【amazon評価】★★★★★★★
何かと問題行動を起こしがちな発達障害児について、大人の見方を変えることでみえてくる「いいところ」を応援して伸ばしていくことを勧める本です。
悪いところばかりに目がいき、悪いところを直す、できないことをできるようにすることにばかり考えてしまいがちですが、周りの大人が見方を変え、子どものできることを伸ばしていくことで、他のこともできるようになるということが書かれています。
目の前の子どもの行動に直面して、それを受け止める大人の「心のストライクゾーン」を広げることで、「いいところ」を見つけられるようになるのです。
事例に「算数の時間は15分しか座っていられない」とありますが、どう見方を変えたら「いいところ」になるのか、私はこの本を読むまでわかりませんでした。
この事例では、着席時間を伸ばすためにどのような働きかけをするか順序立てて解説されていますが、一番初めの印象が「45分間座っていられない」のままではうまくできないのではないか、と思いました。
「いいところ」としてとらえると、「苦手な授業なのに15分間も座っていられる」となります。
心理学ではこれを「リフレーミング」というようですが、これは本当に身に着けたい力です。
他にも「構造化」という手法も紹介されています。
片づけができなかったり、忘れ物が多かったりする事例に対しても、どのように働きかけをすると綺麗に片付けができるのか、忘れずに持ってこられるようになるのかなどを、写真入りで紹介しています。
我が家ではそれを真似して、次男の小学校の絵の具セットの蓋の内側に、どのように物をしまうのかを写真にとって貼り付けてあります。
この写真があるおかげで、片づけが苦手だった次男も「どのようにしまえばよいのか」を知ることができるので、自信を持って片づけができているようです。
しまい忘れなどでなくしてしまったものもありません。
子どものわかるやりかたでサポートしてあげることの大切さを学びました。
学校の先生向けに教室での「いいところ」増やしの解説もあります。
ぜひ教室でもやってほしい!とは思いますが、今は先生がこの本に巡り合ってくれることを祈るに留めておこうと思っています。
最後の章にある、保護者の傷つき体験は、学校とのやり取りで傷ついた体験が紹介されています。
これは読むのがつらい親御さんもいると思います。
私も、毎日かかってくる学校からの電話にノイローゼ気味になったり、先生との話し合いで傷つくことを言われたり、理解してもらえないことが悔しくて涙したりした日がありました。
それらについて、筆者は「保護者を追い詰めないで」と書いてくれています。
親御さんだけでなく、多くの教育に携わる先生に読んでほしい本だと感じます。
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