやコツがつかめず、取り組むことに時間がかかったり嫌なことを後回しにしてしまったりする傾向があるので、締め切りギリギリまで取り組まず、結果的に期日まで間に合わなかったり、提出しなかったりということがよくあります。
そのため、学校ではテストの点は取れても、意欲・態度の評価が低く、通知表などの評価が低くなってしまう場合があり、また、仕事でも実際の能力より低い評価しか得られないことがあるため、本人も認められていないと感じ、自分でもそういったことが苦手だと思ってしまいがちです。
📌【多動性】落ち着きのなさ
- じっとしていられない
- 落ち着きがない
- 身体をモゾモゾさせる
- 不適切に走り回ったり、高いところに登ったりする
じっとしていることが苦手で、常に身体を動かしていたり、グルグル回ったりと落ち着いていられないことが多く、良く捉えれば「元気で活発」なのですが、「落ち着きがない」「乱暴」とも思われがちです。
注意されても、平気で走り回ったり物を壊してしまうこともよくあるため「しつけが出来ていない」と誤解されることも多いです。
☝ 集団生活に合わせることができない
- 席を離れる
- 静かに遊べない
- 不適切なほどしゃべりすぎる
学校などの集団生活では静かに席に座って授業を受けなければならないため、多動性の強いADHDの子にとっては、とても大変な時間です。
思わず席を離れてしまったり、ウロウロ歩き回ったりしてしまうので授業が進まなくなったりと、周りに迷惑をかけてしまうこともあります。
また、興味のあることに関しては、相手の都合を考えず、いつまでもしゃべりすぎる傾向があるため相手がウンザリしてしまうこともよくあります。
📌【衝動性】
- 思いついたらよく考える前に行動してしまう
- 質問が終わらないのに答える
- 順番を待てない
- 他人のじゃまをする
衝動的に行動してしまうことが多いため、突然周りを見ずに道路に飛び出してしまったり、危険な行動をしてしまったりすることがあり、「常に目が離せなくて心配」だという親御さんも多いことでしょう。
相手の質問を遮ったり、順番を守らなかったりと、結果的に相手に嫌な思いをさせてしまう行動も見られるのですが、本人としては、その時に思いついた気持ちに従って行動しているだけなので、相手を嫌な気持ちにさせているという認識はないことが多いです。
そのため、怒られても「なぜ怒られているのか」を理解できていないことがあります。
不注意が中心のADDタイプはあまり目立たず女性に多く、多動性・衝動性が中心のHDタイプは乱暴、反抗的と言われ男性に多いといわれており、また、不注意・衝動・多動が混合のAD/HDタイプが最も多いといわれています。
※不注意、多動性、衝動性の度合いは人によって違います。
ADHDの治療・改善法
ストラテラ・コンサータなどによる薬物療法
- これらの薬を使うと、視力の悪い人が適切なメガネをかけたときのように「頭のピントが合う」というイメージ(有効例)。しかし、必ず効くとは限らないので注意。
- 服用した人のうちの、約半分の人には効果があると言われている。
療育・トレーニング
- 子ども本人や親が、ADHDによる問題行動の対処法を学ぶトレーニングを受けることで、行動に気をつけたり、考え方を変えていったりする方法。
- 発達センター、療育センターへ通所して行うトレーニングや、病院、療育センターに入院して取り組むトレーニング、親向けのペアレントトレーニングもある。
カウンセリング
- 定期的に医師からアドバイスをもらい、それを参考に日常生活で気をつけていくことで、困りごとを解決していく方法。
環境調整・家で配慮できること
- 子どもが集中しやすいように、机の周りに余計なものを置かないようにすること/整理整頓しやすいように、なるべく物を減らすこと/やらなければならないことを目立つところに貼っておくこと等、家の中の環境を整えてあげることも必要。
- 学校でも先生に協力してもらって先生の目が届く最前列に座らせてもらう等、環境を整えてもらえれば良いが、周りの子の目もあるため先生とよく話し合って決めることがおすすめ。
メモやスケジュール管理
- メモ帳や携帯のスケジュール機能を使って、大事な約束や持ち物等を忘れないようにすることを習慣にするという方法。
- 学校では携帯を使うことは禁止されていることが多い為、メモ帳を活用するという方法が有効。
- 習慣になるまでにはかなりの時間がかかりますが、将来のことを考えると根気良く続けていくことが必要。
ASD(自閉症スペクトラム障害)
ASD(Autism Spectrum Disorder)とは、日本語で「自閉症スペクトラム障害」といいます。
社会性の質的障害(対人関係が苦手)、コミュニケーションの質的障害(こだわりが強い)が特徴です。
かつては、アスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害の3つが区別されていましたが、2014年にこの区別が廃止され、ASDに統一されました。
目の前の細かいことにこだわり、物事を全体的にとらえるのが苦手なため、社会生活に支障をきたすことが多いといわれています。
アスペルガー症候群
社会性の低下がアスペルガー症候群の主な特性です。
文部科学省が定めている定義には「知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち、言葉の遅れを伴わないものである」とあります(自閉症との違いにつきましては、後述の「高機能自閉症」で説明します)。
ADHDと並んで耳にすることが多い障害で、大人になってから「実はアスペルガー症候群かもしれない」と気付くパターンもありますが、社会性が低い=アスペルガー症候群とは言い切れない部分があります。
「自分はもしかしたら」と気になる場合は、しっかり医師の診断を受けることが大切です。
また、対人関係が苦手な人をアスペルガー症候群だと決めつけてしまうことは良いことではありません。
📌アスペルガー症候群の特徴
☝ 対人関係が苦手
- 学校や職場になじめない
- 相手の気持ちがわからない
- 友達ができない
相手の気持ちに共感したり、相手の立場になって考ええたりすることが苦手で、それにより、学校や職場などになじめないということがあります。
友達ができづらく、ひとりでいることが多いため「ひとりでいることが好き」だと誤解されることがありますが、本人はそういうわけではなく、本当は「友達がほしい」「みんなと仲良くしたい」という気持ちを持って行動していますが、なかなかうまくいかないため対人関係を避けてしまう傾向があります。
☝ コミュニケーションの問題
- 場の空気が読めない
- 言葉を文字どおりに受け取ってしまう
- 人の話を聞かない
- 社会的常識が苦手
意思伝達が上手に行えないため、ストレートに相手が傷つくような言葉を言ってしまったり、言葉を意味の通りにしか受け取れず、冗談を真に受けてしまい、傷ついてしまったりすることがあります。
場の雰囲気を読むことも苦手なため、場の雰囲気にそぐわない発言をしたり、突拍子もない行動をしたりすることから「変な人」と思われてしまうこともあります。
☝ 想像性の欠如
- 相手の立場になって考えられない
- ごっこ遊びが出来ない
自分と異なる立場になったことを想像することが苦手なため、相手の気持ちを理解することが出来ず、相手を傷つけてしまったり怒らせてしまったりしてしまうことがあります。
また、お店屋さんごっこやおままごとなどの「ごっこ遊び」などもその立場を想像することが苦手なため、うまく遊ぶことが出来ないということがあります。
☝ こだわりが強すぎる
- 特定のテーマへの熱中
- 自分の興味のある分野について膨大な知識を集める
- 自分なりの予定、手順にこだわり
- 無意味な手順や儀式に執着する
- 奇妙な動作を繰り返す
興味を持ったものに対して、かなりのこだわりを持ち、徹底的に調べないと気がすまなかったり、それに関するものを集め続けたりと、こだわりが強い傾向があります。
特定の知識を高める能力が高いことは、才能でもあり、良い特徴でもあります。
歴史的な学者・研究者はアスペルガー症候群だと考えられる人も少なくないといわれています。
しかし、興味があるものだけに固執し、周りが見えなくなったり、それ以外のことに興味を持たなくなったりするといった問題もあります。
調べることに没頭しすぎて、食事を取ることを忘れたりと、健康に害を及ぼすレベルになってしまう危険性もあります。
また、周りから見ると理解出来ない儀式のようなものや、非効率的なのにそのやり方にこだわるという傾向もあります。
必ず同じ道を通らないと気が済まなかったり、時間がなくても、決まったことを行わないと外に出かけることが出来ない……スポーツ選手が試合前に行うジンクスとも似たようなものとも捉えられますが、それをしないと行動できないという強迫観念に似たところもあります。
自分の中で決めていた予定以外の突発的な出来事が起こると、パニックに陥ることもあります。
☝ 感覚が過敏
- 聴覚、触角、味覚などが過敏
- ちょっとしたことが気になる
- 乗り物酔いをしやすい
- 薬が効きやすい
感覚が過敏で、ちょっとした音でも不快に感じてしまったり、服のタグの肌触りが気になってタグを切らないと服が着られなかったりと、日常生活に支障をきたすことがあります。
また、触られることを極端に嫌がることもあります。
乗り物酔いをしやすい人は少しの距離でも酔って吐いてしまうため、エチケット袋を手放せないという不便さもあるようです。
薬がよく効くと感じた場合は、その分副作用も強くなりますので、薬を処方してもらうときには医師に相談することをおすすめします。
☝ 不器用
- 運動が苦手
- 手先が不器用
- バランス感覚が悪い
- 複数の作業を同時に行えない
運動が苦手だったり、細かい作業が苦手だったりと不器用なところもあります。
頭の切り替えが上手に出来ないため、複数の作業を同時に行うことも苦手です。
食事中にテレビを見ていると、食べている手が止まってしまってなかなか食べることができないことがあり、また、仕事でもひとつの作業を終わらせないと他の作業ができないといった様子が見られます。
高機能自閉症
主な特性がアスペルガー症候群とよく似ていますが、言語発達に遅れが見られることが特徴です。
文部科学省の定めている定義には「高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」とされています。
📌自閉症、アスペルガー症候群との違い
特徴がよく似ている、高機能自閉症、自閉症、アスペルガー症候群ですが、違いをあげると
- 主な特徴はほぼ同じ
- 自閉症は知的発達の遅れを伴う
- 高機能自閉症は知的発達の遅れはないものの、言葉の発達の遅れを伴う
- アスペルガー症候群は知的発達、言葉の発達の遅れを伴わない
とされていますが、高機能自閉症は年齢が上がるにつれて言葉の発達の遅れが目立たなくなっていくため、アスペルガー症候群との区別がつかなくなってくることが多いです。
広汎性発達障害
広汎性発達障害は、ASD(自閉症スペクトラム障害)とほぼ同じような特性が現れます。
2013年までは、広汎性発達障害に高機能自閉症、アスペルガー症候群も含まれていましたが、広汎性発達障害に分類される障害のほとんどが「ASD(自閉症スペクトラム障害)」という新たな総称に統合されました(レット症候群は除外されており、広汎性発達障害に分類されています)。
ASDの治療・改善法
薬物による治療
- ASDの特性を抑える薬というよりは、統合失調症や強迫性障害といった共存障害の症状を緩和させるために薬を処方される場合がある。
- 感覚過敏を抑えるために気分安定剤が処方される場合もある。
- いずれも、副作用のことも考慮しながら、薬を使用するか決定する必要がある。
療育によるトレーニング
- ADHD同様、発達センター、療育センターへ通所して行うトレーニングや、病院、療育センターに入院して取り組むトレーニングがあり、そこで、対人関係をうまく行う為の社会生活技術を身につけたり、自分で障害の特性を理解し、自己管理をする方法を学んだりする。
家庭の様子・配慮できること
- ASDの特性を持つ人はコミュニケーションが苦手なことが多いが、相手が家族だとよく話してくれる場合もあるため、家族とのコミュニケーションを通じて人との接し方を学べるようにしていけるように練習をさせてあげることも有効な方法のひとつ。
- 相手の気持ちを考えない発言をしてしまったり、場の雰囲気を読まない発言や行動をしてしまった時は、頭ごなしに叱らず「なぜそんなことを言ってはいけないのか?」を具体的に説明し、理解してもらうということを繰り返し行うことで、少しずつ相手の感情を認識していけるようにしていくことが必要。
- お手伝い等の指示は一度に全部言わず、ひとつずつ言うようにする(ひとつのことをゆっくりと取り組ませることにより、達成感と自信を持たせてあげることも必要なため)。
LD(学習障害)
学習障害(Learning Disoeder)は、全体的知能・視覚・聴覚に問題はないが「聞く」「読む」「書く」「計算する」「推論する」のうち、ひとつ以上に著しい困難がある場合に該当します。
文部科学省が定めている定義には「学習障害とは、基本的には全般的な知的障害に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない」とされています。
障害分野の能力が、年齢・全体的知能(IQ)に比べて、不釣り合いに低いことが特徴です。
LDの特徴
- 聞くことが苦手
- 文字で示されるとわかるが、話された言葉が理解できない
- 聞き間違いが多い など
- 話すことが苦手
- 筋道を立てて話せない
- まとまった文章で話せない
- 言い換えができない など
- 読むことが苦手
- 単語を発音できなかったり、間違ったりする
- 文字や単語をとばして読んでしまう など
- 書くことが苦手
- 文字や単語が書けなかったり、間違った文字を書いたりする
- 文章に文法的な誤りが多い
- 単純な文しか書けない など
- 計算することが苦手
- 暗算できない/九九を暗記しても使えない
- 繰り上がり、繰り下がりがわからない など
- 推論することが苦手
- 算数の応用・証明・図形問題が苦手
- 因果関係の理解・説明が苦手
- 長文読解や算数の応用問題などが苦手
- 直接示されたこと以外はわからない など
- 位置や日時の認知ができない
- 左右を間違えたり、昨日、明日などの日にち感覚や、「何時間後に帰る」等の時間の感覚がよくわからない など
- バランス感覚があまりよくない
- 協調運動が苦手、手先が不器用などの運動系症状もある
上記のことから、知的な遅れはないのに、周囲から「頭が悪い」と思われてしまうことが多々あります。
また、文字や漢字を読むことが極端に苦手な場合は、他の教科の教科書やテストの文字を読むことも困難になるため、学年が上がるにつれて全ての教科が苦手になってしまうこともあります。
LDの治療・改善法
今のところ、有効な薬物治療はないといわれています。
勉強に関することなので「努力不足」「勉強不足」「がんばれば出来る」などと思われがちですが、単なる反復練習だけではなかなか弱点は克服できません。
パソコンなどで訓練ソフトを使う・得意分野を伸ばす、などの工夫が必要です。
学校や自治体でも支援してくれる場がありますので、上手に連携を取りながら改善していくことが有効な方法となります。
☝ 通常学級に在籍しながら受ける指導
- 授業を受けやすくするために準備をする/先生に配慮してもらう
- LDの子どもは全体的なIQに問題がないことが多く通常の学級に在籍していることが多いため、担任の先生に配慮してもらいながら工夫していくことが必要。
- 先に教科書に目を通し、読めない文字にはフリガナをふっておく、わからないところが出てきたら答えではなく解き方を教えてもらうようにするなど、本人が授業中に困らないように配慮することで勉強が苦痛にならないようにする。
- チームティーチングによる指導
- 平成5年から、基礎・基本の徹底と個に応じた多彩教育が展開できるよう、複数の教員が協力して、少人数による指導や個別指導を行う「チームティーチング」を実施する学校が増えている。
- それぞれの能力、学力に合わせて子ども達をチーム分けして、それぞれのレベルに合わせた授業をするという方法で、効果を上げているといわれている。
☝ 通常の学級以外の場における指導
- 授業時間外の個別指導
- 通常の授業やチームティーチングだけで不十分な場合は、放課後などの通常の授業時間外に個別指導を受ける方法もある。
- 学校によっては、指導できる先生の数が限られていて個別指導を行えない場合もあるため、まずは学校に確認をすることが必要。
- 特別な場での個別指導
- (お住まいの場所によりますが)通級して指導を受ける「ことばの教室」などが設けられている地域もあるため、そちらへ通級して、苦手なことに集中した指導を受けることも可能。こちらも学校を通して申し込むことになるため、まずは学校に確認をすることが必要。
- 家で配慮できること
- 明日の授業で習うところを先に一緒に読んでおいて、読めない文字にフリガナをふっておくようにする/文章を読むときはゆっくり指でなぞりながら読むように教えてあげる/計算問題がわからないときは答えにたどり着くまでの道筋をゆっくり教えてあげる等、家でも取り組めることもある。
- 一度にすべてをやろうとすると親子ともに疲れてしまうため、学校と連携しながらその子のペースに合わせて取り組むようにする。
発達障害共通の特徴
これまで、ADHD、ASD(アスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害)LDについて説明してきましたが、同じ種類の発達障害でも、特性の現れ方は人それぞれです。
ひとりの人が複数の特徴を併せ持っていることもよくあります(ADHDとASDなど)。
📌 共通の特徴
- 片付け・整理整頓が苦手
- 複数の課題に優先順位をつけることが苦手
- 物覚えが遅い
- 自分自身の状態を認識することが苦手
共通の特徴として、片付けや優先順位をつけて行動することが苦手だったり、興味のあること以外は物覚えが遅かったりする特徴があり、片付け・整理整頓が出来ないと、大事なものをなくしてしまう、忘れ物が多くなるという傾向もあります。
物覚えが遅いと、せっかく能力が高くても「仕事や勉強が出来ない人」と思われてしまいがち。
自分自身の状態を認識できないことから、自分が疲れていることがわからず、睡眠や休憩を取らずに疲れてしまうこともあります。
また、精神的問題だけではなく、不器用さ、感覚の過敏さや鈍さなど、医学的な検査では検出できないような身体の不調もよくみられます。
親御さんをはじめとする、周りの人のサポートも必要となってきます。
💡共通の治療・改善法
- 自分の特徴を理解する
- 得意、不得意を完全になくすことは難しいため、自分の得意なことや不得意なことを理解し、それらを前提として傾向や対策を考えて行動や言動に気をつけることで、少しずつ弱点を克服していくことに繋げる。
- しかし、苦手を克服しようと頑張りすぎて、かえって別の問題が生じないように、周りの人が気をつけて見てあげる必要がある。例えば、片付けられない弱点を克服しようとして、整理魔になってしまうなど、極端な例もある。
- 医師や専門家に相談できる環境をつくる
- 病院、発達センター、療育センターに通所し、医師や専門家からのアドバイスをもらうことで、自分や周りの人だけでは気付かなかった改善法が見つかることがある。
- 本人や親御さんが気兼ねなく相談できる、信頼できる相手を見つけることが大切。
まとめ
お子さんの行動や言動などに違和感を覚え、発達障害という存在を知ってから、とても不安な気持ちを抱えていらっしゃることと思います。
発達障害のそれぞれの特徴を知り、「どの障害に当てはまるのか?」「どんな方法が有効なのか?」を知ることが、改善の第一歩です。
病院や専門の施設や学校と連携していくことで効果が上がりやすくなり、改善のペースにも影響がある場合が多いため、周りに協力を求めることに抵抗がある場合もあるかもしれませんが、まずは相談してみることをおすすめします。
色々調べてADHDだと思いこんでいたら、病院での診断はASDだったということもよくあることです。
正しい診断結果と正しい知識を得ることが改善の近道です。
少しでもこの文章が、悩んでいる保護者の皆さんのお役に立つことが出来ましたら幸いです。
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