「家族に発達障害児(者)がいるが、自分たち家族だけではもう手に負えない。どうしたら良いかわからない」
「自分たちと同じように、身内に発達障害児(者)のいる人たちと関りを持ちたい」
「専門家の話が聞きたい」
……そんなふうに思ったことはありませんか?
家族向けのセミナーへ参加することで、今まで抱えてきた不安や疑問への解決策を見出すことができるかもしれません。
今回は、実際に発達障害児(者)の家族向けセミナーへ参加した筆者の体験談を交えながら、セミナーへ参加することのメリットをご紹介します。
(※発達障害関係のセミナーは、主催団体によっていろいろなパターンがあり、当事者限定の講習会や、当事者も参加できる家族向けの講演会もあります。今回の記事は「家族向け」を主とした記事となっております)
セミナーへ参加すること
「セミナー」「講座」「講演会」「講習会」「研修会」という言葉に、とても難しくかしこまったイメージを持たれる人も多いかもしれません。
私も最初は「どんなところで、どんなふうに開催されるものなのだろう……」と不安に思っていました。
しかし、実際に参加してみて思ったことは「勇気を出して参加して本当によかった。何も難しいことはなく、現場のリアルな話が聞け、参考になることばかりだった!」ということでした。
私が参加したセミナーは、発達障害児(者)の家族や支援者向けのテーマを扱うセミナーでしたが、発達障害者ご本人も参加しておられました。
スライドショーや映像をもちいた、実体験に基づいた講習会。
支援する側の意識や知識をより多く得ることの大切さ、海外の授業スタイルとの比較、特別支援学校の授業の様子など、本を読むことだけでは得られない情報を目で見て、耳で聞き、またメモをとって自分なりに消化していくことができました。
時折、講師が「では、今の話について、隣に座っている人と数分程度、話し合ってみてください」と、その日たまたま隣に座った初対面の人と意見の交換をするように指示されることもありました。
講義のあと、円卓になって参加者全員で話し合う場を設けているセミナーに参加したときは、それぞれのご家庭のお話を聞くことができ「不安に思ったり悩んだりしているのは、自分だけじゃないんだ」と感じることができました。
下記に、発達障害関係のセミナーへ参加するメリットと、実際に参加した人の感想をいくつかご紹介します。
是非、参考にしてくださいね。
参加するメリット
発達障害関係のセミナーへ参加することで得られる最大のメリットは、「専門家の話を聞くことができること(発達障害への理解向上)」と「悩んでいるのは自分たち家族だけではないのだと感じ、知ることができる(悩みの共有、孤独感の解消など)こと」です。
また、主催団体によっては、発達障害者本人へのソーシャルスキルトレーニング(他者と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力を身につけるための訓練)についてや、発達障害者支援のイベント(発達障害児を育てる親同士の話し合いの場や、発達障害者とその家族向けのグループイベントなど)についての情報を仕入れることもできます。
イラストや映像をもちいた「目と耳で学ぶ」セミナーは、難解な言葉も多く出てくる専門書を読むことよりもわかりやすく、発達障害の特性や具体的な対処法、支援法をより詳しく知ることができるのです。
疑問点について質問し、専門家から直に答えを聞くことができることもメリットのひとつです。
主催団体によって、「主催団体に属する講師が講演をおこなう」場合と「福祉施設などの部屋を貸し切り、外部から講師を招く」場合とがありますが、各主催団体のホームページに掲載の講師プロフィールなどを参考に、ご自身に合ったセミナーを選んでくださいね。
実際にセミナーへ参加した人の感想
📝感想(1)
「発達障害は治らないけれど、その子がどのように育つかは、子育てや療育次第」という言葉が非常に印象に残りました。
📝感想(2)
私は発達障害の家族ではなく支援者の立場ですが、今回学んだことを活かし、より発達障害者の立場に立った支援をしていけるようがんばっていこうと思いました。
📝感想(3)
実体験が聞けてよかったです。
📝感想(4)
話を聞きながら、発達障害児の親として共感できる点が多く、「誰でも同じなのだな」と思いました。
📝感想(5)
自分以外の保護者の本音が聞けてよかったです。
もう一度、考え直す機会を得られたと感じました。
ひとりひとりみんな違っているからこそ、できるだけ多くの人の気持ちを聞き、知っていきたいと思いました。
自分に合ったセミナーへ参加する方法
発達障害者支援を主とするNPO法人の開催するセミナー、お住まいの市区町村が開催するセミナー、企業が一般向けに開催するセミナー、個別指導塾の開催するセミナーなど、いろいろな団体が発達障害関係の講習会をおこなっていますが、「自分に合ったセミナーはどのようなものだろう」と決めかねている場合、まずは「参加する目的をはっきりとさせる」ことが重要です。
- 発達障害についての基礎知識を学びたい
- 発達障害児を育てるうえでのコツや体験談を聞きたい
- 思春期を迎える発達障害児へのケアについて知りたい
- 二次障害におちいってしまった発達障害児への対応について学びたい
- 発達障害児(者)が家族にいる人向けのコミュニケーション講座を受けたい
など、自分が何を知りたいか、何について学びたいかをはっきりとさせておくと、それが開催予定のセミナーを選ぶときのひとつの指針となります。
発達障害関係のセミナーは、下記のホームページや各役所、市区町村のフリーペーパーなどから探すことができます。
- 発達障害情報・支援センター 国立障がい者リハビリテーションセンター ※「イベント・研修会情報一覧」から。
- こくちーず ※検索窓にて「発達障害」と入力し、検索する。
- こくちーずPRO ※検索窓にて「発達障害」と入力し、検索する。
- お住まいの市区町村のホームページ
実際に参加してみて
私は身内に発達障害者がおり、
「彼のためにできることは何か」
「もっと知識を身につけたい」
「自分の意識改革」
「他の家族はどんなふうにしているんだろう?」
と思い、セミナーに参加しました。
小規模のものと大規模のもの、どちらも参加しましたが、いずれもどのセミナーへ参加するか選ぶ際に、主催団体のホームページを隅々まで確認し、自分の求める答えが見つかりそうかどうかを見極めてから申し込みをしました。
「せっかくセミナーに参加したのに、あまり参考にならなかった」「通りいっぺんの内容でがっかりした」といったことのないように、申し込みをする前にその団体の理念や思いをしっかりと確認し、「ここならきっと自分のためになるだろう」と感じたところだけを選びました。
結果、実のある講義を受けることができ、また、多くの体験談を聞くことができたのです。
既存の専門書を例に出し、講師の独自の考え方を織り交ぜながらわかりやすく説明をしてくださる講師が多く、発達障害者と関わるうえで大切なことやたくさんのヒントを得ることができました。
講師による講演のあとに、円卓になって参加者全員で話し合う場を設けていたセミナーでは、「私たち家族はこんなふうに工夫をしています」「自分たちの経験が役に立てば嬉しい」と、さまざまな実体験を耳にし、苦労とともに、みんな同じように乗り越えようとがんばっているんだなと励まされました。
「何が正解なのか?」「どういう対応をすれば、発達障害児(者)本人とうまく話し合うことができるのか?」……そういったことをより深く考える機会となり、また、セミナーに参加していなければ知らなかったことや気付かなかったことも多かったことから、今後につながる良い講演を聞くことができて、心から「参加してよかった!」と感じました。
もしも、「生の声が聞きたい」「専門家の話を聞き、より精度の高い知識を得たい」「横のつながりを作りたい」など、家庭内だけではなく、外部へ足を向けることに興味がある人はぜひ、前述のホームページなどからお近くのセミナーを検索し、参加してみてください。
目的をはっきりとさせ、しっかりと確認したうえで参加したセミナーであれば、何か得られるものが必ずあるはずです。
開催日が過ぎてしまっていたり、かなり先だったりしても、気になるNPO法人や個別指導塾などが見つかったときは、一度問い合わせて話を聞いてみることもおすすめです。
まとめ
今回は発達障害児(者)が身内にいる家族向けのセミナーへの参加について、私の体験したことを織り交ぜながら記事にしました。
一昔前ならきっと、「専門家の話を聞いてみたいけれど、その機会をどうやって見つけたら良いのかわからない」「発達支援センターでは、なかなか他の人と会話をするキッカケが見つけられない」「同じような立場の人たちと話をして実体験を聞いてみたいけれど、機会がない」など、【やってみたいこと】がなかなか叶わず、はがゆい思いをしたことがしばしばあったと思いますが、今はインターネットでいろいろな情報を得ることが可能です。
「興味はあるけれど、自分には難しそうで勇気が出ない」と躊躇している人もいるかもしれませんが、専門家の話を聞けるチャンスは自ら手繰り寄せないとやってはこないのです。
勇気を出して、家のドアを開け、専門家の話を聞きに出かけてみませんか?
私が参加したセミナーでは、電車を乗り継ぎ、遠方から出てこられた親御さんたちもいらっしゃいました。
その場でも、「わかりやすく、参考になった」という声ばかりが挙がり、「自分には難しかった」という人はひとりもいませんでした。
発達障害児(者)のため、ご自身のため、より多く精度の高い知識を得ることは決して損なことではありません。
少しの勇気が「生きやすさ」につながるかもしれません。
発達障害のあるお子さんの就職先について、アドバイスをもらえるかもしれません。
家族としての「心構え」や「家庭でできる療育」についてなど、たくさんのコツやヒントを得ることができるかもしれません。
参加してみないことには、そのどれをも感じることはできないのです。
興味のある人はぜひ、検討してみてくださいね。
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