【amazon評価】★★★★★★★★
本書は、アスペルガー症候群&ADHDの診断を受けたお子さんを育てる現役ママである著者が、小学校6年間を乗り切ってきた実経験をもとに書いたアドバイス集です。
今、実際に小学生の子どもを持つ親御さん、これから小学校に入る子どもを持つ親御さんにはぜひ読んでいただきたい本です。
全体は5つの章に分かれています。
第1章では「学校の先生と上手にやりとりするヒント」
第2章では「子どもの学校生活を支えるヒント」
第3章では「毎日の生活を一緒に乗り切るヒント」
第4章では「保護者が頑張りすぎず子育てするヒント」となっています。
第5章は少し体裁が異なっています。
「困りごとを解決するヒント」という題で、困りごと別支援例のリストと学校で使える便利グッズが紹介されています。
何といってもこの本の魅力は、正直すぎるくらいはっきりと、発達障害をめぐる現実を書いてくれている点です。
以前に比べると、確かに発達障害支援が大切にされるようになってきたとはいえ、まだまだ学校の対応や周囲の理解は十分とは言えないのが現実かもしれません。
そんな中で、親御さんと子どもが力を合わせて小学校で頑張っていくためのヒントやノウハウがギュッと詰まっています。
タイトルには「生き抜く」とありますが、まさしくサバイバルな毎日を乗り切るためのガイドブックと呼んでいいと思います。
学校での子どもの環境を整える方法、学校の宿題や行事への対応法、友だちとのトラブルの対処法などは多くの書籍の中にも取り上げられています。
でも、この本にはリアルな体験に基づいた思い切ったアイデアが満載です。
「こんな方法もあったのね!」と目からうろこが落ちること、間違いなしです。
また、学校での困りごとに対応する方法を提案しているだけではありません。
本書は頑張りすぎて疲れが出てしまう親御さんへのエールでもあります。
親御さん自身のいろんな不安や焦り、悩みにどうやって対処していったらいいのかという提案もたくさん載っています。
少しネガティブな感情ともしっかり向き合ってくれているので、この本を読んだ後は涙を拭いて「よ~し、また頑張っていこう!」と思えるかもしれません。
少し気になったのは、大胆すぎて「実行するの、実際にはちょっと難しいのでは?」と思ってしまう提案もある点です。
親御さんにかなりの勇気や強さが求められそうです。
逆に言えば、「それくらい現実は厳しいのだよ」「私たちはこうやって生き抜いてきたのだよ」という著者のメッセージともとれるかもしれません。
この本自体は、発達障害の子どもを持つ親御さん向けに書かれているようですが、学校の先生や行政関係の方、医療関係者などにもぜひ手に取って読んでいただきたいと思いました。
おすすめの一冊です。
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