最近、ADHDを始めとする発達障害についてクローズアップされ、様々なメディアで取り上げられるようになりましたね。
「テレビで見た項目に当てはまる……、もしかしたら我が子は発達障害なのかもしれない」「こんなにも子育てってうまくいかないものなの?」など、色々な悩み事があることでしょう。
保護者の皆さん、どうかお子さんに寄り添ってあげてください。
お子さん自身、とても困っているはずです。
保護者の皆さんも毎日とても頑張っておられることでしょう。
周りの力を借りながら、少しでもお子さんの心を救えるように、新たな方向性を一緒に探ってみませんか?
子どもが言うことを聞かないのは私たち親のせい?
「一生懸命子育てをしているのに、うまくいかないのはどうして?」「何度も注意しているのに、この子は同じ失敗ばかりしてしまう」などと、悩んではおられませんか?
- 子どもがなかなか言うことを聞いてくれない
- 毎日忘れ物をして先生に叱られている
- 友達となかなかうまく付き合うことができない
- おもちゃを買ってあげても、いつも同じものばかりで遊んでいる
- ちょっとしたことですぐに怪我をして帰ってくる
「私たち親が悪いの?」「父親としてうまくやれていない?」「母親としてしつけが足りない?」……なんだか周りから「親の教育が悪いんだ!」と思われているような気がしてしまっていませんか?
しかし、どうかご自分を責めたり、夫婦でお互いを責め合ったり、自分たちの教育方法がダメなんだと思わないでください。
そして、「愛情不足が原因なのでは」と悩まないでください。
皆さんはお子さんのことをとても大切に考えている、素敵なお父さん、お母さんなのです。
それならば、親に原因がないのであれば子どもが悪いのかといえば、もちろんそういうわけでもありません。
「何度も注意しているのに変わらない。それどころか、こちらの言うことが全く分かっていないようで、怒れば怒るだけストレスが溜まっていくばかり……」
そう感じているかもしれませんが、お子さんは親御さんの言うことを十分に分かっているはずです。
お子さん自身「なぜ上手くできないのだろう」と思い、困っているかもしれません。
「お父さんとお母さんの笑顔を見たい!期待に応えたい!」と思って、悩んでいるかもしれません。
確かに、根本的な性格として、やんちゃな子もいるでしょう。
しかし、それだけではない、「何かが違う」という違和感は、お子さんがやんちゃだからということではない場合もあります。
その違和感から、胸騒ぎがするような感覚が生まれているのではないでしょうか?
- 毎日同じようなトラブルが続いて、親も子どもも疲れ切っている
- 毎日がとてもつらく、家族全員が憔悴している
- 何とかしたいけど負のスパイラルに陥ってどんどん深みにはまっていく
このような状況にはなっていませんか?
もしもお子さんの特性がADHDを始めとする「発達障害」に関連している場合、少しでも周りとの軋轢を生み出さないよう導けるように、家族全員が力を合わせて、お子さんの周囲の環境を整えてあげることを考えていくことが大切です。
お子さんにこのような特徴はありませんか?
以下のような状況に直面したことはありませんか?
- 授業中に立ち歩く、どこかへ行ってしまう、じっと話が聞けないなど、学校で問題があると言われた
- 公園の遊具で順番が守れず、他の子を押しのけてしまってケンカになってしまう
- 宿題を忘れるのは日常茶飯事
- 物をすぐに失くしてしまう
- お友達に「静かにして」「話を聞いて」と言われても、自分の気になることに集中してしまうのか、全く聞こうとしない
- お友達の名前がなかなか覚えられない
- 言葉に遅れがあるように感じる
- 周りの人に対して平気で傷つくようなことを言ってしまい、それが原因でトラブルになっても、全く悪びれもせず、なんとも思っていないよう
- 似た状況で同じような怪我をすることが多い
- 夜なかなか寝ようとせず、朝もスッキリ起きてこない
これらの行動について、特に小学校入学後に気になりだしたというケースが多い傾向にあります。
上記だけに限ったことではありませんが、これらにはADHDを始めとする「発達障害」が関連している場合があります。
上記のようなトラブルが頻繁にあり、また、何度言い聞かせても本人に理解ができていないように見られる場合、何も対応せずに放っておくといつまで経っても状況は良くならず、それどころか毎回怒り続けることによって、本人の精神的にも問題やストレスが生じてしまう可能性さえ出てきてしまいます。
ひとつの特性だけでは判断できかねますため、お子さんの毎日の様子や、家の外での様子もよく観察してみましょう。
もしかすると心配しているほどの問題ではない場合もありますが、小学校へ就学する年齢になればある程度は大人の言っていることや意味は分かるものですから、何度言っても本人はちんぷんかんぷんな表情をしたり、「分かっているのに出来ないんだ!」といった態度をとったりした場合、毎日怒り続けることはストップしてみましょう。
違う対策方法を考えるべきときなのかもしれません。
発達障害とは?
子どもの発達障害は大きく3つに分けられます。
- ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)
- ADHD(注意欠如多動性障害)
- LD(学習障害)
発達障害は脳機能に関連する障害であり、子どもの性格や、しつけからくる問題ではありません。
2008年に日本精神神経学会が、ADHDの訳語として「注意欠如・多動性障害」と示し、徐々に知られるようになりました。
発達障害は脳機能の障害であるため、治療によって完治することはありません。
だからと言って、現状の毎日が一生続くわけでもありません。
そもそも、発達障害というと「悪い・劣っている」ものだと思われるかもしれませんが、どんなものでも表裏一体です。
長所は短所に、短所は長所になり得ます。
他の人と違うからダメなんだ!と子どもを責めるのではなく、適切な訓練や療育を行うことで、周りに適応していける力をつけられるよう導くことができ、そして、お子さんの短所を長所へと伸ばしていくことが可能となります。
そのためには親御さんの助けが必要です。
発達障害児を育てる保護者の間でよく聞かれる悩みごと
就学先はどうしたらいい?
発達障害だとわかれば、毎日の授業や学習方法も変えていかなくてはなりません。
もしも小学校就学前に気になる傾向があれば、入学前に小学校へ相談をしておくとよいですよ。
入学前に、発達に関して心配な傾向があるご家庭を対象とした「就学相談説明会」が行われ、教育面について相談をすることができます。
そこで、「通常学級」「特別支援学級」「特別支援学校」「通級指導教室」についての説明もしてもらえます。
「特別支援だと、いじめやクラスに馴染めないなど問題が起きるのでは」と、通常学級を望む親御さんたちもいらっしゃるかもしれませんが、お子さんの状況次第では、通常学級が過酷な場所になる危険性もあるのです。
周りについていけず、より一層本人の精神的ストレスを助長することにもつながってしまいます。
自己判断はせず、専門医などに適切な相談をして就学先の状況を決定していきましょう。
同じクラスの子ども達と上手く付き合っていくには
子どもは純粋さゆえに、思ったことをすぐに口に出してしまいますね。
発達障害の特性から、お子さんが同じクラスのお友達とケンカになってしまうこともあるでしょう。
もしもクラスのお友達やその保護者からお子さんのことについて責められた場合、話を濁したり、お子さんを叱って終わりにしてしまったりするのではなく、誠実に答えるようにするほうがよいですよ。
ケンカしようとして叩いたのではないこと、みんなと違ってうまく気持ちを伝えられないこと、うまく伝えられるように頑張っていることなど、お子さんに代わって伝えてあげてください。
理解者を増やしていき、お子さんも周りのお友達もみんなが過ごしやすいように、担任の先生を中心に保護者同士が話し合えることが理想です。
お子さんを強く責めるだけでは、本人は自分の殻に閉じこもってしまい、家庭環境にも大きな影を及ぼすことにもなりかねません。
素直な子どもたちの気持ちを大切にして、接するように心がけましょう。
すぐに理解してもらおうと焦らないことを心がける
子どもの発達障害についての理解が浸透しつつあるとはいえ、まだまだ完全ではありません。
それは、お子さんのお友達の親御さんたちも同様です。
お子さんの態度やトラブルを聞いて、友達の親御さんが憶測で話した内容がひとり歩きしてしまう恐れもあります。
そのような状況になる前に、予め担任の先生などに相談して、周りの大人にもお子さんのことを理解して受け入れてもらえるような環境づくりに協力してもらいましょう。
しかし、理想通りにはいかないのが現実です。
全員が思いやりのある態度で接してくれるとも限りませんし、周りの状況に一喜一憂してしまう場合もあるでしょう。
焦らず、周りにすぐに理解してもらおうとせず、ゆっくりと話し合っていきましょう。
周りの親御さんが気を遣って言ってくれたことがうまく受け取れないときも、どうか気にせず、周りに密着し過ぎることなく過ごしてくださいね。
少し肩の力を抜いて子育てをしよう
真面目な保護者ほど心を痛めてしまう
「この子は私たち親に『もっと自分を見ていて欲しい、もっと愛情を注いで欲しい』と思っているのではないか?私たちの愛情は足りていないのではないか?」と思っておられる親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、そんなことはありません。
発達障害は愛情不足が原因で起こるものではありません。
お子さんの発達障害に悩む保護者の皆さんは、とても真面目でお子さんの教育に熱心な人たちが多いように筆者は感じています。
あなたと同じように悩んでいる親御さんがこの日本にはたくさんいます。
そして、発達障害児と家族を支えてくれる環境は着実に増えてきています。
どうか肩の力を抜いて、発達障害者支援センターや児童相談所、担任の先生など、誰かに助けを求めてみてくださいね。
夫婦でお互いを責めることなくしっかり向き合う
発達障害は先天性のものであり、遺伝の要素も強いことがわかってきていますが、どうして発症するのかなど具体的な部分についてはまだまだ謎が多く、はっきりと解明されていません。
遺伝というとどうしても夫婦でお互いを責め合ってしまう場合もあるでしょう。
しかし、お互いを責め合っていては、お子さんは自分のことが原因で親がケンカをしていることにひどく悩むことにもつながります。
お子さんの持つ「発達障害」を、個性や取り柄のひとつだと捉えていきましょう。
欠点ではなく、持ち味として見つめることで「大きな才能」が花開くこともあります。
お子さんの可能性を、親御さんがしっかりと向き合って絆を深めることで開いていけるかもしれません。
どうかご家族で絆を深め合いながら、より良い生活を送れますように。
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